40

夢子「じゃあ早速義眼、嵌めてみようかな?」

夢子は木箱からそっと義眼を取り出す。
それは宝石の様に美しくキラキラ輝いていた。

夢子「わぁ…綺麗!!」



【40=新たな景色】



ベレス「義眼、最初は嵌めるのにコツがいるから、私の部屋で入れましょう?
    ここだと騒がしくて集中できないでしょ?」

ベレスは夢子の手を引いて歩く。

ベレト「…本当は姉さんが夢子を独占したいだけだろ…。」
ベレス「あら?バレた?」
夢子「…??じゃあみんな、ちょっと待っててね!」






そう言い残すと夢子はベレスに連れられ一度ベレトの家から出て行った。
その間雑談を広げる男子たち。

ピット「そういえばこの最上階にもう一つ買われた部屋があるって言ってたけどもしかして‥‥」
アルフレ「そだよー、ご想像通り、もうひとつの部屋はベレスが住んでるよ。」

リンク「この人たちの金銭感覚ヤバくないですか…??」
アイク「俺はこんな高所に平気な顔して住んでることがヤバいと思うが。」
ルフレ「まあ、ベレスは女性だし…野郎のベレトとアルフレと一緒に居るよりかは幾分かは安心だけどね。」
アルフレ「僕は何もしないよー?君と違って思いやりの精神あるから。」
ルフレ「思いやりのおの字もないだろ。」

アルフレ「でも、この2日間は幸せだったよ。気を失ってるとは言え彼女をじっくり観察出来て…ハアハア…。」
ピット「うわ、この人興奮してる…!?」
アルフレ「彼女の寝顔…本当に美しくて綺麗で…何度首を絞めようかとも思ったけど…僕、堪えたんだよ??偉いでしょ。」
ピット「うわ、変態…というか‥うん、変態。変態の中でも極めてるド変態!」
アルフレ「んー?男は皆変態でしょ?それとも何?この中に変態じゃない人いる?…居ないでしょ?男はね、生まれ持って皆変態なんだよ。」
ルフレ「君なんかと一緒にしないでよね。僕は空気読める男だから。」

アルフレ「それはどうかな??」
ルフレ「…どういう意味だい?」

アルフレ「彼女が突然《キスして☆》って言ったら直ぐするでしょ?」

ルフレ「ム…そ、それは…」
アルフレ「そんなのムードがあるって言わないんだよ。
     結局男は皆誘われても誘われなくてもすぐ答えるのが男なの。」
アイク「コイツの力説は腹立つな…。」
アルフレ「そうかな?正論でしょ?男に生まれたからには獣の自覚ないとね?」

リンク「力説してるのがサイコパス野郎だとどうも気に食わないですね…。」
アルフレ「皆僕の事サイコパスって言うけどさー、何がそうなの?言動?まさかね、僕は紳士だもん。ね、ベレト先生。」
ベレト「・・・。」
ルフレ「ベレトが困ってるじゃないか…君に同意する人なんていないんだよ。」
ベレト「先生と呼べ。」


ルフレ「そういえばベレトとベレスは兄弟なのに同じ部屋には住んでないんだね?」

アルフレ「ああ…それにはちゃんと理由あるんだよ‥??」








15分ほど経って、再び部屋にベレスに連れられて夢子が戻ってきた。
右目を手で押さえている。


夢子「皆、ただいま!!」
ピット「おかえりー夢子!ベレス先生の家、どうだった?」
夢子「凄かったよ!!可愛いぬいぐるみとか沢山あって、家具とかも全部可愛いの!!
        一番すごかったのは5mの熊のぬいぐるみ!!一部屋占領するほど大きいの!!それでとってもモフモフで…」
ベレス(ああ…私は貴女を全力でモフりたいわ…///)

アルフレ「原因はこれだよ。ベレスは部屋にきゃわわなグッズ置きたくて弟が邪魔なんだ。ね、先生。」
ベレト「・・・。」
アイク「推しには叶わないっていうのも今の世の中ある事だからな…」
ベレス「あら?私だって弟を大切にしてるわよ?!だから夢子ちゃんとの婚姻届けを…」
ベレト「姉さん…止めてくれ…。」
アルフレ「そうだよベレス。身の程をわきまえなよ。」
ベレス「なんですって!?」
アルフレ「夢子と結婚するのは僕なんだから。」
ルフレ「君は一体何処までクズなんだ…?」

言い争いが始まりそうな空気の中夢子が呟く。

夢子「‥‥あのー…義眼披露するタイミングが掴めないのだけれども。」

ルフレ「ああ、ごめんね、静かにするから…(つい熱が入ってしまった)」

夢子「じゃあ、見せるね!!


        じゃーん!!!☆☆☆」


夢子は抑えていた手を顔から外した。
そこにはライムグリーンの新しい目を得た夢子の顔だった。
きらきらと輝く義眼。
よく見ると瞳孔がクローバーの形をしている。


夢子「えへへ‥‥どう…かな?///」

照れる夢子。
ルフレは夢子に即抱き着いた。

ルフレ「夢子ー!!ほんっっっと似合ってる!!」
夢子「ほ、ほんと?」
リンク「まるでオッドアイですね!」
ピット「夢子かーわい!」
アイク「人種的にも日本人でオッドアイって珍しいよな。」
アルフレ「まあ夢子は色んなののハーフだし…違和感ないんじゃない?
     ああ、またこんなに可愛さが増して…虐め涯があるっていうかなんというか。」
ルフレ「夢子に変な事したら許さないよ?(イラッ★)」



騒ぐ生徒たちを遠目で見てるベレトとベレス。
ふたりで会話をしている。

ベレト「…とんでもない義眼を発明してしまったな、姉さんは。」
ベレス「でもあの子たちも気に入ってるから良いじゃない?貴方だって彼女の魅力が増して嬉しいのでしょう?」
ベレト「違うと言えば嘘になるが…。」
ベレス「自分の気持ちに素直になりなさい?あ、そうそう、大事ながあったのよ。」
ベレト「なんだ‥?」


ベレス「私、ベレスは貴方達の通う学校の保健室の先生に任命されましたー☆」

ベレト「…はぁ…?初耳なんだが?」
ベレス「そうでしょうね、まだ誰にも言ってなかったから。」
ベレト「今勤務してる大学病院の方はどうしたんだ?まさか…」
ベレス「そんなのやめるに決まってるじゃない?!
    だって私には夢子ちゃんという最推しが出来ちゃったんだもの。
    推しの為には身を削る覚悟で居なきゃ、でしょ?」
ベレト「‥‥はあ…。」
ベレス「アンタねー、もうちょっと喜びなさいよ?!!!頼れるお姉様が職場に来るのよ?」
ベレト(…これ以上ライバル(?)を増やしたくないのだが…)




夢子「じゃあ、そろそろ家に帰ろうかな。ベレト先生にベレス先生、お世話になりました!
        なんとお礼を言ったらいいのか…」
アルフレ「お礼は身体で。」
夢子「…嫌に決まってるでしょ。っていうか貴方は何もしてくれてないじゃない…?」
アルフレ「何言ってるんだい?僕は大役をしてたよ?ずっと、見つめてたんだ、君の寝顔を。ずっと。ずーーーーーーーーーーーーーーっとv」

夢子(ゾクッ・・・・!!!)
ベレト「アルフレ、それ以上彼女を怯えさせるな。
    お前たち、帰るならアパートまで送ろう。」
ピット「あ、そういえば先生。」
ベレト「何だ?」



ピット「おまるとシュルク、まだ帰ってきてないんだけど…。」


ベレト「…そうか。」
ピット「そうか…って…ええ!?それだけ!?!?」
リンク「一応あの二人も生徒なんですけどね…?夢子と比べると温度差が凄まじい。」
ベレト「か弱い女子ならまだしも、男で剣の腕も凄まじく大乱闘の世界で鍛えた体力もあるだろう。」
アイク「先生、あのふたりに手厳しいな…まあ俺等にもだが。」
ベレト「じゃあお前らを送った後探してみる。
    道中ばったり会う事もあるかもしれないしな。」
ピット「でも、万が一あのふたりに何かあったらどうする?」
ルフレ「え!?そりゃライバル減って嬉しい!!」
ピット「うわー、酷い!!!仮にも今まで一緒に暮らしてた仲間なのに?!」
ルフレ「まあ、100%ではないから。僕だって少しは心配してるよ?ほんのちょっぴりね。うーん5%くらい?」
アイク「酎ハイのアルコール度数かよ…」

すると、突然スマホの着信音が聞こえる。
激しいデスメタルの音。劈く音。
明らかに万人受けしない曲をアルフレは着信音にしていた。
…趣味が分かりやすい。


アルフレ「あ、僕だ。ふむ…通知が来てる…あれ…?ふーん。フフフ。」
ルフレ「音煩いよアルフレ。君は人の鼓膜破壊する気?!」
アルフレ「あー…面白い事になってきたかも。」
ルフレ「は???」

ベレト「では家まで送ろう。帰る支度するんだな。」

夢子は皆を見て笑顔で笑った。

夢子「…皆、ありがとう!!」

皆に助けられたと感謝する夢子だったが
彼女の笑顔に助けられているのは彼等だったりする。

ベレス「夢子ちゃん…。」
夢子「?」

ベレス「最後にもう一度ギューーーーって抱きしめさせて!?!?」
夢子「あはは、今日一日中やってますよー?」
ベレス「あと一回!もう一回だけ!!ね?!ね!?!?夢子ちゃんカワイイ!!スリスリスリ!!」

剣士男子たちはベレスの暴走っぷりに若干引いている。
彼女は生粋の可愛い物好きオタクだ。



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