37

ルフレ「車のカバーってあんなに簡単に交換出来る物なんだね。僕びっくりしたよ。」

無事夢子を奪還した後、夢子と剣士男子たちは再び車に揺られていた。

アルフレ「そこがその辺の車とは格が違うんだよ。ね、ベレトせんせー。」
ベレト「今日は沢山傷がついたから自慢の車体とは言えないがな…。」


【37=天才女医】




ガタガタと揺れる車内で夢子はルフレに手を繋がれて座っていた。
痛みが消えたとは言え、体力を使った夢子はウトウトしている。

そんな夢子を見てアルフレがニヤニヤする。

アルフレ「僕の隣に座れば逆膝枕してあげたのに?」
ルフレ「君みたいなサイコパスの側に弱ってる彼女を座らせるわけないだろう。」
アルフレ「酷いなぁ。僕これでもまともになったんだよ?
     学校で夢子に水かける回数減ったし。」

その発言を聞いてキレるルフレよりも先にピットが騒ぐ。

ピット「あー!!!だから夢子しょっちゅうジャージ着て授業受けてたんだねっ!?
    夢子は汚れたから着替えたって言ってたけど、可笑しいと思ったんだよね、髪とかも濡れたし!」
リンク「俺は大体察してましたけどね。こんな事するのコイツしかいないでしょう。」
ピット「全然気づかなかった…僕ってもしかして頭悪いのかな?」
アイク「…腹減った…牛丼食いたい…。」

ベレトが運転しながら剣士達に告ぐ。

ベレト「今日一日大変だったが、皆のお陰で夢子を助けられた。担任として、一人の男として例を言う。
    …ありがとう。」

ルフレ「…ベレトにお礼言われても何か調子狂うし。それに一人の男って何さ…」
ベレト「先生と呼べ。それと、皆お腹空いてるだろう?
    先生の住んでるタワマンにマクドナルドが隣接されてるから
    そこで腹ごしらえするといい。今日だけ奢りだ。」
アルフレ「…だって。良いよねこの世界のファストフード。
     僕ハマっちゃってるんだよね。
     身体にクソ悪そうな美味しい食事手軽に食べれるって最高じゃない?!」
アイク「…飯食えるなら何でもいい。」
リンク「マルスとシュルク大丈夫でしょうか。」
アルフレ「君たちが夢子を選んだんだからね。野郎の心配なんて要らないでしょ?
     あ、そろそろ見えてきたよ。先生と僕のおうちが。」

見えてきた景色に言葉を無くす剣士男子たち。
小さなアパートの一室に押し競饅頭で過ごしてる彼らには異次元の世界だった。

ルフレ「…あれがタワーマンション?」
ピット「ちょ…何あれ何階建てなの!?ヤバくない!?っていうかコレ家なの!?可笑しいよ!?」

アルフレ「聞いて驚いて?…何と80階建てだよ。フフフ、興奮するだろー?」

アイク「俺高い所あまり得意じゃないんだが…。」
リンク「俺はいざという時はフックショットで帰ります。」
アルフレ「因みに、僕らの部屋は最上階だからねー。」
ルフレ「ベレト、なんで最上階なんか選んだんだい?費用が凄いだろ?
    っていうかそのお金何処から湧いて出てくるの!?アンタ普通の公務員のくせに?」
ベレト「最上階からしかあちらの世界に発信できない電波があるんだ。
    それこそ秘密にしなければいけないもの。
    この世界に干渉しすぎると大変だからな。
    それに金なら心配するな。マスターから資金提供がある。」

ベレトは駐車場に車を止めると再び夢子をお姫様抱っこした。
夢子は腕の中で寝ている。

ルフレ「だーかーら!!僕の役目だってばそれは!」
アルフレ(ニヤニヤ)

ベレト「リンクとピットとアイクは飯食べておけ。こんな深夜だからあまり大人数で騒ぐと苦情が来るからな。
    ルフレはー・・・」
ルフレ「僕はついてくよ、責任があるから。」
ベレト「その責任とやらは個人的な物だろう?…まあ、いいが。」

リンク「俺たちも心配ですけど、日本のルールですからね…大人しく夜ご飯食べてきましょう。」
ピット「てりたまー♪」
アイク「今日は通常の値段でポテトが食べ放題らしい。」
ピット「マジ!?」


リンクとピットとアイクは2階のフードコートに降りて一旦分かれた。
エレベーターの中で夢子はベレトに抱っこされてアルフレが何度も眠る彼女の頬を突こうとしてルフレがその手を叩いていた。

80階でエレベーターが止まる。

ルフレ「…本当に80階があるだなんて…俄かに信じがたい‥恐ろしいよ…この世界。」

ベレト「この一番奥にあるのが俺たちの部屋だ。」
アルフレ「一番奥って言ってもここの最上階独占してるようなもんだけどね。
     あ、でももう一か所人が住んでるよ。だから実質最上階は二部屋。」
ルフレ「こんな場所に住んでたら感覚が狂いそうだ‥‥。」

アルフレがカードキーをかざした。
部屋の扉のロックが解除される。

アルフレ「あと、顔認証システムもあるから。」

ルフレ「・・・。」

アルフレ「あれれ?君、自分が貧乏人って自覚してショックでも受けたかいー?
     そうだよね、夢子を守るのには役不足だよね?フフフ、だったら僕に任せてー・・・」
ベレト「喧嘩するなよ。さあ、中に入ろう。先客が居るはずだから。」

ルフレ「先客…って?」

ベレト「会えばわかる。」




家の中に入る4人。灯りはついている。確かに誰かいる様だ。
無駄に長い廊下を進んでリビングへと入る4人。

そこには、一人の女性が居た。


その女性は白衣を着ている。
しかし、どうも見覚えがあった。
白衣の下の黒っぽい衣装も見覚えがある。
ルフレは考える。

その女性はベレトに抱かれた夢子を見るとすぐに近くのどでかいソファーに横にさせた。

女性「その子が夢子ちゃんね。話は聞いてるわ。…傷口、確認させて?薬品は準備してあるから。」
ベレト「ああ…助かる。」

ルフレはその女性とベレトを見比べる。


ルフレ(似てる…髪の色とか雰囲気とか、端正な顔立ちまで…まさか…このふたり…)

アルフレ「不思議そうな顔してるね?そうだよ、彼女はベレスだよ。」

アルフレに告げられてルフレは思い出した。
スマブラのDLC、そしてFE風花雪月の女性主人公の参戦者。

ベレト「彼女は俺の双子の姉だ。この世界では女医の免許を持っている。」
ベレス「そーいうこと。よろしくねルフレちゃん。」

ルフレ「職種が違えど先生がふたり、ね…まあ、流石に此処まで来るとあまり驚かないかもね…。」

夢子を横にした後様々な身体検査をするベレス。

ベレトとアルフレとルフレは邪魔だからとリビングに追いやられた。

ルフレ「彼女…ベレスに任せて大丈夫かい?」
ベレト「腕はある。ただ…」
ルフレ「ただ?」
ベレト「姉には…ちょっとした趣味があってだな。」


疑問を浮かべるルフレを見てベレトは気まずそうな顔をする。

ベレト「…まあ、時期分かるさ。」
ルフレ「???」

ベレスは1時間程夢子の処置に全力を尽くしていた。
薬品の匂いが漂う。怖いが安心する匂い。
夢子は右目に包帯を巻いて安静にしている。

ベレス「よし、なんとか処置は無事終わったわ。
    …それにしても応急処置が良かったわね。
    貴方達素人なのに、一体何をしたの?」

アルフレ「知りたいー?とってもイヤらしいよ?」
ルフレ「‥‥思い出したくない…。」
ベレト「お前…一体何したんだ…」
アルフレ「先生も知りたいのかい?しょうがないなぁ、夢子の味は実際に食べないとわからな…」
ベレト「・・・。(真顔で睨む)」
アルフレ「あー、はいはい、調子に乗り過ぎたかな?めんごー。」
ベレト「その件については後でゆっくり話を聞こう。」
アルフレ「先生怖いってば。僕はただ特効薬を彼女に飲まさせただけだよ。
     此処にいるFE勢3人ならわかるでしょ?特・効・薬!!」

ベレスは夢子の脈を測りながら話す。

ベレス「そっか…それでこの子から痛みの苦痛は消えてるのね。
    でもそれで良かったのかもしれない。
    こんなにも酷い事されたんだもの。
    麻酔や痛み止めも無しで片目を抉られるだなんて。」
ベレト「…ありがとう姉さん。助かった。」
ベレス「貴方この子の担任って言ってたわよね?もっと守ってあげなくちゃダメよ?
    …何だか、ライバルも多いみたいだし、ね?」
ルフレ「ライバルって‥」
ベレト「…。(気まずそうな表情)」
アルフレ「僕らの戦いは永遠に止む事は無さそうだね。フフフ。正にスマブラ。大乱闘?」

ベレト「ルフレ、今日はもう帰っていいぞ。送ってやろう。
    その前にお前も飯食べた方が良い。朝から何も食べてないだろう?」
ルフレ「うん…そうしようかな。流石に疲れちゃったし。夢子の事が心配だけど…」
ベレス「夢子ちゃんは私が責任もって診てるから安心しなさい!」
ルフレ「うん…そうしようかな。ありがとう、ベレト、ベレス、そして…アルフレも。」
アルフレ「うげ…君に感謝されるの虫唾が走るんだけど。」
ルフレ「僕もだから安心して?」」


その後、ルフレは先にマックで夜ご飯を食べてた3人と合流して食事をしてからいつものアパートに帰った。


いつものアパート。

何も変わらない。


夢子が居ないという事実だけ以外はー・・・・



【いいね!!】

[ 260/508 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]