35
ルフレ「その目は…夢子の目…!!??」
ルフレは絶望と感じたことのない恐怖でその場に崩れる。
ルミレは自身の右目に手を当てて不気味に微笑んでいた。
ベッドに横たわる夢子は顔を抑えて呻いている。
ルミレ「取り出すの大変でしたのよ?」
ルフレ「うああああああああああああああああ!!!」
ルフレの断末魔が家に響き渡る。
【35=奪われ】
ルフレはルミレに攻撃を仕掛けた。
もう、こんな奴に同情など無い。
愛しい彼女を傷つけた罰をすぐにでも下したかった。
ルフレは凄まじい勢いで魔導書を広げる。
ルフレ「今日という今日は‥‥許さない…!!」
もう標準が滅茶苦茶になってルフレには前が見えていなかった。
一国もこの人形を破壊しなければー・・・!!
ルフレ「エルサンダー!!」
猛攻は止まらない。
家の壁や床が崩れて砂埃が上がる。
ルフレ「ギガサンダー!!」
ルフレの攻撃は止まらない。
雷魔法を鬼のようにルミレに叩き込む。
夢子を傷つけたこの女を許せなかった。
ルフレ「トロン!!!!」
ドカアアアアアアアアアアアンッ!!!!
大技を放ったルフレ。稲妻は光り爆音を立て等々家の床が抜けた。
ルミレはその開いた奈落の底に落ちていった。
ボロボロに崩れた身体で腕を伸ばす。
ルミレ「ああ…何て尊いの…。折角新しいお目目…やっと手に入れたのに…」
ルミレは消えていった。
開いた穴を除き、憎き人形が消え去ったことを確認してから直ぐに夢子の居るベッドへと駆け寄ろうとするルフレ。
しかしそこにはアルフレが既にいた。
倒れ苦しんでる夢子に触れようとしている。
それはルフレの逆鱗に触れる。
彼は今相当気が立っている。
ルフレ「夢子から離れろ!!」
ルフレはアルフレをに向かってトロンを放つ。
その攻撃をシールドで弾きアルフレは怒り狂うルフレに告げる。
アルフレ「おっと、ダメだよ?怪我人がいるのにそんな大技放っちゃ。」
ルフレ「夢子…夢子は大丈夫なのか…!?
彼女は…彼女の目が…あの糞人形に…!!」
アルフレ「ああ、片方の眼球持ってかれたみたいだね?
だからさっきの断末魔…ああ、堪らない…///」
悶えるアルフレを無視するルフレ。
必死に夢子に声をかける。
ルフレ「夢子!僕の声聞こえるかい…?」
夢子「る…ルフ…イタ…い。目が‥‥イタイ…。」
ルフレ「ごめんね、遅くなって。皆心配してたんだ。
目…あの女に酷い事されたね…
ああ、可哀そうに…くそ、こんな惨い事許されるのか!?」
アルフレ「まーあのルミレってスクラップに近い人形だから相当人間の一部欲しがってたみたいだね。
君と出会って色々と焦ってるみたいだし。」
ルフレ「夢子…ああ、夢子‥‥」
ルフレは夢子を抱きしめて離れない。
アルフレ「こんなに弱った夢子、うーん堪らない。
君ばっかり良い思いしてない?僕にも夢子触らせてよ??」
ルフレ「…煩い。」
アルフレ「僕良い事思いついたんだけど?」
ルフレ「どうせろくでもない妄言でも語るんだろ。」
アルフレ「僕さ、
今、特効薬持ってるんだけどー?」アルフレはポケットから緑色の小さな瓶を出してチラつかせる。
ルフレ「…!?!?何でもっと早く言わなかったんだ!?」
ルフレは瓶を捕ろうとするがアルフレはニヤリと笑ってルフレの手から瓶を上にあげる。
アルフレ「ふーん。それが君の態度かい?物事を頼むならそれ相応の態度があるんじゃない?」
ルフレ「なんのつもりだ!?さっさとその薬を夢子に…!!」
アルフレ「僕としてはもう少しこの状態を楽しみたいけど」
ルフレ「ふざけるな!早くその薬を夢子に…!!」
アルフレ「じゃあ、君が今一番悔しがる表情をするであろう方法でも試そうか。」
アルフレは特効薬の瓶の蓋を開けると
自身が飲み始めた。
ルフレは叫ぶ
ルフレ「おま…!!ひとつしかないのになんてことを!!??」
アルフレは特効薬を口に含みながらもニヤニヤしながらルフレを見る。
そして、アルフレは
口移しで夢子に特効薬をその口に流し込んだ。
ルフレは唖然としていた。
暫くの間アルフレは夢子から口を離さない。
ルフレ「‥ちょっと、もういいだろ?早く離れろ…馬鹿!!!!」
アルフレは名残惜しそうに夢子の口から遠のいた。
唇と唇から薬が糸を引く。
ルフレ「幾ら薬が自力で飲めないからって…何でお前が彼女に…僕でも出来たのに…」
アルフレ「そうだね、君さえいなければ彼女ともっとディープな続きを出来たのにね。」
ルフレ「‥その薬はFEの世界から持ってきたんだろ?この日本には存在しないはず…」
アルフレ「そうだよ。最初で最後。これ一個だけだけどねー。」
ベッドに横たわる夢子を見るふたり。
ルフレにはわかっていた。
そんな伊達に天才軍師で名を馳せていたわけじゃない。
今の状況が意味するもの。
それはー・・・
ルフレ「特効薬はHPを全回復するもの。…しかし、失った身体の部位が元通りになるわけではない。」
アルフレ「そーゆーこと。でもずっと痛いよりマシじゃない?
少なくとも今、僕のおかげで彼女は痛みからは解放されただろう。全く残念な話だね。」
ルフレ「夢子‥‥もっと早く此処に辿り着けていれば…」
アルフレ「そんなに自分攻めなくてもいいんじゃない?
これ以上遅れてたらもっと身体の部位奪われてたかも…だよー?例えば…そうだね、内蔵とか。」
ルフレ「‥くそ、何でお前に励まされなきゃいけないんだ。大体後からノソノソ来たくせに。」
アルフレ「僕も君なんか慰めたくなよ?それに此処に来るのが遅れたのは君が懐中電灯を独り占めしたから、だろ?
ほら見てよこの擦り傷。道中転んだり木に引っ掛かったり大変だったんだよ???」
ルフレ「彼女の苦しみ比べればそんなもの…!!」
アルフレ「僕はもう少し夢子の苦しんでる顔見ていたいなぁ?」
ルフレ「ッチ…!!!」
夢子「ルフレ…そこに、居るの…?」
すると、夢子の声が響いた。
か細い小さな声で。
ルフレは直ぐに夢子の手を握りに行く。
夢子は片手で右目を抑えている。
ルフレ「夢子!?意識戻ったんだね!?」
夢子「私…またドジしちゃった。あはは…」
夢子の残った左目から涙が零れる。
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