33
夢子はルミレの出した茨に体力を削られていく。
じわじわと命の鼓動が消えていくのを夢子は感じた。
夢子(何だか…眩暈がしてきた…)
意識が少しずつ失っていく。
ルミレはそんな夢子を岩に見ながら自身の髪先をくるくる弄って遊んでいる。
そこで夢子にとってはどうでもいい話をルミレの口から語られる。
【33=人形】
ルミレ「人間ってつくづく愚かだなって思うの。
外見…そうね、やっぱり第一印象って大事よね。
でも、最終的に求められるのは子を授かれる身体なのよ。
外見より中身。
わたしくしそれは正しいと思いますの。
中身が詰まっていないと何も感じないじゃない???
それにさっきも言ったけど子を宿せるか、重要なのよ。
だから今まで私は色んな苦痛に耐えてここまで来たの。」
夢子「…人形なのに苦痛を感じるの?」
ルミレ「わたくしには感情がありますからね。
喜び悲しみ憎しみ…そのあたりは普通の人間と変わらないのですよ?」
夢子「貴女がルフレが好きで狙ってるのは分かるわ。
でも、どうして私にも執着するの?」
ルミレ「貴女…邪神と魔女の両方の血が流れているのでしょう??」
夢子ははっとした。
色々有り過ぎて自身の事などすっかり忘れていた。
夢子「…それが、何?」
ルミレは本音を晒し始めた。
それは己の欲望でしかない身勝手な言い分。
ルミレ「邪神と魔女の血を引く貴女の臓器をこの美しい身体に内蔵さえすれば
私は完璧な存在となる!!
そして邪竜の血を引くルフレ様と添い遂げれば…
ほら、完璧な存在でしょう??クレイジー様もそしたらわたくしを認めて…」
夢子「・・・。」
ルミレ「素晴らしい内容についてこれないのでしょう?わかりますわ、血が素晴らしくてもこの世界では貴女は只の一般人。
壮大な私の計画にはついてこれないでしょう?」
夢子「貴女は…やっぱり可哀想な人ね。」
ルミレ「…今…何て言った?」
夢子「可哀想って言ったの。…実に哀れだわ。」
バチンッ!!!
ルミレは思わず夢子の顔を思い切りビンタした。
夢子の髪が頬に掛かる。
そして虚ろな目でルミレを見る。
ルミレ「…何よ…何よその目は…!!そんな目で私を見るな…!!!
見るな見るな見るな!!あいつ等みたいな目を私に向けるなっっ!!!」
バチンバチンバチンッ!!
ルミレの平手打ちが夢子を襲う。
それでも、夢子は彼女を憐みの目で見ていた。
珍しく息が上がるルミレ。
大分興奮している。
そんな自身に気づき、深呼吸をする。
ルミレ「…やだ、わたくしったら…こんな頭に血が上るだなんて…
クレイジー様の物になる前に壊したり何かしたらわたくし自身が…」
夢子「ルミレ、貴女って…今まで本気で誰かに愛されたこと、1度も無いでしょう?」
ルミレ「…!!!」
遂に夢子は逆輪に触れてしまった。
ルミレ「てめぇ…さっきから調子に乗りやがって‥‥」
声調が突然変わった。
それと同時に夢子に向かって物凄い勢いで茨の鞭が飛ぶ。
夢子は吹き飛ばされる。
夢子「カハッ!!」
コンクリートの壁に当たる夢子。
それはヒビがが入る程の威力。
ルミレがヒールの音を立てながら夢子に近づく。
そして、髪の毛を掴み自身の顔に近づけて言い放った。
ルミレ「クレイジー様の機嫌取りしてたけど、やっぱもうやーめた。
‥‥今からアンタの事痛めつけるわ。
ギタギタに虐めてから、内蔵無理やり引きぬいてやるよ。ギャアハハハハ!!」
ルミレの本性が現れた瞬間だった。
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