29
アルフレ「夢子の位置情報が…GPSの信号が途絶えた。」
アルフレの言葉を聞きルフレは青ざめた。
【29=狂い喰われ】
ルフレ「ちょ…そしたら僕らどうやって夢子の元へ行けばいいんだ!?」
アルフレ「そうだねー。地道にやってくしかないんじゃない?」
ルフレ「スマホの充電切れたらヤバイって言ったの君だろ?!
このままじゃ夢子が・・・」
ここで手を上げる人物が一人。
ピット「あのさ・・・。」
ルフレ「何!?」
苛立つルフレに向かってピットは恐る恐る口を開いた。
ピット「僕、夢子のGPSの座標覚えてるよ。」
ピットの言葉に皆は息を呑む。
ルフレ「え‥ほんと?!君ほんとに覚えてるの?!」
ルフレの驚く顔を見てピットがにっこりする。
ピット「こんなの地理の授業より楽勝だよ!ばっちり!」
アイク「流石…一応【優等生】ってだけあるな。」
リンク「今、本当に天使が見えます。」
ピット「ええ…これって当たり前じゃないの?」
皆「「「・・・。」」」
黙る車内の剣士組。
ピット「ねぇ!先生だってこんなの当たり前だよね!?」
ベレト「・・・。」
ルフレ(ベレト…僕ら兎も角君は教師失格だよ。)
ベレト「ピット君の脳内には地図があるみたいだしこのまま車走らせるぞ。」
ルフレ「そうだね、今は時間が惜しい。」
アルフレ「早くいかないとクレイジーが夢子に何するかわかんないしね。
まずは縄で括られて…それから夢子が嫌がる事を…。フフフ。」
ルフレ「…お前今僕に殺されたいの?」
卑猥な事を口から滑らせたアルフレにルフレは物凄い殺気を向ける。
リンク「ルフレ、…気持ちは分かりますが車内で喧嘩しないでくださいよ。」
ピット「そだよー。一時的に手を組むって、協力し合うって言ったじゃないかー。」
アイク「犬猿の仲だな。いや…それより酷いか。」
アルフレ「おーコワイね〜。そんなんじゃ夢子にも逃げられちゃうよ?
逃げたら遠慮なく僕が貰ってあげるけど。フフフ。」
ルフレ「マジで殺したい。今すぐサンダーソードでギロチンしてやりたい。」
アイク「落ち着けって…やるなら夢子を無事救出してからにしてくれ。」
ピット「そういえばおまるす、ゲボ落ち着いたかな?」
一方途中で降りたマルスとシュルク。
マルス「も…もう胃の中のもの全部出して今度は内臓が口から出そう…。」
シュルク「ほんと大丈夫ですか?」
マルス「僕ね…実は馬とかにも長時間乗ってられないんだ。絶妙に揺れるのが気持ち悪すぎて。」
シュルク「初代FEの主人公とは思えないですね。情けないというか何というか。」
マルス「でも‥。」
シュルク「?」
マルス「もう夜だしひとりで此処に置いて行かれなかったこと、君には感謝してる。ありがとう!」
シュルク「流石に夜の山は怖いですもんね。お互い様です。」
マルス「ああ、まだ出そう…うぷぷ」
シュルク「地道に頑張りましょ。」
シュルクは木の陰で嘔吐するマルスの背中を摩っていた。
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夢子はクレイジーを睨みつけていた。
何も反撃できないのが心苦しい。
すると、クレイジーが夢子の元へと歩み寄ってきた。
夢子「何…!?」
警戒する夢子にクレイジーは言う。
クレイジー「そのスカートのポケットの中のスマホ…それを渡してくれないか?」
夢子は気づく。
夢子(そっか…スマホ持って来てたんだ!?)
クレイジー「素直に渡すのならば手荒な事はしないよ。」
#NAME1##「なんで私のスマホが必要なの…!?」
クレイジー「餌だよ。」
夢子「餌…?」
クレイジー「君たちだってネズミが出たら餌でおびき寄せてから殺すだろう?」
夢子「!!」
クレイジー「私からしてみれば皆ソレなのだよ。私に歯向かう者は全て…」
夢子「渡すのが嫌だといったら…?」
夢子が声を震わせながら言う。
クレイジーは微笑む。
クレイジー「君は…今まで君に異性がしてきた事を、自分自身で分かっているだろう?
己の美貌に飢えたオオカミ達は君にどんな仕打ちを行ってきた?」
夢子「それは・・・」
クレイジー「大丈夫、これからは私が君を護ろう。
君に寄り付く汚いコバエは私達が駆除する。安心しなさい。」
夢子「【達】って‥‥?」
クレイジー「ああ、紹介しようか。おいで、ルミレ。」
夢子はその名前を聞いて青ざめた。
そう、あの狂った人形がまだいるという事を。
暗闇の奥で赤いルージュが笑っていた。
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