27
夢子「イヤアアアアア!!」
夢子は自身の頬に飛び散った血と脆く転がる柄オジサンの死体を見て悲鳴をあげた。
そして薄っすらと光の差し込む部屋のドアを見た。
誰かが立っているー・・・。
【27=左手の理想郷】
そこには柄オジサンに向けて銃を構えている人物がいた。
その人は部屋に入ってくるととっくに死んでいる柄オジサンの頭部に3発弾丸を打ち込んだ。
パンパンパン!!!
正にオーバーキル。衝撃でオジサンの頭からその中身がはみ出す。
夢子は余りの恐怖で悲鳴すら失った。
グロテスクでしかない。
銃を構えていたその人物は夢子を見てにっこりとほほ笑んだ。
その顔にも返り血がついている。
狂気でしかない。
???「やっと…会えたね。ハジメマシテ、かな。」
夢子は一瞬意味が解らなかった。
でも、感じた。
この人は私の良く【知っている人】に似ている…
いや、似すぎている。
もう悟っていた。誰なのか。
でも問いかけてみる。
夢子「貴方は誰…?」
夢子は聞いた。震える声で、か細く。
するとその人物は静かに答えた。
クレイジー「私はクレイジー。
クレイジーハンド…そういったらきっと君もわかるだろ?」
夢子「…!!」
【クレイジーハンド】…。
それはマスターハンドの双子の弟。
通りで見た目がマスターに似ている。
だが清楚なマスターに対してクレイジーは白髪の髪をアシンメトリーにしていて
耳に無数のピアスをしている。
…まるで右側に対して反発しているような…そんな見た目。
オッドアイの赤と黒の瞳はマスターと同じで
マスターとは逆に右手に義手をはめている。
失った…からだろうか。
首にはスマブラのあのロゴマークの入ったネックレス。
そしてかなり美形な分類だろう。夢子じゃない普通の女子なら口説かれれば即堕とされているだろう。
そんなミステリアスな魅力がある。瞳を見てたら洗脳されそうな、そんな目。
でも夢子はそんな魅力には取り込まれなかった。だって・・・・
あちらの世界でも大勢の人がこの人に振り回されたからー・・・
夢子「…ダークにぃも沙羅も貴方に酷い事されて…
且つては豊だったあの国も朽ちてしまった‥‥」
夢子はクレイジーを睨みつけた。
その話を聞いたクレイジーが首を傾げたあと思い出したように言った。
クレイジー「…ぁぁ、そういえば3匹ほど私を裏切った愚か者が居たな。
そんな名だった気がする。…彼らは元気かい?」
夢子「貴方の我儘で一体どれだけの人々が迷惑かかったと思ってるの?
迷惑…いいや、その言葉では生ぬるいくらい…!」
クレイジー「私の理想を現実にするには仕方がない事だったのだよ。
そのためには多少の犠牲も必要…そう思わないかね?」
夢子「可笑しい…理解出来ない…」
クレイジー「君は何故此処に呼ばれたか、私と会ったこの瞬間察しただろう?」
夢子「貴方の目的に私は賛同なんてしない…!」
クレイジー「私だってそう簡単に君がはいそうですと言う事を聞くとは思ってはいないよ。
魔女の血…ずっと探してた。今度こそ理想を現実にする…
そしてその暁にはこの世界も手中に入れよう。」
夢子「私は簡単に言いなりになったりしないわ。」
クレイジー「その方が心の折りがいがある。結局…君は私の言う事を聞かないといけない、そんな羽目になる。」
夢子「私には仲間がいる…!絶対貴方を倒してくれる!
私は信じている…だっていつも皆は‥‥」
クレイジー「そのお仲間さん達は、私の立ちあげた組織が全力で潰してあげよう。」
夢子「!!??」
クレイジー「君がすんなり私のモノになるのならば、彼らは傷つけずにいても良いのだぞ?」
夢子「なんでそんな脅しを‥」
クレイジー「今、左手組は日本最強の裏組織となった。
此処では彼らもただの一般人。…私の勢力に勝てるとでも?否、無力に潰されれるだけ。」
夢子「酷い‥‥!」
クレイジーはスマホをチラチラと見せた。
クレイジー「先ほど情報が入った。君を彼らスマブラファイターが探しているとね。
でも…此処は人里離れた山中。そう簡単には見つけられない。しかしほんと便利な世界だ、ここは。
このスマホというアイテムは実に有能だ。」
夢子「…皆は絶対来てくれる!」
クレイジー「居場所がバレたとしても全力で潰すだけだからな。ククク・・・ハハハハハ・・・・!!!楽しいねぇ!?!?」
クレイジーは狂ったように笑い始めた。
そしてブツブツ早口で呟き始めた。
クレイジー「…私は出来損ないなんかじゃない。
兄さんに出来るものが私に出来ないはずがない。
絶対に世界を支配して、兄さんの存在自体を消して
私がスマブラ界の…いいや、全世界の頂点に君臨してみせるー・・・・!!!」
夢子は感じた。
この人の目には復讐の文字しか浮かんでいないと。
マスターとの間に何があったか知らない。
でも、憎しみの感情は現れる。
夢子(ルフレ…皆…私皆にまた会えるよね?)
夢子は恐怖で震えるこぶしを握り締めた。
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