26

夢子の入れられた箱が柄オジサンに運ばれて行く。
ガタガタと揺れる箱の中で夢子は息を殺す。



夢子(…私は、一体どうなるの?)

拘束された手のひらに汗が滲む。





【26=終わる者と始まる者】





暫くすると箱の揺れが収まった。
そして箱が開かれる。
明かりが入って来る…そう思った夢子だったが
瞼を閉じていても分かった。
電気がついていない。



夢子は気絶しているフリを続けていた。

柄オジサンが夢子の顔を覗き込んでいるのが何となく感じた。



柄オジサン「しかし…ボスもこんな少女に目をつけるとはな。
      最初は只の煩いガキ共の隣に住まわされてイライラしたが…」
      ん?よく見るとこの女凄いカワイイじゃねーか…」

柄オジサンが独り言をブツブツ呟く。

夢子は怖くて震えていた。
すると手首と足首に巻かれていた結束バンドが外された。
そして夢子は柄オジサンに箱の中から取り出された。


柄オジサンは何をしようとしてるのか、
夢子には解らなかった。
…解りたくなかった。






柄オジサン「…少しくらいなら味見してもいいよな?」



夢子は悟った。
今まで似たような目に何度もあったから。



柄オジサンは部屋の隅にあるベットに夢子を寝かせると
突然上に覆いかぶさってきた。


夢子は気絶するフリをしている場合じゃない事に気付く。

柄オジサンが夢子の服に手をかけてきた。


ブチッ・・・!

非力なボタンがはじけ飛ぶ音がする。


夢子は思わず悲鳴をあげた。


夢子「いやああああ!!」

夢子が叫び声をあげて柄オジサンは少し驚くが気にしていない様子でニヤついた。

柄オジサン「…なんだ、目覚めてたのか。‥‥まあ気絶してるの襲っても意味ないしな。
      女は声が出たほうが面白みがあるしな!」

柄オジサンが夢子の両腕を抑えてきた。
その股間は膨れ柄オジサンの呼吸が荒い。
タバコのニオイが苦しい。
夢子は久しぶりに恐怖を感じた。


こんな時、いつも助けてくれた人たちがいた。

でも今は、助けを求められない。




夢子(知らない場所で知らない人にこんな酷い仕打ちを受けるなんて…)

夢子は泣いていた。

柄オジサン「うへへ、泣いてる顔もカワイイな!俺が泣けない程気持ちよくさせてやるから安心しな!」

柄オジサンが夢子の下着に手を伸ばした…その時だった。





パンッ!!!






乾いた音が部屋に響く。
何の音か恐怖に震える夢子には解らなかった。


そして、



柄オジサンは頭部から血を吹き出しながら地面に転がった。

夢子の頬に返り血が飛ぶ。




夢子「イヤアアアアアアアアアアア!!!」


先ほどのそれは【銃声】だった。








【いいね!!】


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