19

黒「夢子!!」





【19=不穏な予感を感じて】











沙羅からの連絡で黒が直ぐに駆けつけてくれた。
黒は息を切らしてうなされて居る夢子の元へ近づく。



黒「夢子…一体何があったんだ!?」
ベレト「俺が説明しよう。」
黒「…アンタ誰だ?」
ベレト「夢子と沙羅とこの馬鹿共の担任だ。」



ベレトは黒に事情を説明した。
黒の表情は次第に怒りで煮えたぎる。


黒「アルフレ…あのドS野郎…また夢子にちょっかいを‥!
  やはりあちらの世界に居る間に息の根を止めておくべきだった‥‥。」
ピット「黒兄、顔怖いよー。微生物をも殺す顔してる!」
黒「あとお前等もお前等だ。全くだらしがない…そんなんで夢子を守り抜く覚悟あるのか?」
マルス「うっ…。」
黒「特にルフレ。お前が一番だらしない。」
ルフレ「ええ、ボク!?」

黒は眉間にシワを寄せながらルフレに詰め寄る。

黒「夢子の彼氏を名乗るならもっとしっかりしろ。命を賭けろ。身体を張って夢子を守れ。」
ルフレ「そんなの僕だってわかってるよ…僕なりに頑張って…」
黒「頑張った結果がコレだ。現実がコレだ。どうなんだ?」
ルフレ「う、…何も反論できない…。」
黒「やっぱりお前等なんかに夢子を任せられないか‥‥。」
ルフレ「これから挽回するよ!夢子は僕が守るから…!」
黒「…信用していいのか?」
ルフレ「任せてよ!僕頑張る。今まで以上に夢子を大切にする…!」
ピット「ぼくもぼくもー!」
黒「次夢子を苦しめるような事があれば俺はお前等全員許さないからな。」
沙羅「黒さん、もういいんじゃない?彼らはそれなりに反省してるわ。」
黒「だが…」
ベレト「その辺にしておけ。お前が夢子の兄だから妹が心配なのはわかる。」




夢子「ううっ・・・痛い・・・。」




黒達が言い合いをしている中、また夢子が苦しみ始める。

ピット「ねーこれからどうするのさ?やっぱ病院連れてく?総合病院とか…?うーん‥‥」
ベレト「病院で治るモノでもなさそうだ。夢子の持つ魔力が原因の可能性が高い。」
ルフレ「…?魔力なら僕らも持ってるじゃないか。何故夢子だけ…?」
ベレト「魔女の血…やはりそれが一番の原因だろな。」
シュルク「魔女って…以前日本に居た時はこんな事なかったですよ?例え風邪引いた時でも決してこんな状態には‥」
ベレト「異世界に転生した影響が一番だろう。一度あの世界に行くと融通が利かなくなる場合もある。
    彼女の場合1年以上もあちらに居たからな。」
リンク「…よくわかりませんがなんとなくわかりました。」
アイク「どっちだよ。」
ルフレ「夢子…。」
黒「どうしたらこの状態から回復出来るんだ?」
ベレト「解決策の無い今は休養するしかないだろう。暫く学校は休ませろ。
    …俺も一度あちらの世界に戻ってマスターに報告してくる。」
マルス「先生ってそんな簡単に異世界に移動できるの?」
ベレト「お前等だってやろうと思えばできるはずだが?Wi-Fi、この家にもあるんだろ?」
マルス「君、万能だね…色んな意味で尊敬するよ。」
黒「…もう少し夢子の様子診ていたいが…俺もこれからやることがあるから、今日は帰るな。」
沙羅「私もそろそろ帰らなきゃ…親が心配するし。」
ルフレ「うん、君たちは帰っていいよ。ここは僕らに任せて!」





ベレトと黒と沙羅は夢子宅から去って行った。
残った剣士男子達は夢子の見守る。
心なしか少しだけ楽にしているように見えた。
家に着いてからルフレが夢子の手をずっと握っている。
リンクがその様子を見て台所へと立つ。




リンク「…今日も俺がご飯作りますね。」
シュルク「え…もしかしてまたそうめんですか…?!」
リンク「いや、流石にこれ以上続けると体に悪いので…色々具材買っておきました。」
ピット「流石リンクー!頼りになるー♪」
リンク「ほら、貴方達も手伝ってください。玉ねぎの皮くらいなら剥けるでしょう?」
アイク「俺いつも目に染みるんだよなぁ…。」
マルス「今日の水泳の授業で使ったゴーグル使えば?」
アイク「お前意外と頭良いな。」
マルス「意外は余計!」



ルフレはずっと夢子の手を離さない。
彼女の顔をずっと見つめている。
夢子はこんな時でもとても綺麗な顔立ちをしていた。



ルフレ「見えない敵が何だって言うんだ。僕は軍師…皆を…君を護って見せるから。」



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