16

剣士男子達の視線の先にはスクール水着を華麗に着こなす夢子の姿があった。




【16=水難事故】



女子の中でもダントツでスタイルの良い夢子。
出るところは出て引き締まる所は引き締まっている。
隣に立つ沙羅もなかなかだが…

夢子は水着を少し引っ張る。

夢子「んー、昔のだからちょっとキツイ…新調すればよかったかなぁ…」
沙羅「成長したからじゃないの?」




男子生徒「「「エロ過ぎる!!!!」」」


ブシュウウウウウウ!!



男子達は一斉に鼻血を吹く。
無論、剣士男子達もその仲間だ。



女子生徒1「キャアアアアアア!」
女子生徒2「男子キモ!」
女子生徒3「先生!男子達皆鼻血出して…」







ベレト「・・・。」




女子生徒3「キャアア!せ、先生も鼻血出してる!!!!」






女子たちが一斉に黄色い声をあげる。
どうやらこのクラスの男子は理性がどうも弱いようだ。
夢子はそんな状況を見てあまり理解出来ずにパニクっていた。

夢子「な、なになに…どうしたの皆…!?」
沙羅「貴女ってば殺傷能力強過ぎよ。」
夢子「ええ、私!?沙羅が原因でしょ!?」
沙羅「あ、男子達が水面に浮かび始めた。」
夢子「なんかブクブクいってるよ!?大丈夫なの!?」
沙羅「男子ってほんとバカよね。黒さんならこんなことにはならない。」





そんな中、一人だけ鼻血も出さずに平然と居る人物がいた。
…アルフレだ。
彼は夢子の事をニヤニヤ見ているが、唯一鼻血は出していない。
そして夢子の元へと近づいてくる。

アルフレ「ふーん、日本の水着ってそういう感じなんだね〜。」
夢子「アルフレ…!?てっきり水泳の授業は不参加かと…。」
アルフレ「こんな美味しい授業出ない訳ないじゃん。
     さ、僕が泳ぎ方教えてあげるよ。こっち来て?」

アルフレは夢子の腕を引っ張る。
そして一番端にある深いプールへと連れだした。

沙羅「ちょっと、貴方達!アルフレに夢子連れていかれたわよ?!」

剣士男子達は水面に赤い模様を出しながら浮いている。

沙羅「男子ってほんと馬鹿ね…いつまで気絶してるのよ…しっかりしなさいよ…」










アルフレ「さ、ここで泳ぐ練習しよう?」

アルフレは夢子にプールの中に入るように勧める。
戸惑う夢子。

アルフレ「こういうのはね、身体で覚えるしかないんだよ?」
夢子「でも私‥‥。」
アルフレ「大丈夫、溺れたら僕が人工呼吸して目覚めさせるから。」
夢子「何言ってるの貴方…馬鹿なの!?」

と、次の瞬間。
アルフレは夢子の背中を押した。
夢子はプールへと落ちていった。



バシャアアアアアン!!!


夢子「いや!私泳げない…!ぷはっ…ここ…脚つかない…ぼこぼこ…」

夢子の苦しむ姿を見てアルフレは興奮していた。

アルフレ「いいね…その顔!ずっと見たかったんだ、君の苦しんでる顔!
     そのまま沈んでいいよ?意識が途絶える寸前で僕が‥‥」


アルフレが言い終わる前に向こう側からベレトが走って来る。
そしてベレトは溺れる夢子の元へとプールの中に飛び込んだ。


夢子「…っ!!!」


ベレト「アルフレ!!!お前は何をしているんだ!!!」


施設に珍しくベレトの怒号が響く。
ベレトがプールサイドに夢子を引き上げる。

夢子「カハッ・・・!ゲホゲホッ・・・!」

夢子は飲んだ水を苦しそうに吐き出す。

アルフレ「えー。せんせーなんで助けるの?楽しいのはこれからだったのに。」
ベレト「お前は自分のしたことの重大さを分かっているのか!?」
アルフレ「夢子が溺れた。ただそれだけの事でしょ?」
ベレト「…この国に居たいのならこの様な軽率な行動はやめろ。」

ベレトがキレた。いつもの真顔が更に険しい。

アルフレ「はーい。」

アルフレは軽く返事をする。まるで反省していない様子だ。

ベレト「…夢子、大丈夫か?」
夢子「けほけほっ…は、はい。」
アルフレ「あーあ、なんか覚めちゃったから僕もう今日の授業はやーめた。」


アルフレは残念そうで、薄笑いを浮かべプールの入口へと歩いて行った。
途中、沙羅とすれ違う。


沙羅「…アンタ、何にも変わってないじゃない。向こうに居る時と一緒。」
アルフレ「僕は僕だから。これの何が問題なの?」
沙羅「…そういう思考が問題なのよ。」
アルフレ「そう。君なら理解してくれると思ったけどなぁ…?残念だよ。」



アルフレはタオルと被って去ってしまった。
沙羅は後ろ姿を睨む。




【いいね!!】


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