14
窓ガラスの割れる音が部屋中に響き渡る。
驚く夢子。そんな急な事態にも動揺しないベレト。
ベランダにはブロックを両手に持つルフレが立っていた。
【14=小さな修羅場と陰】
ルフレ「…ベレト、君‥一体何してるんだい?」
ルフレは黒い笑みを浮かべている。
ベレト「家庭訪問だが。そして先生と呼べ。」
ルフレ「こんな夜にしかも同居人無理矢理締め出して家庭訪問!?君馬鹿なの?
それにいつまで夢子にくっ付いてるんだい?いい加減離れてよ。(イラッ)」
ベレト「…これから楽しくなる予定だったんだがな。」
ルフレ「た…楽しい…!?」
ベレト「今日は帰る事にするが、お前等覚悟しとけ。夢子は俺が貰うから。」
ルフレ「はぁ!?」
ルフレの怒りが頂点に達しそうな時にベレトは靴を履いて玄関のドアを開ける。
ベレト「じゃあな、夢子。また明日学校で。髪はちゃんと乾かせよ。風邪引いて学校休まれると先生困るから。」
ベレトは普段通りの顔でそそくさと帰って行った。
ドアが閉まるのを確認したルフレはすぐさま夢子に駆け寄る。
ルフレ「夢子!!大丈夫?!何もされてない!?」
夢子「う、うん…大丈夫。ちょっとびっくりしたけど平気。」
ルフレ「全く…あの人には要注意しないと…アルフレの事もあるし僕心配で…。」
夢子「ルフレ。」
ルフレ「…なんだい?」
ソワソワするルフレの手を取って夢子は一言言った。
夢子「私の一番は、ルフレだよ?」
夢子はルフレににっこり微笑む。
その一言と笑顔を見たルフレは、興奮して大声をだす。
ルフレ「え、もう一回言って!?」
夢子「な…恥ずかしいからもうダメ!」
ルフレ「お願いお願い!!!」
ドンドンドン!!!
すると玄関のドアがドンドンと鳴った。
夢子「だ、誰かな?」
ルフレ「どうせまたベレトでしょ。僕が追い払うから夢子は安心して?
‥全く、隙あらば夢子に近づいて……」
ルフレが玄関を開けると
そこには柄の悪そうなオジサンが立っていた。
どっからどうみても怒っている様子。
隣のオジサン「おい!今何時だと思ってんだ!さっきからうるせーぞ!
ガラスの割れる音はするわ、大声でギャーギャー騒ぐわ…!」
ルフレ「あ……すいませ…」
隣のオジサン「次騒いだらただじゃおかねェからな!?分かったなクソガキ共!」
文句をブツブツ言いながら隣のオジサンが帰っていった。
ルフレがほっと一息つく。
部屋へ戻ると心配する夢子と平然とお菓子を食べている他の剣士組が居た。
夢子「ルフレ、大丈夫だった?」
ルフレ「うん、ボクは平気。ってか!君たちもベレトにがつんと一言言ってくれればよかったのに
何奥の方で隠れてたのさ!?僕ばかり睨まれたじゃん!」
ピットが煎餅を食べながら言う。
ピット「いやー、宿題増やされたくなかったら前に出れなかった★」
ルフレ「宿題と夢子どっちが大事なんだい!?」
ピット「それは夢子だけど…。」
アイク「‥というか、ルフレ、派手にやったな‥‥どうすんだコレ。」
アイクが飛び散ったガラスの破片を指さす。
シュルク「大家さんに怒られるのは責任もってくださいよ。僕らは関係ないですからね。」
夢子「でも、隣の人新しく入った人だね…前にはいなかったし…とても柄悪そうだったなぁ。
皆気をつけようね。」
夢子達が賑やかに話している間、玄関から出た柄の悪いオジサンはタバコを吸いながらニヤリと怪しい笑みをこぼしていた。
隣のオジサン「…良いカモが見つかったぜ…ククク。」
柄の悪いオジサンはスマホを取り出すと、何処かへと電話をかけた。
隣のオジサン「もしもし、リーダー?‥‥ええ、次のターゲット見つけましたよ。…ええ。
直ぐに行動に移ります。…はい。」
オジサンは電話を切る。
そして胸元から銀色に光るナイフを光らせた。
そして夢子達の部屋の番号を見る。
隣のオジサン「102号室…うるせえガキ共が沢山…善良な大人が躾てやらねえとなぁ。」
そしてオジサンは隣の部屋へと戻っていった。
タバコは廊下に投げ捨てられ僅かな火と煙を出していた。
そして今日も夜が明けていく。
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