13

ルフレ「ちょ!ベレト!何してるんだい!?ここ開けてよ!」

ルフレはドアノブをガチャガチャしながら扉を叩く。

リンク「まさかあの人…夢子に何かする気じゃないでしょうね…?」
ピット「あわわ…夢子…!ダイジョブかな…?」



【13=夜の家庭訪問】



騒がしい扉の向こう側では夢子とベレトは向かい合っていた。

夢子「先生!?どうしたんですか、こんな夜遅く…」
ベレト「家庭訪問だ。」
夢子「えええ…!?聞いてないですよ!?」
ベレト「今決めたことだから。」
夢子「はぁ…。なんでルフレ達締め出してるんですか?ちょっと可哀想‥‥」
ベレト「アイツ等が一緒だと集中出来ないだろ?煩いからな。」
夢子「まあ、そうかもですが…。」

ベレトは家の中を見回わす。

ベレト「アイツ等も一緒に暮してるとマスターから聞いた。…こんなに狭い部屋に暮してるんだな。」
夢子「でも楽しいですよ!私前は一人ぼっちだったから…。」
ベレト「何か困ってる事はないか?何時でも協力するぞ。」
夢子「今のところは…特にないかなぁ?」
ベレト「‥そうか。」
夢子「そういうベレト先生は何処でどうやって暮らし居るんですか?
      ここに来たばかりですよね?」
ベレト「ああ…。その話か。…言いにくいというか君に不快な思いだせるかもしれないが、聞くか?」
夢子「…?いいですよ、言ってください。」

ベレト「俺は今アルフレと一緒に生活をしている。
    此処から少し離れた都心のタワーマンションの最上階でな。」

夢子「アルフレ…!?それにタワマン!?」

ベレト「マスターがアルフレを此処に送る為に付けた条件、
    それが俺という存在だ。」

夢子「どういう事ですか‥!?」
ベレト「君たちが日本に転送されて直ぐ、俺はマスターの元に召喚された。
    その時にアルフレが日本へ行くのを志願している最中でな。
    マスターが悩んでいた時、俺がその話に首を突っ込んだわけだ。」
夢子「…でも…アルフレは…」
ベレト「アイツも過去より大分改心しているとマスターは判断したようだ。
    でもあの性癖だ。少々問題もある。だから保護者付きという事で俺達は日本に来たんだ。」
夢子「そういう事でしたか…この事でずっとモヤモヤしてたから少しだけスッキリしました。」
ベレト「でも、此処は本当に良い世界だな。
    少なくとも日本は争いなどが無い。」

ベレトは少し影を濁した目で言う。
夢子は戸惑いながら聞く。

夢子「FE勢のファイターは元の世界で戦争してるんですよね…。先生の所もですか?」
ベレト「ああ。まあな。」
夢子「日本は割と平和だけど、小さな見えない影の争いが多いですよ。…今はネット社会で余計…。」
ベレト「100%完璧な平和なんて、人間同士が居る限り無くならないもんだ。」
夢子「そうかもしれませんね…悲しい現実です。皆同じ生き物なのに・・。」


夢子は悲しそうな顔をした。
その顔を見たベレトは夢子をそっと抱き寄せた。
夢子「せ…先生!?」
ベレト「…何だかお前事を無性に抱きしめたくなったから…。
    そんなに悲しい顔しないでくれ。
    皆守りたいものがあるから戦うんだ。」
夢子「…そう、ですかね?」
ベレト「領地と奪い合うのも、陰口を言って他人を貶めるのも
    最終的には自分を守りたいからじゃないかな。皆人は一人では生きられないし弱い生き物だ。」
夢子「そういう考え方もあるんですね…。」
ベレト「俺もまだまだ偉そうなこと言える立場じゃないけどな。」
夢子「先生と話して少し考えた方変わりました!先生、ありがと!」

夢子は笑った。
そして、小さな抵抗を始める。

夢子「あの…先生。」
ベレト「何だ?」







夢子「もう、離してもらえませんか?///」



夢子はずっとベレトに捕まっている。
この人、夢子を解放する気がなさそうに見える。
夢子は小さな抵抗を続けるが…



ベレト「シャンプー、何使ってるんだ?」



やっぱり離す気が無い。



夢子「もー、ほんとやめてくださいよー!///」
ベレト「俺は君の事本気で好きだよ?」
夢子「!?…からかわないで下さいよ!大体生徒ですよ!?」
ベレト「俺の目にはカワイイ女の子にしか見えないから。」
夢子「そういう問題じゃ…」
ベレト「アルフレ君には悪いけど…今日は此処に泊まろうかな?」
夢子「部屋、狭いですよ!?」
ベレト「大丈夫、お前と俺が一緒にくっ付いて寝ればいい。」
夢子「えええ!?」



夢子がジタバタと暴れるが、ベレトが力を入れると動けない。
夢子「ちょ…!」
ベレト「このまま早めの就寝するか?」


かなり本気で口説きに掛かったその時。


ガシャアアアアアアアアアアアアン!!!!



突然ベランダのガラスが割れる。




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