クレイジーの魔の手から逃れ、夢子達の平和な時が過ぎた。
半年…?いや、1年。そのくらい経っただろうか。
幻双国は今日も綺麗で平和だった。
そんな時、夢子は思い出す。


故郷の日本の存在をー・・・





【1=願い】




夢子は城の中庭の花壇で花に水をあげていた。
ぼーっとしながら空を見上げる。


ルフレ「夢子、また花育ててるのかい?」
夢子「あ、ルフレ‥。」

そこにルフレがやってきた。
夢子はまだぼーっとした顔をしている。


ルフレ「‥どうかしたのかい?何か考えているようだけど。」
夢子「うん、ちょっとね。」
ルフレ「相談なら僕が聞くよ?」
夢子「…あのね、この世界も素晴らしくて素敵だと思う。
      でも、日本の事がどうしても気になっちゃって。」
ルフレ「それはそうだね。君は日本人だから。
    幾ら魔女の血が流れてるとは言い君が育ったのは日本。故郷だもんね。」
夢子「…マスターなら、話聞いてくれるかな…?」
ルフレ「もしかして、日本に戻りたいのかい?」
夢子「‥‥少しね。学校とか友達とか、なんか懐かしくなっちゃって。」
ルフレ「じゃあマスターに話しに行こう。」
夢子「え、今から!?」
ルフレ「こういう話は早い方が良いよ。さ、いこ!」


ルフレは夢子の腕を引く。
夢子はルフレに連れられ城の中へと戻っていった。







城に入って長い階段を上がる。
大きな扉を開き玉座の間にはマスターハンドがいた。
少し、難しい顔をしていたがルフレと夢子の存在にすぐ気づく。


マスター「ルフレに夢子か‥。どうした?」
夢子「あ…あの…」

夢子は口ごもる。
この異世界に来たことで命が救われた事実、それがあるから言葉がでない。
そんな夢子の様子を見てルフレが代わりに口を開く。

ルフレ「マスター、お願いがあるんだ。」
マスター「ん?なんだ?言ってみるがいい。」




ルフレ「夢子を日本に帰す事ってでるのかな?」

夢子「ちょ、ルフレ!」
ルフレ「だって、君だって帰りたいんでしょ?」
夢子「そんな事したら私達…離れ離れに…」
ルフレ「大丈夫。また僕も一緒に日本に行くから。」
夢子「えええ!?」
マスター「ああ、そういう事か…。
     良いだろう。向こうの世界のネットワークとの繋がりが安定してきた頃だ。
     …但し、条件がある。」
夢子「条件?なんですか…?」

マスター「君が此処で戦った武器…つまりその魔導書を手放さないでほしいのだ。」
夢子「‥!」
マスター「勿論日本で魔導書で魔法を放てとは言わない。
     ただ、御守り代わりだと思って護身用に持っていてほしい。」
夢子「何故ですか…?」
マスター「今はまだうまく説明が出来ないが、今後の為だ。
     日本でならただの古本にしかみえないだろう。それに文字は暗号化されている。
     一度この世界に来た者にしか読めない。」
夢子「…わかりました。」
マスター「…では、いつ旅立つか決めたらいい。他のファイター達とも相談してからな。」
夢子「ありがとうございます、マスター!!」






夢子とルフレは玉座の間から離れる。

夢子「…私、帰れるんだ…日本に…!」
ルフレ「とても嬉しそうだね?」
夢子「だって故郷だもん!」
ルフレ「君、ここ最近ずっとぼーっと空見てたけどもしかしてずっとこの事考えてたのかい?」
夢子「あはは…バレちゃった…。」
ルフレ「帰れる場所があるって良い事だよ。…僕にはもう故郷何てないから。
    君が羨ましいよ。」
夢子「だったらルフレの日本を故郷にしたらいいんじゃない?
      ちっちゃい狭い家だけど…」
ルフレ「大丈夫。僕出生して大きな一軒家買って君と僕とわたあめで暮らそう?」





リンク「‥‥何が大きな一軒家〜ですか。」




声のする方を振り返るとそこには剣士男子達が立っていた。

リンク「話、全部聞きましたよ。」
ピット「夢子、日本に帰れるんだね!」
マルス「で、僕らはどうするのさ?」
アイク「…またクレープ食べるか。」
シュルク「あはは、そうですね!」


ルフレ「え…ってことは…」





剣士男子「「「僕(俺)達も一緒に行くから!」」」



ルフレが青ざめる。
ルフレ「えええ‥夢子と二人きりでラブラブ生活の予定が…」
リンク「貴方に夢子さん任せられません。」
ピット「うんうん!ルフレはスケベだから夢子に何するか知ったこっちゃないもんね!」
ルフレ「君たちだって夢子と二人きりならどうするのさ?ラブラブするなって方が無理でしょ?」
マルス「まあね…夢子最近ますますカワイイし!」
アイク「バナナにチョコトッピング推し」
シュルク「少なくとも僕は貴方達みたいなゲスいことはしませんよ?」
夢子「じゃあ、皆も来るんだね?」
ルフレ「はァ…計画が台無しだ…。」
リンク「フフ、残念でしたね?今度こそ俺が夢子さん攫ってみせますから。覚悟してくださいね。」
ルフレ「いいよ、僕負けないし。今までも、これからも。」






夢子達は再び日本に帰れることになった。
この世界ともお別れ。
でもまた来るかもしれない。
永遠ではない。



夢子「幻双国、ありがとう。」



夢子は期待と懐かしさを胸に抱く。




【いいね!!】


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