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黒と沙羅が行方不明になって2週間が過ぎた。
相変わらずふたりとも送ったラインは既読にならない。
警察にも捜索届をだったが、一向に足取りは掴めていない。
夢子は憂鬱になっていた。
大好きな兄と親友の安否、どうしても確かめたかった。
そして最悪の場合の結果も想像する。
恐ろしくて怖い。
もうすぐ夏休みが終わってしまう。
早く二人を見つけなければと夢子は焦っていた。

夢子は駅前で毎日ビラ配りをしていた。
少しでも情報がほしい、そんな思いで。
しかし情報はひとつもない。
余計ふたりの安否が疑わしいこの状況。
沙羅は以前から何か悩んでる様にも見えた。
何度も相談に乗ろうと名乗りを上げた夢子だったが
沙羅は遠慮するというより、そこにひとつの壁を築き上げていた。
これ以上踏み行ってはいけない、そういう気がした。
黒は…いつも本音を言わないでいた。
きっと悩みも自分から話すような質ではない。
彼女は黒にも負い目を感じてた。

夢子「一体どうすればー・・・。」
ルフレ「夢子、はい、お茶買ってきたから少し休憩しよ?」
夢子「ありがとうルフレ。ごめんね、付き合わせてしまって。」
ルフレ「ううん、気にしないで。僕が君の事助けたいだけだから。
    それにしても情報無いね…もうこの辺に居ないのかな?」
夢子「そんな…ふたりとも私に黙って遠くに行くなんて、あり得ない。」
ルフレ「何か事件に巻き込まれてるのかも?」
夢子「きっとそうよ、何か理由があるのよ…絶対…。」
ルフレ「お兄さんと沙羅、居なくなる前なんか言ってなかった?」
夢子「ダークにぃはいつも通りだったよ。
      沙羅は最近ずっと何か悩んでたことあったみたいで。
      聞いても私にすら話してくれなかったの。」
ルフレ「うーん、君は…気づいてた?彼女の気持ち。」
夢子「え?どういうこと?」
ルフレ「こういう事僕が言って良いのかわからないけど、君が気づいてないなら…。」
夢子「何よ、貴方何か知ってるの?」





ルフレ「彼女【沙羅】はお兄さんの事好きだよ。」



夢子は一瞬驚いた。
でも少し考えて納得する。
夢子「そっか…それで…。
      なんか、おかしいと思ってたの。
      沙羅…ダークにぃが一緒の時いつも変だったから。
      そういう感情持ってたのなら納得のいく言動だったかも。」
ルフレ「だからね、ピット君たちも必死だったみたいだよ。
    恋のキューピットになるって騒いでたし。」
夢子「ああ…そういえば…なんか騒いでたわね、この事か…。」
ルフレ「あともうひとつ。君が気づいてない事あるよ。」
夢子「何よ…もうここまで聞いたら最後まで聞くわ。」
ルフレ「沙羅の事話した後で凄く言いにくい話なんだけど。」
夢子「大丈夫、言って!」









ルフレ「そして…お兄さんは、君、【夢子】に好意を持ってるよ。」






夢子「・・・え?」
ルフレ「僕も夢子のこと好きな男性の内のひとりだから
    本人から何も聞かなくても気持ちくらいは察することできるから。」
夢子「冗談でしょ?だってダークにぃと私は家族ー・・・」
ルフレ「血縁関係無いんでしょ?…だったら話は早いと思う。」
夢子「うそ・・・。」
ルフレ「これだけはもう少し先に話したい話だったけど…
    お兄さんと沙羅のこの状態見てるとそういうのも関係してるのかなって。
    ごめんね、君の事傷つけてしまったかもしれない。」
夢子「…ううん…ありがとうルフレ。
     私ずっとあの二人の事疑問に思う事あったから。
     その蟠りが少し解けた気がする。」

夢子は泣いてた。
悲しいのか怒っているのか笑っているのか、自分でも解らない涙。
どうしたらいいのかわからない不安。
そんな夢子の手をぎゅっと握るルフレ。

ルフレ「大丈夫、あのふたりは絶対生きてるから。」
夢子「うん、絶対見つけて話し合って…今度こそ蟠りを完全に無くすわ。」
ルフレ「その意気だよ!僕だって2人を無事見つけたい気持ちは同じさ!」




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