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沙羅【これで…私はずっと貴方の隣に立てる】



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沙羅は黒に自分の思いを伝えるため
夢子と剣士たちの登った山にいた。
夢子がこの山に登る事は知っていた。
良い報告ができるよう、下山して着たら合流するつもりでいた。
沙羅は緊張で手が震えている。
黒「沙羅、こんな所に呼び出してどうしたんだ?大分遠出になったが。」
沙羅「えっとね…黒さん。私黒さんに話したい事があって。」
黒「なんだ?」
沙羅は勇気を振り絞ってありったけの力で告白をしようとした。
その時だった。


ヒュドラ【幼き我が同類よ…お前たちの願いを叶える手立てがあるとしたら?】
耳障りな低い声がふたりには聴こえた。

沙羅「黒さん、何か…聞こえない?」
黒「ああ、よくわからないが…何か邪悪なものを感じる。」

ヒュドラ【叶わぬ恋心を実らせたいのならば我の元へ来い。
     ずっと孤独なのは辛かろう?】

沙羅は嫌な予感を感じた。
とても禍々しくて邪悪な存在。
怖くなった沙羅。そして黒に伝える。



沙羅「黒さん、今日はもう帰りましょう…

     黒さん?」
黒の返事が無い。
沙羅が黒を見ると
黒の瞳は紅色に染まっていた。
ヒュドラ【ふはは、愚かだ。これだから人間は面白い。洗脳し甲斐がある。」
沙羅「貴方は誰なの?私たちにどうしろっていうのよ!?」
ヒュドラ【お前も敵わない恋は嫌だろう。さあ、我の手下になって
     この男と永久の愛を誓うがいい。」
沙羅【とわのー・・・あ・・・い・・・】

沙羅の瞳も紅色に染まってしまった。

黒と沙羅はクレイジーの配下となってしまった。
ヒュドラの瘴気は全て二人に吸収され力となった。
死骸は跡形もなく消えた。

そして黒と沙羅はこの日を境に姿を消した。


夢子とファイター達に危機がせまる。
今はまだ誰一人気づいてはいない。









あれから数日が経った。
ルフレ達は無事山から下りてきた。
しかし邪竜の死骸が消えたことに不安を覚える。
夢子には話すかどうかルフレは迷っていた。
でも伝えることにした。
そんな中夢子は曇った表情でスマホと睨めっこ。
ずっと不機嫌そうな顔をしている。

ルフレ「夢子、悩み事かい?」
夢子「うーん、ダークにぃと沙羅とずーっと連絡取れないの。
      今まで毎日ラインしてたのに、突然既読すら付かないのよ?
      丁度邪竜を倒した辺りからずっと、何かあったのかしら‥。」
ルフレ「それはそれで心配だね…風邪引いて寝込んでるとか?」
夢子「ええ!?だったらお見舞い行かなきゃ…!」
ルフレ「夢子に話したい事あったけど、今度にする?」
夢子「良い話?悪い話?後者ならあんまりだなぁ。」
ルフレ「残念だけど悪い話になるかも。」
夢子「いいよ、ルフレの話聞く!」
ルフレ「僕たちこの間山に再登山したけど
    ヒュドラの死骸…無くなってたんだ。
    それはもう跡形もなく。」
夢子「え?!」
ルフレ「生き返って逃げたとは考えにくいんだ。
    リンクのマスターソードでトドメ刺したから。普通の剣ではなく退魔の剣だし、
    ドラゴンゾンビのアイツには相当堪えたはずだよ。」
夢子「じゃあなんで‥。」
ルフレ「あいつには死んだ後も瘴気が出てて…
    通りかかった人間に悪影響及ぼす可能性がある。それは説明したね?
    そしてもうひとつ。その邪念が人に乗り移る事もある。
    だからもし何処かの誰かがその影響があったとしたら…」
夢子「また戦う羽目になるのかな?」
ルフレ「大丈夫、君の事は僕が守るから。」
夢子「でもその人たちを救うにはどうしたらいいのかな?」
ルフレ「それはー・・・」



ルフレが答えようとしたその時だった。
夢子宅の家の電気が消える。
停電だ。

夢子「この停電…もしかして…!」

再び電気が付き部屋は明るく照らされる。
そして今まで騒がしかった、でも楽しい。
そんな彼らが再び…3度目の帰還を果たした。


リンク・ピット・マルス・アイク・シュルクの5人が部屋に立っていた。



リンク「夢子さん、ただいま!」



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