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【61】
※しばらくルフレ夢です。
夢子「ルフレ…ルフレ!しっかりして!」
ルフレは愛する人の呼びかけで目を覚ました。
ルフレ「…ここは…。」
夢子「しっかりして!」
ルフレ「夢子?」
夢子「よかった、私のことちゃんとわかるのね?」
ルフレ「一体何が…。」
夢子「ヒュドラという5つ首の竜と戦って…
貴方は私を助けようとして…
それで奥深い山に飛ばされたのよ…。」
ルフレ「うーん、記憶が曖昧だ…」
夢子「無理もないわ、あの衝撃だもの。
でも貴方が助けてくれなかったら…私は…。」
ルフレ「クッ…!」
夢子「…ルフレ?」
ルフレ「夢子…僕から…離れるんだ…!」
夢子「急にどうしたのよ?」
ルフレ「早く!!!」
ルフレが夢子を突き飛ばした。
そしてルフレの身体に黒いオーラが纏わりつく。
夢子「ルフレ!?」
オーラは淀み彼を包み込んだ。
そしてルフレはひとり苦しむ。
心の中にヒュドラの邪心が語り掛ける。
ルフレ(やめ…ろ!僕の心の中に…入ってくるな…!)
ヒュドラ【お前の身体は次の主にするのには丁度いい。
…見抜いたぞ、お前には我と同じ匂いがする。
このまま乗っ取らせてもらう。ククク…。】
ルフレ(ゾンビドラゴン特有の瘴気か…!くそ…こんな事になるなんて…)
ルフレ「夢子…僕の事はいいから…早く…遠くへ…!」
ヒュドラ【もう遅い。手遅れだ。】
ルフレの瞳が赤く光った。
悍ましいオーラは彼を完全に包み込む。
夢子「ルフレ…?」
ルフレ【やあ、夢子。僕だよ、ルフレさ。】
夢子(何か様子が変…?)
ルフレ【君は僕の事を見てくれるよね?これから先もずっと、永遠に。】
夢子「ルフレ…やっぱり貴方…。」
ルフレ【こうして君とふたりきりになれた。やっとだよ。】
夢子「どうしたのよ、さっきから変よ?」
ルフレ【僕は今まであいつ等に遠慮してたから。
今なら君に僕の気持ち素直に言えるし…
君もわかってくれるでしょ?この僕の気持ち。】
夢子「ルフレ…。」
すると淡々と話していたルフレが急に取り乱す。
ルフレ「やめろ!これ以上の僕の心に入ってくるんじゃない!
それに、夢子には指一本触れさせやしない!
お前など‥!お前など・・・!己の血の宿命なんて…
僕はこの国でもそんなものに縛られるような事は…!」
ルフレは一人二役のような形で話続ける。
ルフレ【ククク、この山の中助けが来るのも何日後になるやら。
それまでにこの娘を支柱に入れられる絶好の機会ではないか!】
ルフレ「僕は…そんな事思っていない…!
夢子にだって相手を選ぶ権利があるんだ!
愛は…強要するものではない…!クッ…!」
ルフレ【じゃあ私が虐げてあげましょう。
お前の醜い部分を小娘に見せてあげましょう。
そして何も出来ない自分自身を憎み、憎悪を増やし私の糧となれ。】
ルフレ「何をする気だ…?」
ルフレ【貴方の身体は既に私が乗っ取りましたからねぇ。
だから好き勝手やらせてもらいますよ。
そうですね、まずはこの小娘を甚振ろうではないか。
ククク、久々に人肌を感じれる…
この世界はこれが楽しいんでね】
ルフレ「夢子、逃げるんだ!僕に構わず、走って!」
夢子「いやよ、ルフレをこんな状態で置いていくなんて私はできない!」
ルフレ「僕の意識が段々弱まってきてる…早く今のうちに…!」
夢子「私だって貴方の事心配なの!
好きだからー・・・・。」
ルフレ「夢子…ゴメン…もうダメだ…僕は…僕自身は…
意識‥が…遠のいて…また大切な人を…傷つけてしまう…」
静まり返る森の中。
ルフレは立ち尽くしている。
夢子は彼に近寄りたかったが本能が危ないと察していた。
木々を揺らす風の音だけ聞こえる。
ルフレは
完全にヒュドラに取り込まれてしまった。
夢子「ルフレ…ねぇ、いつもの様にまた…返事を返して?」
ルフレ「・・・。」
夢子「ねえ、ルフレ!」
ルフレは意識を取り戻した。
その目は紅色に怪しく光る。
ルフレ【夢子、これでやっと本当に僕と君と…ふたりきりだ。】
夢子「ルフレじゃない…貴方は…ヒュドラでしょ?
なんで、こんな酷い事を…ルフレを戻して!」
ルフレ【うーん正確に言うと正解でもあるし不正解でもあるかな。
僕は今、この身体の心の奥底に閉まっていた気持ちを代弁させてもらってるんだよ。】
夢子「どういう事?」
ルフレ【僕は君が好き。心も身体も僕のものにしたい。
他の剣士共には触れさせない、僕だけの夢子。
あいつ等は邪魔だ。皆…邪魔だ。】
夢子「ルフレは…本物のルフレはそんな事言わない…!」
ルフレ【残念ながら僕の本心だよ?僕は偽りは好きじゃない。
君だってさっき僕の事好きって言ってくれたじゃないか。
あれは偽りだったの?】
夢子「偽りじゃない…本心だもの。
私はルフレの事好きだよ?」
ルフレ【じゃあ意見は一致してるね。さあ、後は僕と寄り添うと決めて?】
夢子「何を…。」
ルフレ【悪いけどちょっとの間気絶してもらうね。】
ドスッ
夢子の首筋に心を乗っ取られたルフレが手刀を下した。
夢子「ル・・・フ・・・。」
そこで夢子の意識は一旦途絶えた。
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