54

54(この章からルフレ夢的な内容になります)


海辺で遊んでいた9人。
大分長い間海で泳いでたせいか9人共疲労が見え始めていた。
そんな中急に天候が怪しくなってきた。
空と海の様子がおかしい。
シュルク「…ちょっと穏やかじゃないですね。」
マルス「うん、僕もそう思った。」
アイク「一旦浜にあがるか。」



沙羅「あれ…?」
黒「どうした沙羅。」
沙羅「夢子がいない…さっきまで隣で泳いでたのに…」
ピット「あ!あれみて!」
ピットが指さす方向をみなが見ると
沖の方へと波に攫われている夢子の姿があった。


夢子「たっ…助け‥て‥(ブクブク)」
そして気づいたことがひとつ。
シュルク「ルフレもいないみたいですが…!?」
リンク「夢子さんを助けにいかないと…」
沙羅「待って!!こんな波の中に入ったら危険よ!」
黒「そうだな…危険すぎる。リンク、お前は行くな。」
リンク「だからって夢子さんの事をこのままにしておくなんて…!
    ルフレはこんな事で死ぬような柔さじゃないですが
    夢子さんはか弱い女性…見過ごすわけには…」
沙羅「こういう時は救急呼びましょう。レスキューしてもらえば大丈夫よ!」
ピット「うーん羽があれば飛んでいけるのにぃー!」
沙羅「羽?」
マルス「あ、いや、なんでもないさ!飛んで行きたいほど助けたいって意味だよね!
    ね、ピット君。」
ピット「あ…そういう感じ!」
沙羅「兎に角すぐレスキューの手配してもらうわ。スマホとってくる!」
マルス(ピット君、彼女たちには羽の事は内緒だよ!)
ピット(あ、ついうっかりしちゃった…)
黒「夢子、無事でいてくれ・・・。」











夢子は暗く冷たい海へと自分の身体が沈んでいく感じがわかった。
ゆっくり・・・深く・・・
夢子(息もできない。苦しい。怖い。)
夢子は死を覚悟した。
夢子(あっけない人生…短い命…)
目を瞑ろうとしたその時だった。
視界にこちらへと伸びる手が意識の終わりに見えた。







ルフレは海をあがっていた。
その腕に抱えられてるのは紛れもない、溺れていた夢子だ。
ここは小さな島のようだった。
人の気配はない。きっと無人島だろう。
ルフレは息を絶え絶えに浜へとあがる。
ルフレ「夢子、僕の声聞こえる?」
夢子「・・・。」
ルフレ「ダメだ…反応が無い…。」
ルフレは辺りを見回した。
ルフレ「どこか休める場所…」
しばらく目を凝らして見ていると奥に小さな洞窟なようなものが見えた。
ルフレ「あそこなら身を休められそうだ…夢子、頑張ろうね。夢子。」

やっとたどり着いた洞窟。
丁度身を休めるに最適な場所だった。
夢子の意識はまだ戻らない。
ルフレ「海水…かなり飲んでるのかも…。」
ルフレは夢子の肺を押した。ゆっくり何度も。
夢子「ゲホッ!」
ルフレ「あ、よかった…水は吐き出せたみたいだ。」
それでも意識が戻らない。
ルフレ「あとは…やっぱりあれしかない。」
夢子を見つめるルフレ。
頭によぎるのは「人工呼吸」の言葉。
でも良いのか?
ルフレは葛藤していた。
夢子がまだ誰ともキスをしたことが無い話も以前聞いていた。
そして今、自分がそれをしようとしている。
人工呼吸とはいえ接吻するのは変わらない。
ルフレ「夢子は、初めての相手が僕で良いのか?」
でも悩んでる暇はなさそうだった。
彼女の手を握ると脈拍と体温が下がってるのを感じた。

ルフレ「もう、やるっきゃない!」

ルフレは彼女に人工呼吸を施した。
深く息を送り込む。
ルフレ「夢子の命は僕が救って見せる…!」
しばらく続けていると夢子の指が少し動いた。
そして意識が少しずつ、戻り始めた。

ルフレ「夢子…!僕の声、聞こえる?」
夢子「…ル…フレ…」
ルフレ「良かった…ほんとに良かった…。」
ルフレは息を吹き返した夢子をみて泣いていた。
夢子「なんで…泣いて…るの?」
ルフレ「君が…僕の手の届かない場所へ行くんじゃないかって…怖かったんだ。」
夢子「大丈夫…だよ…私は…ここにいる…から…」



夢子は笑っていた。
ルフレも泣きながら笑った。





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