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夢子「えっ…帰るって…」
シュルク「このままだと歴史が変わってしまいますね。
     スマブラというゲームもバランスが崩れて
     無くなってしまうかもしれません。
     少なくとも、こちらの世界でも。」
アイク「今の現状はどう把握するんだ?」
シュルク「多分、ですが…こちらに居られる時間のタイムリミットがあります。」
ルフレ「!?」
シュルク「このままこの世界に居たら、存在は消えませんが
     元の世界で使ってた技や力が全て消滅するかもしれません。
     ただの…なんの力もない通常の人間になるでしょう。」
ピット「じゃあ…そうなったらマリオ達とも会えないの?」
アイク「そして、向こうの世界に戻ったら夢子とも永久に会えなくなるんだな。」
ピット「ねぇ、一度スマブラの世界に帰還してまたここに戻れないの?!」
シュルク「自分たちがここに来れたのも奇跡なんですよ。
     一度戻ったらここにまた来れるとは限りません。」
リンク「俺は嫌だ…夢子さんと離れるなんて。」
ルフレ「僕も同感。でも、今まで暮らしてた…一緒に戦った仲間たちと離れるなんて
    …僕どうしていいかわからないよ。」
夢子「…また…私は独りになるの?
     お父さんとお母さんに捨てられたように…また…。」
シュルク「最善の努力皆でしましょう。まだすぐ居なくなるわけじゃないし。
     もしかしたら良い方法が見つかるかもしれませんし!」
ピット「そうだよ夢子!僕この世界大好きだし!」
夢子「・・・うん。」





その晩、夢子は夢を見た。
長いようで短い、苦しい感情が胸を貫く夢だった。
曖昧だけどわかるつないだ手の温もり。
忘れかけていたあの思い出。
夢子(私は…一体…何を考えているの)


朝目が覚めると夢子は泣いていた。
頬を伝った大量の涙で枕が濡れている。
夢子「夢…か…久々にあの夢を見たのね…
     もう完璧に忘れられたとおもったのに。」
夢子は起き上がると気付いた。
部屋に響くのは一台の扇風機の回る音とセミの鳴き声。
夢子「静か…こんなに静かなのは久々…」
いつも朝から賑やかな声が聞こえていたこの部屋には

夢子しかいなかった。



夢子「…リンク…ピット君…マルス…アイク…ルフレ…シュルク…?」

ひとりひとりの名を呼ぶ夢子。
しかし返事はなくただ空しく声が響くだけ。

夢子「嘘…」
そう、剣士組が部屋から居なくなっていたのだ。
夢子は震える。
昨晩の夢で枯れたはずの涙がまた溢れてくる。
夢子「皆…元の世界へ帰ってしまったの?
     もう…これ以上傷つくのは嫌なのに…!」
夢子はテーブルの上に置かれた1枚のメモに気付いた。


「夢子さん、すいません。」


細いボールペンで書かれた字。
その紙にポツポツと雫が落ちる。
夢子「やっぱり…私はまた…独りに…」
夢子は目を閉じた。
最初にリンクに会った日。
そのうち徐々に仲間が増え…
楽しかった日々の日常。
空っぽだった夢子の心の穴を埋めてくれた彼らを笑顔を考える。

夢子「…。そうよね…いつまでもウジウジしてたららしくないわ。
     私は彼らに会うまで独りでやってきたじゃない…。
     帰ってくるのを待とう。いつか…」



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