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ピット、マルス、アイク、ルフレ、シュルクが出て行って
病室にはリンクと夢子二人きりになった。
しばらくの間沈黙が過る。
最初に口を開いたのは夢子だった。


夢子「でも本当にびっくりしたよ?あんなムチャするんだもん。」
リンク「助けられる命を見捨てるわけないじゃないですか。」
夢子「優しいのね。リンク。」
リンク「紳士ですから。」
夢子「あはは!」
リンク「でも…本当の愛を注ぐ相手は貴女しかいませんよ?」
夢子「まーたなんか言い始めた…」
リンク「この世界に来てやっと自分より大事にしようと思える相手に出会えましたから。
    もちろん夢子さん、貴女のことですよ。」
夢子「だめよ、自分を一番優先に大事にしなきゃ。」
リンク「…貴女を失うくらいなら俺は死んでもいいです。…それだけ本気ってこと。」
夢子「リンク…。」
リンク「改めて言います。夢子さん、俺は貴女の事が好きです。」
夢子「ちょ…ちょっとやめてよ!何急にマジになってるのよ!」
リンク「顔真っ赤ですよ?」
夢子「バカ!人をからかわないの!」
リンク「いたた…足が痛んできた…。」
夢子「え!?大丈夫!?」


夢子がリンクに近づいた時だった。



ギュッ・・・




リンクは夢子を抱きしめた。
突然の出来事に驚く夢子。



夢子「ちょっと!リンク!何すんのよ!!!」
リンク「…やっと捕まえた。」


リンクが不敵な笑みを浮かべる。
慌てて離れようとする夢子。
でも力が強くて抜け出せない。


夢子「離してよ〜!」
リンク「ダメ。俺はもっと夢子さんと近くに居たいんです。」
夢子「だからって…。」
リンク「手放したらあいつらに取られちゃうし。」
夢子「…リンク、私ねルフレにも言ったけど…」
リンク「わかってます。今は何も言わないでください。」
夢子「…私は……。」
リンク「…夢子さんって温かいですね。」
夢子「リンクも温かいよ。
     …本当のお母さんもこんな感じで温かかったのかな…」
リンク「忘れられないんですね。」
夢子「顔ももう覚えてないけど…。」
リンク「いつか一緒に探しに行きませんか?」
夢子「・・・え?」
リンク「夢子さんの本当のお母さん。」
夢子「探せるかな?」
リンク「大丈夫ですよ。俺がいますから。」
夢子「ふふ、ありがとう!」
リンク「ああ、貴女の笑顔を見てるだけで俺…。」

ギュウウ・・・


リンクはさらに強く夢子を抱きしめる。


夢子「り…リンク、苦しい!」
リンク「ずっとこうしていたいです。」
夢子「こういう事は付き合ってる男女がすることよ?」
リンク「そうじゃないんですか?」
夢子「ばか!そんなんじゃないでしょ!?」
リンク「残念ですね…。でも絶対貴女を手に入れてみせるから。」
夢子「…ねえ、そろそろ離して?」
リンク「嫌だ。夢子さんってシャンプーの香りがする…。」
夢子「こら!やめなさい!」



ガラッ


するとここで病室の扉が開く。


ピット「あー!リンクが夢子に抱きついてる!離れろー!」
ルフレ「君ってやつは病人とは言えホント気が抜けないな…!
    だから二人きりにするのは反対だったんだ!」
マルス「そう?男はみんなそんなもんじゃない?」
アイク「腹減ってきたな。」
シュルク「夕飯時ですからね…そろそろ家に帰りましょうか。」
夢子「そうね…そうしましょ!リンク、早く元気になってね!」
リンク「元気になったらデートしてくださいね?」
ルフレ「そんなの僕が許さない!夢子は僕の彼女なんだから!」
リンク「俺です!」
ルフレ「僕!」
ピット「あーあ、また喧嘩始まったよ…。」
マルス「あれ?夢子は?」
アイク「夢子ならもう外に行ったぞ。」
マルス「ええ!はや!」




【いいね!!】

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