41

41


トラックに轢かれたリンクは道路に横たわる。
子犬はリンクの顔を舐める。
リンクの口から血が出ている。



夢子「リンク!!!」


青ざめた夢子はすぐに倒れたリンクと子犬のもとへと走った。


夢子「リンク…リンク…!!!ねえ、しっかりして!リンク!!!」
リンク「…子犬は…大丈夫ですか?」
夢子「大丈夫よ…貴方が身を挺して庇ったから…
     でも…リンクが無事じゃない…!」
リンク「泣かないでください…可愛い顔が台無しですよ?」
そうつぶやくとリンクは意識を失った。
夢子「こんな時まで貴方は…。リンク…死なないで!私を守るんでしょ?だから…お願い…」










リンクはすぐさま救急車に乗せられ病へと搬送された。
救急治療室の前のソファーに座る夢子。
手には先ほど買ったスマブラのソフト。
ソフトを見つめている瞳には涙が滲む。


夢子「私は…また大切な人を失うの?
     本来なら出会うはずのない人だけど…
     でもかけがいのない大切な人…。
     人を失うのは…もう嫌よ…。」






ルフレ「夢子!!」




夢子から連絡を受けたルフレ達がやって来た。



ピット「夢子!リンクは?!」
夢子「今治療中よ。状態は…何とも言えない。」
マルス「でもなんでこんなことに…。」
夢子「リンク、車に轢かれそうな子犬を庇って…そのまま轢かれたの。」
アイク「あいつ…なんて無茶を…」
ルフレ「でもきっと大丈夫だよ。…もしも大丈夫じゃなかったら僕はリンクを許さない。」
シュルク「そうですね。このくらいで死ぬようなたまじゃないでしょう。」








2時間して治療室の光が消えた。



中から先生と看護師が出てくる。
担架には酸素マスクをつけたリンクが乗せられている。
その痛々しい姿を夢子は直視できなかった。



ピット「先生!リンクは…大丈夫なの?!」
先生「オペは成功しました。でも内蔵が少々破損して足を骨折してるので目が覚めてもしばらくは歩けません。」
夢子「そんな…!」
先生「あの衝撃を受けて生きてるのが奇跡と言いようがありませんよ。
   今は安静にさせてあげてください。みなさんもお疲れでしょうし一度家に帰って休んでください。」
夢子「リンク…。」











夜ー・・

夢子たちは一度家に帰ることにした。
病院のロビーを抜ける。
すると玄関入口に見覚えのあるひとつの影が。



夢子「…あれ?この子…!」


そこにいたのはリンクが身を持って守ったあの子犬だった。




子犬「わん!」
夢子「あの時のわんちゃんね!どうしたの?もしかして私達のことずっと待ってたの!?」
子犬「わんわん!」
ピット「その犬もしかしてお礼言いたいんじゃない?」
夢子「そうなの?」
子犬「わん!」
マルス「犬にも感情あるからね?」
アイク「動物の中では頭が良い方だからな。」
子犬「くうーん…。」
ルフレ「どうしたんだろう…何か言いたそうだけど。」
シュルク「夢子さんの顔ずっと見てますね。」
夢子「…もしかして私と一緒に行きたいの?」
子犬「わん!」
夢子「…よし、決めた!」
ルフレ「何を?」
夢子「私…このわんちゃん飼う!」
ピット「ええ!大丈夫なの?!」
夢子「大家さんになんとかお願いしてみる!」
ルフレ「6人に1匹…大家族になるね!」
夢子「名前は…『わたあめ』にする!白くてふわふわしてるから!」
ピット「うん、いい名前だね!」
夢子「今日からよろしくね、わたあめ!」
わたあめ「わん!」






【いいね!!】



[ 103/508 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]