第9章【密かな思い】




その頃近くの茂みの裏ではマルス達がこっそりと息をひそめてた。
ピット「なーんかあの二人良いムードしてる〜!」
アイク「リンクのやつ、いつに増して優男になってないか?」
マルス「このままだとリンクに夢子取られちゃうなぁ…何か良い案無い?」
ピット「リンクは何でもできるし、ライバルとしたらちょっと手ごわいかもなー。」
アイク「なるべく敵にまわしたくないな。」
マルス「そんな事言って、君達リンクに夢子取られちゃっていいのかい!?」
ピット「そんなことはないけど…。」
アイク「俺はこういう行動が苦手なんだが。」
マルス「はいはい君らはそこでそうやって見てるといいよ!僕は絶対夢子の彼氏になるって決めたから!」
アイク「!?…今何と言った!?」
マルス「彼氏、ボーイフレンドだよっ。」
ピット「まーた言ってるよ、この女たらし!」
マルス「うるさいなぁ!今回はホンキだよっっ!…いいさ、負け犬の遠吠えでもしてたら?」
アイク「マルス、さっき言ったよな。」
マルス「なんだい?」
アイク「食堂で『後で勝負する』と…。その時がきたようだ。」
眉間にしわを寄せ剣を構えるアイク。
マルス「いいよ、掛ってきたら?」
負けじにとマルスも剣を構える。
ピット「ちょっと!2人とも!まずはリンクをどうにかしようって話したばかりじゃないか!喧嘩してどうすんだよ!…喧嘩するなら僕ひとりで行くもんね!」
ガシッ!
ピットが茂みから飛び出そうとアイクとマルスに肩を掴まれる。
アイク「…待て、抜け駆けは許さん!」
マルス「…そうだよ!まずは協力しようじゃないか。」
ピット「(…みんな一人だと行動しにくいんだなぁ…。)」







リンクと夢子は城門前にいた。
リンク「いいですか?手綱を絶対に離さないでくださいね。エポナは大人しい馬ですけど、いつ何が起こるか解りませんから…。」
夢子「初めて乗馬しました…一応リンクさんとスマブラ城に行く道中乗りましたけど…あれは乗馬とは言いませんよね。それにしても…景色がよく見えますね!!」
リンク「あの時は無理やりに近かったですからね…すいません。」
パカパカパカッ
夢子「天気もいいし風も気持ち良くて凄く楽しいです!!」
リンク「…夢子さんを見ていると故郷の幼馴染を思い出します。」
夢子「幼馴染?」
リンク「ええ。その子は怒ると怖いんですけど、一緒にいるとなんだかとても安心して。
    笑顔が太陽のように眩しい女の子でした。一緒にエポナの世話なんかもしたりして…」
夢子「とても仲が良かったんですね!」
リンク「はい。此処に参戦してからは一度も会ってません。…今頃何をしているのでしょう。」
夢子「あの…リンクさん。」
リンク「??」
夢子「もしかしてその幼馴染の子の事、好きなんですか?」
リンク「!?」
突然の問いに戸惑うリンク。
夢子は静かに話を続けた。
夢子「…とても楽しそうに話してるから…そうじゃないのかなって…私の勘ですけど。」
リンク「それは違…っ!」
夢子「き…気にしないでください!聞いてみただけですから…。」
リンク「…夢子さん…。」
夢子「(…なんなんだろう…この気持ち…。胸が苦しい…。)」
夢子は生まれて初めて感じるその苦しい感情にただ耐えることしかできなかった。
と、その時だった。
ザワ・・ザワ・・
突然、太陽が雲に隠れて辺りは暗くなった。
風も止み、不自然な静けさが2人を襲う。
エポナの歩みが止まり、鳴き出した。
エポナ「ヒヒーンッ!」
夢子「!?」
リンク「…この気配…、何か、来る!!」
暗闇から出てくる無数の気配にリンクは武器を構えた。



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