【必然と運命の違いって人其々。】※少々戦闘要素有。


夢子は森の中で薬草を集めていた。
何故かというとルフレが怪我をしたから。

遡る事数時間前ー・・・


夢子「うーん、高くて届かない…」
夢子は図書室の本棚の一番上の魔導書を取ろうとしていた。
しかし背が低いので届かない。
そんな夢子をルフレが気が付く。
ルフレ「無理しないで。僕が取ってあげるよ?」
夢子「ごめんね…私チビだから…。」
ルフレ「小柄な女性はモテるよ。まあ僕は君が身長高くても同じように好きだけどね。」
夢子「またそうやって人をからかって…。」
ルフレ「うーんあの魔導書、僕でも届かないね…ちょっと脚立持ってこようかな。」
夢子「ああ、そこまで無理しなくてもいいわよ?
     今度ゆっくり読むから…。」
ルフレ「君が困ってるの見過ごせないの!…よし、脚立の準備オッケー!あとは登って…」
夢子「…あ、ルフレ、脚立の安全装置外れてる…!!」
ルフレ「え。」


ガシャアアアン!!!!

ルフレの登った脚立が勢いよく倒れた。
ルフレも勢いよく弾みで飛ぶ。
夢子「ルフレ!!!」
ルフレ「いてて…。」
夢子「わわ、大丈夫!?」
ルフレ「うん…大丈夫、って言いたい所だど…派手に足首くじいたみたい。」
夢子「そんな…!私のせいで…!」
ルフレ「君のせいじゃないよ。僕が好きかってして行動したんだから。」
夢子「赤くなってる…!こんなになってしまって…私、責任取る!待ってて!」










そんなわけでー・・・
夢子はルフレの怪我を治すための薬草を取りに城から森まで一人で歩いてきたのだ。
足首の捻挫に良い薬草は同じ図書館の図鑑で知識はあった。
城の治療師の元へルフレを見せにも行ったが、丁度この薬草のストックが切れているとのこと。
夢子は必死に薬草を探していた。
そして夢中になる余り辺りの警戒を怠っていた。
そう…この森にはモンスターが出現する。
夢子の背後には忍び足で近寄るモンスターがいた。
夢子はまだ気づいていない。
それどころか薬草を見つけてしまった。
それだけで大喜びする夢子。

夢子「やった!あった!これでルフレの怪我は…」

ザザザ・・・・・!!

夢子はやっと危険な状態に気づいた。
姿は見えないが何かの足音が聞こえる。
そして、不意を突かれてしまう。
夢子の背後からブラックウルフが襲い掛かってきた。
夢子が魔導書を出そうとしたが、相手のほうが攻撃は早かった。
夢子「や、殺られる…!」
夢子は目を強く瞑る。


ザシュッ!!!


痛くない。
夢子は目をゆっくり開いた。
そこにはクロムが立っていた。
ブラックウルフはファルシオンで真っ二つに。

クロム「夢子、大丈夫か?」
夢子「クロム…!?ありがとう助けてくれて!」
クロム「‥気にするな。」
夢子「でも何でここが分かったの?!」
クロム「ああ、ルフレに頼まれたんだ。お前が無茶しないか見守ってくれってな。
    悪いがずっと後ろから付いてきていた。」
夢子「そっか…でも本当にありがとう!おかげで助かったわ!」




夢子はクロムに護衛されながら薬草を集めた。
夢子「よし、これだけストックあれば城の治療師さんも助かるね!そして、ルフレも。」
クロム「…お前と出会ってあいつは本当に変わったな。」
夢子「そうなの?」
クロム「あいつ軍に入った後もずっと真面目でな。正直今の姿見ると唖然とするな。」
夢子「確か…ルフレが変なとこで寝てて、それで起こしたのが出会いなんだよね?」
クロム「知ってるのか?」
夢子「前にルフレから聞いたことある。きっと出会う運命だったんだよ!」
クロム「そうなんだろな…俺からしてみれば必然だったんだろなって思うな。」
夢子「クロムとルフレって本当に仲いいよね!」
クロム「そう見えるか?」
夢子「うん!ルフレもね、貴方の話するとき毎回凄く嬉しそうなの!
     目が輝いてるって言うか。二人の絆がどれだけ強いか第三者でも見てたらわかるわ!」
クロム「周りからそんな風に見えてたのか…ちょっと恥ずかしいな。」
夢子「クロム、ルフレの事これからも支えてあげてね?
      私だけじゃわからない事もあるし。男同士でしかわからないものもあるでしょ?」
クロム「まあな。」
夢子「薬草もいっぱい手に入ったしそろそろ城に帰ろうか!」
クロム「待て、…何か邪悪な気配がする。」
クロムが突然辺りを警戒する。そして剣を構える。
クロム「…さっきのブラックウルフの仲間がいる…。」
夢子「ええ!?」
クロム「夢子、今なら戦えるな?」
夢子「うん、ファイアの魔導書ならあるわ。」
クロム「来るぞ…!」


ブラックウルフ「ガルルルルルルッ・・・!!」


夢子とクロムはブラックウルフの群れに囲まれていた。
最低でも10匹入るだろう。
ブラックウルフ達はぐるぐると周って夢子とクロムを囲む。
クロム「ウルフ系は獣のモンスターの中でも賢い方だ。俺たちの出方を覗ってるんだな。」
夢子「でもレベルはそんなに高くないから私たちなら勝てるわ!」
クロム「遠距離攻撃は任せた。…行くぞ!」

クロムはブラックウルフ達に斬りかかる。
次々とブラックウルフはなぎ倒される。
夢子「流石王子ね、私も負けられない!」
クロムの後ろからファイアの魔法をブラックウルフ達に浴びせる夢子。
ブラックウルフはクロムの剣技と夢子の魔法の前では歯がたたなかった。
最後の1匹はクロムが仕留めた。
夢子「クロム、お疲れ様!」
クロム「…良い運動になった気がする。」
夢子「貴方って強いのね!ルフレが信頼するのも分かる気がする。」
クロム「あまり褒めないでくれ…こういうのは慣れてないんだ。」
夢子「ふふ、なんだかクロムの普段見れない一面見た気がー・・・」


その時だった。
夢子の背後から倒し損ねたらしいブラックウルフが襲い掛かってきた。
夢子「!!まだいたの!?キャ・・・」
クロム「危ない!」


ガブッ!!

クロムは夢子を庇いブラックウルフに腕を噛まれた。
ブラックウルフ「グルルルルル!」
クロムが無表情になる。
そしてブラックウルフに向かって言葉を放つ。



クロム「…失せろ…!!」


ブラックウルフ「‥キャン!」

倒し損ねたブラックウルフはクロムの気迫に負け森の中へと逃げて行った。

クロム「ふう…。」
夢子は慌てる。
夢子「クロム‥腕から血が…!」
クロム「ん?ああ、このくらいなんともない。」
夢子「ダメよ!待ってて、今止血するから…。」
夢子は持ってたハンカチを出すとクロムの腕に巻く。
クロム「ほんとにこのくらいなんともないんだが。」
夢子「傷口から菌が入ったら大変よ!?直ぐに手当てはしないと…
      それに私の注意が足りなかったからこんなことに‥‥。」
クロム「お前優しいんだな。」
夢子「そんなことないわ。責任あるから…。」
クロム「ルフレ…あいつがお前を好きになった意味、分かった気がする。」
夢子「え?」
クロム「さあ、帰るか。あいつも首を長くして待ってるだろうしな。」
夢子「う、うん‥!」




夢子とクロムは城に戻った。
怪我をしたクロムを見たルフレは自分の怪我の事も忘れ駆け寄ろうとした。
夢子はそんな二人をみて笑ってた。
本当の絆とはこういうものなのだろう。



夢子(私は…沙羅とこんな関係だと思ってた。
     でも…きっと彼女はそんな風に思ってなかったのね。
     人を信じるって言葉で言うより簡単じゃない。
     でも私は今だって沙羅の事好き。
     私たちだってルフレとクロムの様に、
     また昔みたいに戻れるって信じてるー・・・
     それでも再び出会ったのなら、私は貴女と戦わないといけないのー・・・?)




今日も空に満月が登る。
沙羅、貴女も同じ空を見ている?



【いいね!!】



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