【貴女の笑顔を見るたびに自分だけのものにしたくなるのは、いけないことなのだろうか。】


夢子は城の庭にいた。
そこには日本から連れてきたペットの犬、わたあめのハウスがある。
マスターにお願いして用意してもらったのだ。
わたあめは広い庭に興奮して毎日走り回っていた。
それでもわたあめは夢子との散歩が大好き。
夢子はわたあめを呼んで首輪にリードをつける。
今日もいつも通り散歩をしようとしていた。
城の門から出ようとした、その時だった。
夢子はリンクに声を掛けられた。



リンク「夢子さん、わたあめの散歩しにいくんですか?」
夢子「あ、リンク!そうよ、今日は天気も良いし風も気持ちいから
      城下町をぐるりと周ってから野原に行ってわたあめ遊ばせようかなって。」
リンク「一人じゃ危ないですよ!わたあめも番犬ってイメージじゃないし‥
    俺も一緒に行っても良いですか?」
夢子「よかった、私も話し相手欲しいなって思ってたから…
      わたあめと話しても会話は出来ないから…一緒にいきましょ!」
夢子がそういうとリンクは辺りをキョロキョロと警戒する。

夢子「…どうしたの?」
リンク「いや、邪魔者は誰もいないかなーって確認しただけで。気にしないでください!」
夢子「ふーん、ま、いいけど。それじゃあ行きましょう!」
夢子とリンクは城を出て城下町を通る。
行き交う人々はすれ違う時に結構声を掛けてくれる人が多かった。

女性A「うわー!カワイイわんちゃんですね!」
女性B「この辺では見かけない種類ですね?」
夢子「え、この世界ではこの子は珍しいのですか?」
女性A「ええ、犬は色々種類があるけどこんなカワイイわんちゃんは初めて見かけましたよ!」
夢子「そうなんだ…わたあめ、良かったね!みんなが貴方の事見てるわよ?」
わたあめ「わん!」

夢子「わたあめも嬉しそう!ね、リンク!」
リンク「むう…。」
夢子「どうしたの?リンク。」
リンク「‥なんでもないです。行きましょう。」
夢子「‥?変なリンク。」

道中、サンドウィッチみたいなものを露店で買ってから夢子達は野原へ向かった。
今日は本当にいい天気で風が気持ちいい。

夢子達は野原についた。
早速わたあめのリードを外す。
するとわたあめは待ってましたと言わんばかりに野原を自由に駆け回る。
夢子とリンクはシートを敷いて座った。

夢子「今日ここに来れて良かった、ね?」
リンク「俺は‥自分自身が情けなさ過ぎて辛いです。」
夢子「‥なんで?」
リンク「夢子さんじゃなくてわたあめに視線がいってるのは分かってるのですが
    夢子さんが他人と会話してるの見ると貴女と同じ同性でも少し嫉妬してしまいます。」
夢子「それでさっき苦そうな顔してたのね?」
リンク「最近夢子さんルフレに捕られまくってて‥全然一緒に居れなかったから余計。
    情けないですよ、我ながらに。今時幼い子供でもこんな嫉妬の仕方しませんよ。はあ…。」
夢子「…そんなに私の事好き?」
リンク「当り前ですよ!3度のメシより夢子さんです!
    貴女が隣にいてくれるだけで俺はもう満足です!」
夢子「そう?じゃあこのサンドウィッチ要らない?(ニヤリ)」
リンク「…今は空腹なので食べたいです。でも、夢子さんが俺の彼女になってくれるって言うなら
    1日くらい食べなくてもへっちゃらです。…多分。」
夢子「うーん、なんで皆私みたいな芋女好きなのかしら?不思議でしょうがないわ。」
リンク「貴女は可憐な薔薇の花です。美しくて見とれてうっかり触ろうとしたらトゲで血が出る。
    ‥そのくらい可憐です。魅力的です。ほんと大好きです!」
夢子「ちょ…薔薇は言い過ぎじゃない?まあ雑草みたいな渋とさはあるかもだけどね。」
リンク「貴女の事は摘んでプリザーブドフラワーにして飾りたいです。」
夢子「そんなお洒落な名前どこで覚えたの?」
リンク「日本のお花屋さんでみかけました。いつかは貴女にプレゼントしようと思ってたのですが
    この世界にきちゃったから、結局叶いませんでした。」
夢子「この世界の花でも作れそうな気がするけどな、プリザーブドフラワー。」
リンク「材料がわからないんですよね。」
夢子「ルフレとかこういうの詳しそうよ?教えてもらえば?」
リンク「絶対ヤダ。」
夢子「あはは、やっぱそうなるのね。ほんと貴方達仲悪いよね?
      なんとか仲良く出来ない物なのかしら?」
リンク「ルフレが夢子さんの事見なければ俺は普通に接する事出来るかもしれません。
    貴女が間にいるからどうしても合わないんです。」
夢子「ふーん。もしも私が死んだら二人は仲良くできるかも?」
リンク「冗談でもそんな事言わないでください…貴女が居なくなるなんて、考えられない。」
夢子「冗談よ。でもね、リンク。病気とか事故とか…人生いつ何有るか分からないものよ?
     だから、もし私が戦いで倒れたとしたら…その時は皆で仲良くしてほしい。」
リンク「…大丈夫ですよ、貴女の事は俺が守りますから。」
夢子「ふふ、ありがとう!私幸せだなって改めて思った。
     日本ではひとりぼっちだったけど今はこんなにも仲間がいる。
     ほんと、幸せ。リンクもいつもありがとうね!
     貴方が最初に私の目の前に現れたとき、ほんと嬉しかったのよ?」
リンク「ほんとですか!?」
夢子「うん!」
リンク「俺も通じた回線の先にある家が夢子さんの家で良かったです。
    本気で運命感じましたから。」
夢子「私は運命はあると思う。信じてるわ。だから今の私があると思う。
      さ、サンドウィッチ食べよ!お腹ペコペコ〜!」



夢子とリンクはサンドウィッチを食べた。
野原は日本では見たことのない植物が沢山生えている。
野花は特に絵に描いたように綺麗だ。


夢子「んー!美味しいね、リンク!これリンクも作れる?」
リンク「はい、食べたら大体どんな食材が使われてるかわかりますよ。
    今度作りますね!一番最初に夢子さんが食べてください!」
夢子「うん!約束よ!」




夢子とリンクはひと時の休日を楽しんだ。
でもリンクはわたあめとじゃれる夢子の笑顔を見てて思った。
やっぱり自分のものにしたい。
例え奪い取る形になったとしても彼女をずっと近くで見ていたい、と。
こんなに近くに居ても、届きそうで届かない手。
そんな手、俺には要らないと思うくらい貴女が愛おしい。



ずっと、一緒に居たい。



【いいね!!】


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