【干からびた心臓に水を注ぐ。】
※今回はアルフレ視点で物語は進みます。



僕は見つけた。
ずっと探していた、光と希望、
暗闇の中で輝く愛。
それは夢子、君だった。
もう一人の光の国の僕。
僕たちは同じ意志をもつ。
性格は違うけどね。僕は完全に悪に染まってるから。


沙羅「アルフレ、また薬調合してるの?」

僕は沙羅に声をかけられた。
今は城のある部屋で実験をしている。

アルフレ「次に夢子に合った時に使おうかなって。」
沙羅「貴方まであの子に誑し込まれたの?」
アルフレ「だって彼女可愛いんだ。
     あの顔が恐怖と苦痛で歪むの、見てみたい。
     きっと最高だと思うんだ。君もそう思うだろ?」
沙羅「…悪いけど夢子は私が倒す。あ、亡骸でいいならいいけど。」
アルフレ「それも悪くないかもね。死体で色々出来るか…
     ああ、でも体温のあるほうが良いから却下だね。
     …悲鳴も出ないのはつまらないし。」
沙羅「男って馬鹿ね。特に貴方は…頭がどうかしてる。」
アルフレ「んー女だって十分馬鹿だと僕は思うけど?
     君だって手の届かない場所に思い人がいるんだろ?」
沙羅「それは…」
アルフレ「君も自分の事考えたほうが良いよ。
     どうやって欲しいものを手に入れるか。
     幼稚園児でもわかるお勉強さ。ただのワガママを貫き通すんだ。
     僕らにはそれしか出来ない。」
沙羅「貴方は夢子の何処が良いの?」
アルフレ「うーん…あの屈強そうな性格かな?
     ひれ伏せさせるには手ごたえありそうでいいんだよね。」
沙羅「ほんと貴方はドSよね。…その辺理解に苦しむわ。」
アルフレ「それにしてもあっちの僕はほんとほわほわしてるんだよね〜。
     いつみても歯がゆいんだよね。平和ボケしてるみたいだし?」
沙羅「ああ、光の国のルフレね。」
アルフレ「あんなに近くに夢子がいるのに服従させようともしない…」
沙羅「…それはただ単に性癖の問題でしょうね。」
アルフレ「だから、僕はあいつから夢子を奪って、見せしめに甚振ってやるんだ。
     そして最後は一つの形となる。ギムレー様もお喜びになる…。」
沙羅「よくわかんないけど、まあ頑張って。」
アルフレ「君もね。黒はたまにおかしくなるから。君が意識を保ってあげて。」
沙羅「貴方に言われなくてもわかってる…。」





僕は灰色の空を見ていた。
この国には太陽の光は永遠に届かない。
永遠に曇り空。
だから植物も光のないこの場所で育たない。
地に蔓延るのは汚いモンスター共。
この枯れた地に雨が降ったように
夢子は僕の心に恵みの雨を降らせた。
枯れていた僕の心に、一滴一滴が染みる。
何という快楽だろうか。
僕には夢子が必要だ。
クレイジー様のお望みなどもういい。
僕は夢子を手に入れる。
僕は生き返るんだ。
そしてもう一人の僕を吸収してギムレー様を復活させる。
君だってこの顔が良いんだろう?
この顔ならば笑顔を向けてくれるんだろう?
そしてその笑顔が苦痛で歪む時
僕も愛の形が見えるのだろう。


アルフレ「ああ、楽しいね。君の恐怖で歪む顔を見られる日が来るのが待ち遠しいよ。」





【いいね!!】



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