【可憐な君(姫)となら鐘が鳴っても踊り続けたい。】






夢子が幻双国へ来て目が覚めて5日が経った。
黒に付けられたはずの傷はこの世界の治癒魔法によってすぐ治された。
きっと日本に居れば今頃空の上だっただろう。
それほどこの世界では何でも有り。ちょっと信じられない話だが、それが現実。
夢子は城の中で歩くリハビリをしていた。

ルキナ「夢子さん、ちょっと良いですか?」
夢子は廊下でルキナとカムイに呼び止められた。

夢子「どうしたの?二人とも。」
カムイ「夢子さん、元気になった事だしちょっとお願いっていうか…」
夢子「私で良いなら何でも言って!」
カムイ「私たちが日本に居た時夢子さんがお洋服貸してくださいましたよね?」
夢子「うん…それがどうかしたの?」
ルキナ「私たちからも恩返しっていうか、この世界のお洋服プレゼント出来たらなって思ってたんです。」
カムイ「きっと夢子さんならどんなお洋服も着こなせると思うの!
     だから…着てみませんか?」
夢子「…??そのくらい別にいいよ!私もこの世界のファッション気になるし!」
ルキナ「それじゃあ意見成立ですね…(ニヤリ)」
カムイ「ええ、じゃあ早速取り掛かりましょう…(ニヤリ)」
夢子「へ…?!」

夢子はルキナとカムイに連れ去られた。












剣士男子達は城の闘技場で剣技を磨いていた。
練習用の木刀を思い切り振り回す。
今はリンクとルフレが対戦していた。
ピット「リンクー!頑張れー!そっち!右だよ右!」
アイク「…どこのスイカ割りかよ。」
クロム「ルフレ!相手の隙を覗うんだ!集中しろ!」


リンクとルフレは戦いながらも互いに言葉を交わしていた。

リンク「日本にしばらくいたから訛ってると思いましたが…動けるもんですね。
    邪竜の件もありましたが貴方の軍師としての評価は高いです。」
ルフレ「珍しいね、君がそんな風に言うだなんて。」
リンク「現に今夢子さんが息をしていられたのはあの判断があったからです。」
ルフレ「…じゃあ夢子の事素直に僕にくれる?」
リンク「それは出来ない話ですね。彼女の事はまだ諦めてませんから!」
ルフレ「‥良い度胸だね。君みたいなライバルがいるから余計彼女を手放したくないよ。」
リンク「俺は絶対諦めません。貴方を踏み台にしても彼女を奪います。」


剣と剣がぶつかり合う。
戦いは益々ヒートアップしていく。
お互いにスマッシュ攻撃を繰り出し、シールドで防御をして、軽い身のこなしで攻撃を回避する。

マルス「なんか熱いね〜なんでこんなに燃えてるの?」
シュルク「きっと二人とも同じことを考えて剣を交えてるのでしょう。」
ロイ「思い人が一緒って、複雑ですね。思えばこの場合は何角関係になるのでしょうか?」
マルス「うーん僕らも数に入れたら相当だね…全く夢子モテモテだよね〜。」
クロム「よし、そこまでだ!一旦休憩に入ろう。」

リンクとルフレは木刀を閉まった。
二人ともいい汗かいている。

するとそこにルキナとカムイが歩いてきた。

ルキナ「お二人とも試合は終わりましたか?」
クロム「ルキナか。ああ、今丁度休憩に入ったところだ。…どうかしたのか?」
ルキナ「皆さんに見せたいものがあるんです。」
カムイ「きっと驚きますよ〜!きっと魂が抜けちゃいますよ。」
ピット「なになにー?サプライズ?」
ルキナ「夢子さん、こちらへ!」


ルキナとカムイの背後から夢子が現れた。
そこには白いドレスを着て髪を巻き頭にはティアラを乗せた夢子がいた。
何所からどう見てもファンタジー世界のお姫様だ。


夢子「ねえ、二人とも…やっぱり私恥ずかしい…!」
ルキナ「私たちのお願い聞いて貰って夢子さんにお姫様になってもらっちゃいました★」
カムイ「どうでしょう?素から光ってますが更に神々しくなりましたでしょ?」

男性陣「「・・・・。」」

夢子「ほ、ほら‥皆黙ってる…やっぱり似合わないんだわ…私なんか。」


男性陣「「いい・・・。」」
夢子「へ?」

ピット「夢子、めっちゃ似合ってるよー!超可愛い!」
夢子「ほんと?」
マルス「ほんとほんと!」
アイク「まあ素が良いからな。」
シュルク「夢子さん綺麗ですよ!」
クロム「ドレスか…この世界らしいな。」
ロイ「これはもう本物のお姫様ですね!」


リンク「・・・。」
ルフレ「・・・。」

絶賛の言葉の嵐の中リンクとルフレは黙っている。
夢子はこの二人を気にする。

夢子「二人は…やっぱり嫌だった?そうよね、この世界のお洋服は私を認めない…」







リンク「俺とバージンロードを歩くための正装と認識していいですか?」
ルフレ「僕と結婚する意志が、やっと気持ちが固まったんだね?」




夢子「え。(何言ってるのこの人たち…)」






リンク「何馬鹿な事言ってるんですか?夢子さんと教会に行くのは俺です。」
ルフレ「ふざけないでよ、僕が教会で彼女と誓いのキスするんだよ?」
リンク「寝言は寝て言ってください。」
ルフレ「君こそ頭沸いちゃってるんじゃないの?」


ルキナ「あらあら・・・。」
カムイ「皆さん夢子さんに釘付けですわね!」

夢子「わ、私はまだ結婚しません!!」


リンク「夢子さん、その衣装のまま俺と城下町でデートしましょう?
    町中に見せびらかしたい。そして俺とお似合いって証明もさせます。」
ルフレ「そんな事させないよ?夢子は今から僕の部屋で僕とイチャつくの!」
リンク「貴方は手を出すのが早すぎなんですよ…もっと紳士になったらどうですか?」
ルフレ「君だって下心満載でドン引きだよ?」
リンク「それ貴方に1番言われたくないセリフなんですけど。」
クロム「まあ、二人とも落ち着けって。意中の女性を落とすにはそんなやり方ダメだぞ?」
ルフレ「クロム、君ならどうするんだい?意中の女性が白いドレス着て立ってるんだよ?
    これはもう【ウェディングドレス】としか受け取りようないでしょ!?」
クロム「はあ、お前等は変な熱があり過ぎなんだよな‥。」

ルキナ「この関係、まるで日本の昼ドラみたいですね。」
カムイ「愛と憎しみ…このドロドロ感、それもまた甘美ですわ〜。」

リンク「夢子さん、さあ一緒に行きましょう。俺もすぐ白いタキシード準備します!」
ルフレ「何言ってるの?彼女は僕の奥さんなんだよ?」
夢子「だから結婚はまだしません!!!!ふたりとも頭冷やしなさい!!///」






その後夢子を巡るリンクとルフレの言い争いは1日以上続いたらしい。
この日以来彼女は白いドレスはそっと封印した。
でもいつかは再び着る事になるだろう。





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