【何よりも愛しい君をゆるやかな鎖でつなぎ止め、広い檻に閉じ込めよう。壱】
※サイコパス・ヤンデレ要素有。














夢子は走り続けていた。
暗闇の中のトンネルを。
光が差し込む遠い出口を見つめてひた走る。
でもどんなに走り続けても光が近づくどころか遠ざかる。
ただ走り続けているわけではない。
誰かから逃げているから。
その誰かとは…


リンク「夢子さん、逃げないでくださいよ?」


ハイラルの英傑、リンク。
彼もまた夢子を追いかけ走り続けていた。
手に握るのは伝説の退魔マスターソード。
その刃は逃げる彼女に向けられていた。
走りながら彼女たちは言葉を交わす。

夢子「なんで…?なんでそんな事しようとするの!?」
リンク「だって、貴女はいつまで経っても俺のモノにならないじゃないですか。」
夢子「だからってこんな…殺人みたいなことを…」

リンク「そうですよ。だから・・・・
   

  
俺と一緒に死んでください。  」



夢子「…!?」
リンク「一緒に死ねば永遠に永久の愛が俺たちを祝福してくれますよ。」
夢子「貴方…狂ってるわ…。」
リンク「どうとでも言ってください。…夢子さん、貴女が悪いんですよ。
    俺がこんなに思ってるのに見向きもしてくれなかった。
    俺はいつも貴女を見ているのに。…なぜですか?」
夢子「貴方の事は大切な仲間だと思ってるわよ!?」
リンク「それがダメなんですよ…!あいつ等と同等に扱われて…
    同じように接して…平等平等平等…。」
夢子「だって本当に皆大切だから‥‥」
リンク「だからそれがダメなんですよ!
           夢子さんは…俺の事だけ見てればいいんです!」
夢子「ねぇ…もうやめようよこんなの。お互い苦しくなるだけだわ?」
リンク「いいえ、俺は決めましたから。後は貴女と一緒に死ぬだけです。」
夢子「やめて…来ないで‥!」
リンク「誰にも邪魔されない、天国で幸せに…永遠の幸せを手に入れましょう。」




夢子「いやあああああああああああああああ!」


























夢子「ハッ!」
夢子は目覚めた。
小鳥のさえずりが聞こえる。
棚の上の目覚まし時計を見ると朝の7時だった。
夢子「夢…今のは夢なの…?」
冷や汗と悪寒が止まらない夢子。
その時、声をかける人物が。
リンク「…夢子さん、どうしたんですか?」
リンクだった。
そして手には…包丁が握られている。
夢子「やめて…来ないで…!」
リンク「???」
夢子「私は皆好きなの…貴方の事も大好きだから…お願いやめて‥!」
リンク「なんかよくわからないですが…俺の事好きって言ってくれるの嬉しいです。
    これで朝ごはんの支度も捗ります!」
夢子「あさ…ごは…ん‥」
リンク「今味噌汁に入れるネギ切ってたんです。」
夢子「私を殺そうとしてたんじゃなくて?」
リンク「え、そんな事あるわけないじゃないですか!
     俺が夢子さんを殺めるなんてありえません。
    …悪い夢でも見ましたか?」

夢子「…はぁ…ほんと…悪い夢だったのね?」
リンク「あ、でも下処理は完璧です。あとは夢子さんとご飯食べて…午後からデートしましょう。」
夢子「そういえばルフレ達は?妬けに静かだと思ったら姿ないじゃない?」
リンク「ええ、だから、下処理したんです。」
夢子「…料理の話よね?」
リンク「いいえ。」
夢子「…それってどういう意味?」



リンクは黒い笑みを浮かべながら静かに呟いた。
夢子の夢は…



リンク「彼らは全員山に埋めましたから」


最悪な形で永遠の愛を虐げられる事となった。






【いいね!!】


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