【たった今、この瞬間、君と繋いだ手が離れないよう僕は強く握りしめた。】





夢子と剣士組は海外へと旅行へ行く準備をしていた。
目的は夢子の育ての両親に夢子が会いに行くから。
男子6人は我こそは夢子のフィアンセと言い張り意気込んでいた。
飛行機のチケットはちゃんと7人分取れた。のだが…
ピット「ええー夢子と同じ飛行機に乗れるのあと1人しかいないって!?」
マルス「勿論僕が乗るよ?」
アイク「むさくるしいのは嫌だな…」
リンク「ここはじゃんけんで。今度は普通のじゃんけんで勝った人が
    夢子とペアで乗れる、ってことでいいですね?」
ルフレ「君、この間の夢子の病院の付き添いのこと
    まだ根に持ってるんでしょ?」
リンク「ち、違いますよ…普通にやったら俺が強いんです。」
シュルク「男に二言はないですよね。それじゃあ平行にじゃんけんしましょ。」


「「「いっせーので、じゃんけんポン!!!」」」

夢子と一緒に飛行機に乗れる付いてるファイターは・・・・



シュルク「やった、僕の勝ちですね!」
リンク「ええ、まさか負けるなんて…」
ピット「いいなーシュルク!超羨ましい!」
ルフレ「まあシュルクなら何処ぞの英傑勇者よりは安心できるよね。」
リンク「あ、今俺の事ディスりましたね?」
ルフレ「フ、君以外にいないでしょ。」
リンク「海外に着いたら決闘しましょう。」
ルフレ「べつにいいよ?僕が勝つし。」
マルス「あ、飛行機もう乗れるみたいだよ!」
ピット「ホラホラ喧嘩しないでよね!いくよー?」
アイク「機内食楽しみだな。」





飛行機に乗った夢子とシュルク。
外国製の大型機ともあってとても大きい。
夢子「ほえー久々の飛行機だけど超大きいね!何人乗れるのかな?」
シュルク「確か300人は入るって聞きましたよ。」
夢子「うわぁ…流石、レベルが違うわね。」

乗り込んでから15分経ち飛行機が空港から飛び立った。
地上の景色はどんどん小さくなり、やがて見えなくなった。
もう雲の上まで来ている。

夢子「なんだか楽しいね!シュルク!もうこんなに空の上だよ!?」
まるで小さい子供のようにはしゃぐ夢子。
シュルクはその姿を微笑んでみてた。
シュルク「夢子さんが嬉しいなら僕も嬉しいですよ。」
夢子「お父さんとお母さん、こんなサプライズで突然会ったら
      相当びっくりするよね?」
シュルク「そうですね。夢子さんのご両親にも何れは
     ちゃんと挨拶をって思ってたんですよね。」
夢子「そうなの?」
シュルク「多分みんなそれが目当てだったんでしょうね。」
夢子「ふーん。なんでそんなに私の両親と会いたいのかな?」
シュルク「それは・・・将来の話ですよ。
     貴女のお婿さんになるの誰かって。
     昨晩は夜通し討論してましたよ、6人で。」
夢子「ええ、お…お婿さん!?///」
シュルク「勿論僕もその気でいますから。」
夢子「もーシュルクったら、からかわないでよ〜///」
シュルク「あはは、夢子さんの困った顔も好きです。」
夢子「なんかシュルク最近他の男子達と似て来たね?
      最初はあんな控えめだったのに‥。」
シュルク「学習能力高いので(にこっ)」
夢子「恐ろしいわー・・・」

夢子とシュルクが笑いあっていた
その時だった。




ガタン・・・・・!!!!




飛行機が大きく揺れた。
搭乗者はざわつく。


夢子「な…何今の。」
シュルク「トラブル…ですかね?」


すると待機していた客室乗務員が騒ぐ。


客室乗務員「お客様、落ち着いてください!
      只今機内トラブルが発生し
      直ちに対応してます!
      騒がず暴れず落ち着いてシートベルトをお締めください!」



夢子「…どういうこと?」
シュルク「すいません、夢子さん。ちょっとトイレ行ってきます。」
夢子「う…うん。気を付けて…。」



シュルクは騒ぎ始めた機内のトイレへ駆け込んだ。
このタイミングでトイレがしたくなったわけではない。
シュルクは誰にも見られないようにトイレでモナドを召喚した。
そしてモナドを手に持った瞬間
シュルクは見てしまった。






















この飛行機があと数分後に墜落するという未来視を。














シュルクは絶望した。そしてすぐに自分を責めた。
もっと早くこの力を使ってこの飛行機に乗らないければ助かったかもしれない。
何より夢子の先ほどの無邪気な笑顔を思い出すと胸が痛い。
夢子に真実を伝えるべきなのか?
それとも知らん顔で誤魔化す方法があるのか?
あと数分で人生が終わる。
そして夢子と永遠に引き離される。


シュルク「そんなの…嫌だ…!!」




シュルクは席へ戻った。
夢子「大丈夫?顔色真っ青だよ?」
シュルクは震えながら答えた。
シュルク「夢子さん、貴女に話しておきたいこと…
     楽しい話も笑える話も…いっぱいあるのに…
     今はまずこの話からしなきゃいけない。
     辛い話です。
     貴女は聞く覚悟ありますか?」


夢子「…大丈夫、シュルクの話、私聞くよ?」
シュルクは大きく深呼吸をして自分を宥めてから夢子に話した。
夢子もこの機内の様子とシュルクの表情を見てなんとなくわかっていた。
この後の結末は、誰もが予感する雰囲気。


シュルク「いいですか?落ち着いて聞いてくださいね。
     今から10分後、この飛行機は墜落します。」
夢子「・・・・。」
シュルク「ごめん…僕は貴女を救えない…未来視を…見てしまったから…。」
夢子「シュルク、自分を責めないで。これは…運命なのよ‥‥
     うっ‥‥せめて…家族の皆に会ってからだったらよかったのに。
     それに、この飛行機に乗るのは私ひとりで十分だった。
     シュルクの事‥‥巻き込んじゃった。」
夢子の瞳から大粒の涙が零れる。
シュルクは夢子を抱きしめた。



客室乗務員が叫ぶ。
客室乗務員「皆さん!緊急の酸素マスクが下りてきます!
      落ち着いて口に当てて頭を座席から下へ下げてください!」





ゴゴゴゴッゴゴゴオゴゴゴオゴゴ!!!

ガタンガタンガタン!!!



乗客「「「「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!」」」」




飛行機は内側から変な音を出して煙を上げた。
夢子は震えて声が出ない。
シュルクは強く彼女を抱きしめ続ける。
シュルク「僕に‥‥こんな状況乗り越えられる力があれば…!」
夢子「シュルク…」
シュルク「夢子さん…大丈夫ですかって言うほど
     大丈夫な状況じゃないのは分かってますが…
     僕はずっとここにいますから。
     夢子さんから離れません。」
シュルクは夢子を抱きしめながら手も強く握りしめた。
ふたり共手が震えている。
夢子「ありがとう。」
シュルク「!?」
夢子「私貴方に出会えてよかったよ。
      剣士男子達にも出会えて良かったけど
      最後に一緒に居られるのが貴方で良かった…。」
夢子は涙を流し震えながら笑った。
シュルク「酸素マスク、どけていいですか?」
夢子「うん。いいよ。もう…どうせ意味ないもんね。」


シュルクと夢子は酸素マスクを外した。
そして二人は最後のキスをした。



飛行機はそんな二人を乗せたまま山へと炎と煙を上げ落ちていった。
最後の最後で愛を確かめ合ったふたり。
きっとふたりはこの青い空の上で結ばれる。









【いいね!!】



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