【カワイイって言ってる君が一番カワイイ。】



夢子はいつも通り剣士男子達と暮らす部屋で目を覚ます。
窓のカーテンの隙間から入る太陽の光が眩しい。

夢子「うーん、今日はいい天気ね!…あれ?」
夢子は気づいた。
いつもの家の雰囲気ではない。
ふすまをそっと開け、男子のいる部屋を覗く。

5人は寝ている。

夢子「ええ、珍しい…今頃お腹空いたーとか言って起きてるのに。
     …そういえば料理担当のリンクもまだ寝てるし。これは…」

夢子は細い腕に後ろからそっと抱き寄せられた。

ルフレ「夢子、シーッ!」
夢子「る…ルフレ?!」
ルフレ「理由はあとで説明するから着替えて準備して外出て?」
夢子「う…うん。あとでちゃんと納得のいく説明してよね!」


夢子は着替えてメイクをして玄関の外で待つルフレの元へと言った。
ルフレは相変わらずニコニコしている。
玄関から出て扉に鍵をかける。中にいるのは無類の強さの剣士だけど、一応。


夢子「ねえ、どういうことなの?さっきも言ったけどちゃんと説明して?」
ルフレ「今日は休日。僕は折角のこんないい天気に外に出ないの勿体ないと思って。」
夢子「ふむ。それで?」
ルフレ「僕はどうしても夢子とふたりきりになりたい。
    でも彼らは僕の邪魔をする。そうなると・・・」
夢子「ええ、まさかリンク達を…!?」
ルフレ「うん、眠って貰ったんだ。昨日の夕飯に強烈な睡眠薬入れて。」
夢子「ふう、良かった殺されていたわけでは‥‥って。睡眠薬!?」
ルフレ「あいつ等普通のじゃ全然効く気配しないから
    象とかに使う睡眠薬100錠使って…ようやく寝てくれたよ。」
夢子「それ致死量とか色々大丈夫なのって思うんだけど。」
ルフレ「大丈夫!あいつ等象より耐性格上だから。
    それに昼頃には目が覚めて騒ぐんじゃないかな。
    『ああ!夢子とルフレがいない!あのキザ野郎〜』とかでも言いそう。
     フフフ、いい気味だよね。想像するだけで笑えちゃう!」
夢子「彼等の事よくご理解していらっしゃるようで。」
ルフレ「さ、それじゃあうるさいのが目を覚ます前に行こうか!」
ルフレは夢子を手を握ると引っ張り歩き出す。
夢子「え、行くって…どこに?」
ルフレ「ついてからのお楽しみ♪」







ルフレに連れられるがまま夢子はあちこちを歩く。
バスに乗ったり電車に乗ったり、再びバスに乗って。

夢子「ねえ、ほんとにどこ行く気?」
ルフレ「ごめんね。移動長いけどもう少し我慢してねー。」


そしてついた場所。
そこに大きな石碑に掘られた文字にイルカのオブジェクト。


夢子「ココって…水族館!?!?」
ルフレ「そ!」
夢子「しかも私が一番行きたかったトコ…!?」
ルフレ「前にTV見てた時夢子がイルカ見て凄く幸せそうな顔してたから
    僕、君のあの顔忘れられなくて。どう?」
夢子「ありがとうー!ルフレ!貴方の事見直したわー!
     やっと私もイルカ見られるのね!わーい♪」
ルフレ「そうそうその顔!きみの幸せそうな顔!もう僕既に満足しそう!」
夢子「いや、ちゃんと中に入って確認しないと…。」
ルフレ「それじゃあ行こうか。」
夢子「うん!」




夢子達は水族館のチケットを買う。
外もだったが中は外の倍混んでいる。

夢子「人多いね…やっぱTVで見た通り人気あるのね…。」
ルフレ「夢子。」
夢子「?」
ルフレ「僕の腕に捕まって?」
夢子「なっ!?///」
ルフレ「迷子になったら大変でしょ?ホラ!(ニコッ)」
夢子「も〜しょうがないか…確かにこれじゃはぐれそうだし。」

ギュッ・・・

夢子はルフレの腕にしっかり捕まった。
ルフレ「フフ、僕今世界一幸福な人間だよね!?
    それにどっからどう見ても僕らラブラブなカップルだよね!?
    ヤバイ、僕鼻血でそう!」
夢子「この際ビジュアルなんてどうでもいいわよ、離さないようにしなきゃ…
     あ!クラゲだ!綺麗な色してカワイイ!」
ルフレ(君の方がカワイイ!)
夢子「うわぁおっきいカニ!」
ルフレ(このカニ料理の遣り甲斐がありそう!)
夢子「わぁ!チンアナゴ!長くてカワイイ!」
ルフレ(僕のチンアナゴのほうが凄いよ?)


純粋に水族館を楽しむ夢子の横で変な事ばっか考えてるルフレ。
完全に心が汚れていると言った方が良い。
そんなことも知るよしもない夢子と汚れたルフレは
巨大水槽の前へとたどり着いた。





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