【ごめんという気持ちを好きという言葉に込めて。】
※このお話は桔梗(キキョウ)の花弁が語る思いに、の救い続編です。
 先に桔梗(キキョウ)の花弁が語る思いに、を閲覧するのをオススメしてます。








此処は市内の病院。
入院部屋の一角のベットに横たわる人物。
それはスマブラのファイター、ルフレ。
彼は崖から飛び降り意識を失っていた。
部屋には心電図のピコピコとしたルフレの脈の音を刻んでいた。

リンク「ルフレ…いつ目が覚めますかね?」
ピット「もう一カ月だよ?…もうダメなんじゃ…」
マルス「そんな事言っちゃダメだよ、ピット君。まだ大丈夫さ!」
アイク「でもずっとこんな調子じゃ先が見えないな。」
シュルク「大丈夫ですよ、ルフレなら。彼は強い。そして…」

ルフレの隣のベットを見るシュルク。
その視線の先には━━・・・
夢子がいた。
不慮の事故にあった夢子だったが、彼女もまた生きていた。
そう、ルフレも夢子もちゃんと生きていた。
二人とも意識は依然無いが、ちゃんと息をしてここに居る。

シュルク「夢子さんも運が良かったです。
     骨は折れてるみたいですが、内臓には損傷がない。奇跡ですよ。」
リンク「夢子さん、なんであんな事に…
    ルフレ、起きてくださいよ?貴方には聞きたいこと山ほどあるんですから!」
ピット「あ、もうお昼だよ!ねね、上の食堂でご飯食べようよ!」


ピットの発言で皆は食事をしに部屋から出て行った。
再び静けさが戻った病室。
ピッ・・・ピッ・・・
心電図の音だけが響く。
ピッ・・・
静かすぎる病室の中の変化。
それは
ルフレの指が少し動いた。
中指に挟まれたパルスオキシメーターが揺れる。
ルフレの目がゆっくり薄く開いた。
スーッ・・・スーッ・・・
酸素を吸う音。刻まれる心電図音。ぶら下がる点滴の落ちる音。

ルフレ「ぼ…く…は…」

ルフレは頭を回転させるのが難しい中記憶を辿った。

ルフレ「夢子と…待ち合わせして…デートして…
    海の見える崖に…そして…」
ルフレの目が大きく開く。




ルフレ「僕が…夢子を…殺した…!!!」



呼吸が乱れて心電図が荒れ始める。

ピコーンピコーン!


すぐに異変に気付いた医者がルフレへと駆け寄る。
医者「流風麗さん!意識戻ったんですね?!
   大丈夫ですよ、此処は病院だから落ち着いて!」
ルフレ「嫌だ!僕は夢子と一緒に…彼女と同じ世界へ…!」
看護婦「流風麗さん、夢子さんなら隣にいますよ!?」
ルフレ「え…?」


ルフレはゆっくり隣のベットへと顔を向けた。
するとそこには最愛の、世界で一番大切な夢子がいる事に気づいた。
ルフレと同じように管という管に繋がれて、静かに‥静かに…眠っていた。

ルフレ「夢子…そうか…君は生きてたんだね…。」
ルフレの脈拍は再び落ち着きを取り戻す。
乱れた呼吸も段々落ち着く。
医者「良かった、流風麗さんあまり色々考えすぎないように。
   彼女なら意識は戻ってないが命に別状はないですよ。」
ルフレ「そう…ですか。」
ルフレは苦しくて押しつぶされそうな気持でいた。
ルフレ(事故?あれは事故ではない。己が跳ねのけた腕のせいで夢子は)
医者がいなくなり静けさの戻った病室で
ルフレは・・・悔しくて泣いていた。
涙が止まらない。後から後から溢れてくる。
今すぐ彼女を抱きしめたい。
「ごめん」と「愛してるんだ」と伝えたい。
でも身体は動かない。当たり前だ。あの高さから落ちた人間なら普通は死んでる。
ルフレ「夢子…僕は苦しくて仕方がないよ。罪悪感で押しつぶされそうだ。」
ルフレは動けないはずの身体を横にして夢子の眠るベットを見つめる。

スーッ・・・・スッー・・・・

ルフレ「君が目覚めたら僕はこれからどんな顔で君を見ればいい?」


夢子をずっと見つめるルフレ。
彼女の美しい寝顔に陽の光が当たる。

ルフレ「声も顔も髪も寝顔もー…全てが美しい。
    そんな君がもしも永遠に眠り続けたら…
    本当にあの花言葉の【永遠の愛】になってしまう。」
夢子「・・・。」
ルフレ「お願いだ、またその瞳に僕を映して?君のその純真無垢な瞳に…」
その時だった。
夢子の指が少し動いた気がした。

ルフレ「夢子…?」
夢子「…る…。」
ルフレ「僕の声…届いた?」
夢子「ルフ…レ…」
ルフレ「夢子!!!」

ルフレは今までの身体の状態が嘘だったかのように
身体に繋がれていた機械の管を全て取って夢子のベットへと駆け寄った。
動けないはずの身体からの何処からこの力が出てきたのか、
ルフレ自体も気づかない程の勢いで夢子の傍へ駆け寄る。

ルフレ「夢子…!夢子…!僕の事わかるかい?!」
夢子「ル…ごめ…んね…。」
夢子は声にならない声で反応した。
ルフレは泣きながらベットに横たわる夢子を抱きしめた。
ルフレ「こっちこそごめん‥あんな酷い事するつもりじゃなかったんだ…」
夢子「私も…ちゃんと本当の事…伝えそびれちゃった…の…」
ルフレ「え?どういう事?」
夢子「あの首の跡は…私が望んだものではないの…
      酔っ払いが来て…襲われて…怖くて…それで…」
ルフレ「全部僕の…勘違いだったってこと…!?」
夢子「でも…結果、貴方を傷つけたのは変わらない…
      もう貴方の隣を歩く資格…ないわ…。」
ルフレ「そんなことなよ夢子。僕だってあの時最後まで話聞いてれば…。」
夢子「お花も…渡せなかった‥‥」
ルフレ「桔梗の花かい?それならちゃんと受け取ったよ。
    夢子の気持ち、伝わった。」
夢子「私も…私の気持ちも…」
ルフレ「好きだよ。夢子。この世で一番。」
夢子「私も好きよ…!そうだ、元気になったらまたチーズケーキ…食べさせてね?」
ルフレ「ああ!もちろんだよ!愛してる、夢子。
    そして‥‥これは良い意味で永遠の愛だから。
    これからいっぱい罪を償わさせてくれないか?」
夢子「貴方の事…恨んだりしてないわ。」」





二人は再びこの地上で言葉を交わせた。
誤解を解き真実の愛を確かめ合う。
そして顔を見合わせて笑った。
愛する事と愛される事…この二人にとって大切なもの。
空は今日も蒼い。










★あとがき★
【桔梗(キキョウ)の花弁が語る思いに】の続編でした。
なんと・・・!二人とも生きていたという生存エンド。
死ネタオチよりこっちの方が平和かなぁ





【いいね!!】


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