【いつになったら男として見てくれますか?】

鐘が鳴り響いた後の学校の中。
いつもの放課後。
いつもの教室。
いつもと変わらない私ともう一人の人物。
教室には夢子とそしてシュルク。
今は2人しかいない。
いつもの騒がしい剣士男子達は先生に職員室に呼び出しを喰らって今はいない。
シュルクはいつも真面目に授業を受けているので
一人だけ呼び出しを喰らわずにすんだらしい。
そして夢子。シュルクに呼び出されて今教室に2人きり。

夢子「あいつ等馬鹿よね、だからあんまり騒ぎ過ぎないでって注意してたのに
      先生に怒られるのよ…ね、シュルク。」
シュルク「…そうですね。」
夢子「向こうの世界でもこんな感じだったの?」
シュルク「…そうですね。」
夢子「ほんと手の掛かる男共よね、皆シュルクみたいに真面目ならいいのに。」
シュルク「僕は…真面目じゃないですよ。」
夢子「どうしたの?なんか元気ない…大丈夫?」
シュルク「僕は…ずっと夢子さんに距離を置いていました。」
夢子「え?」
シュルク「自分の本当の気持ちを隠して…接してました。」
夢子「シュルク…どうしたのよ急に。」
シュルク「貴女の事が好きです。」
夢子「!!!」
シュルク「周りの皆は自分の気持ちにとても正直で…
     正直ずっと羨ましかった。
     好きな気持ちを正直に伝えてる彼らが。」
夢子「シュルク…。」
シュルク「だから僕も、本当の気持ちを出します。口下手な僕ですが…」」
夢子「好きって言われるのは嬉しいけど、今は答えはー・・・」


ドンッ!

シュルクは夢子を壁際へと追い詰めた。
所謂「壁ドン」というやつ。

夢子「なっ…シュルク!?こんなの何処で覚えたのよ!」
シュルク「ルフレの読んでた漫画カリパクして知った方法です。」
夢子(うわぁなんてもの呼んでるのよあの人…!)

するとシュルクは夢子を見つめて問い掛ける。
蒼い瞳には夢子の姿だけが映る。
その瞳を見ると、もう逃れられない気がした。

シュルク「夢子さん。



     いつになったら僕の事男として見てくれますか?」


夢子「…え?」
シュルク「僕はこの友達以上恋人未満の関係断ち切りたいんです。」
窓ガラスから夕陽の光が差し込む。
外のグラウンドも校舎もオレンジ色の光に包まれた。
そしてその光は悲しげなシュルクの横顔を照らした。
夢子「そんな顔…しないで?」
シュルク「夢子さん…僕も男ですよ?」


シュルクはそっと夢子の頬にキスをした。
夢子「シュルク…!?」
シュルク「僕は貴女が好きです。他の誰よりも貴女を…そして守りたい。
     これからもずっと、死ぬまで…いや、死んだ後も骨になってもずっと。」
夢子「・・・。」
シュルク「今はモナドもないし未来視の力は封印してます。
     未来が全て見えるってつまらないですからね。」
夢子「私も貴方の事は好きよ?でも・・・」
シュルク「『まだ決める覚悟はできない』、ですよね?
     未来視見なくてもわかりますよ、夢子さんの気持ち。
     でもその返事じゃ僕は満足できない。」
夢子「私は…」
シュルク「やっぱり頬じゃなくて口にさせてください。」






オレンジ色の光は重なるシュルクと夢子を照らした。
二人の影は伸びてゆく。
夢子は目を閉じていた。
この思いの真実は未来視でも見えなかったのかもしれない。
夢子の制服のスカートはと窓のカーテンは風で揺らいでいた。
そして、心の中の感情も揺らいでいた。



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