【ウイルスは僕の心の中にも潜んでいるのかもしれない。】




夢子が風邪をひいた。
正確に言えばインフルエンザっぽい症状が出てる。
菌が蔓延する家の中だが剣士達は元気がいい。
そして熱でうなされてる夢子の寝ている奥の部屋で口論してる。
この中で誰が夢子を病院に連れていくか、だ。
意識が朦朧としてる夢子にとっては誰でもいい話だが
剣士達はずっと言い争ってる。
結局最終的に「男気じゃんけん」で決めることになった。
じゃんけんに負け、だが勝利を勝ち取ったのは・・・


ルフレ「やったあー僕負けたー♪」

ルフレだった。
他の剣士達は超悔しがる。
特にリンクが相変わらずルフレに対してやきもち感が凄まじい。
リンク「夢子が弱ってることに付け込んで変な事したら
    貴方を回転斬りしてビタロックして爆弾矢で息の根止めますからね…?
    あとじゃんけんは俺が勝ったから本来なら俺のほうが強いです。」
ルフレ「だいじょーぶ、君みたいな変な事しないから安心して?
    さ、夢子、病院にいこっか。」
夢子「うーん・・。」
ルフレはまず家の前にタクシーを呼んだ。
そして病院へと向かう。
タクシーの車内でも夢子はうなされてる。
ルフレ「夢子、だいじょうぶかい?もう少しだからね!」
病院に着いた。
タクシー代金を払った後夢子をみるルフレ。
とても自力では歩けそうにない。
ルフレ「よし、ああするしかない!」


ヒョイッ

ルフレは夢子をお姫様抱っこした。
そして病院の救急へと運ぶ。
夢子「ちょ…ルフレ…?///」
ルフレ「ふんふんふん♪僕なんか王子様の気分!勿論君はお姫様!
    ま、当たり前だよねー♪」
夢子「文句言う力すらでない‥‥」
そして3時間後。
全ての検査と診察が終わった。
やはり夢子はインフルエンザの反応陽性だった。
救急のベットに横になり栄養剤の点滴を打つと意識が安定してきた。
今なら普通に会話もできる。
ルフレは横たわる夢子の手をずっと横で握っていた。
疲れていたのかルフレは手を握ったまま寝てしまっている。
夢子「迷惑かけちゃったな‥。
      私は皆に与えてもらってばかり。」
するとルフレが目を覚ました。
ルフレ「夢子…?少しは体調良くなったかい?」
夢子「あ、うん。」
ルフレ「そっか、良かった!でも残念なこともあるな。」
夢子「?」
ルフレ「君が目覚めなかったら目覚めのキスしようと思ってたから。」
夢子「やめてよ、私病人よ!?菌が移っちゃう…」
ルフレ「そういう所。」
夢子「??」

ルフレ「『僕の事がキライ』、とかじゃなくて『僕に菌が移らないように』、って。
    君のそういうとこ僕は大好き!」


夢子「だって当たり前なことでしょ?」
ルフレ「そう言っちゃそうだけど。」
夢子「でもありがとう。病院まで連れてきてくれて!」
ルフレ「今日ほどじゃんけんに負けて良かった人生はないよ!」
夢子「じゃんけん?」
ルフレ「いあ、こっちの話!夢子は気にしなくていいの!」



点滴が無くなるまでベットに横になってた夢子。
終わるころには普通に動けるほど大分体力も回復してきた。
あとは薬を飲んで安静にするだけ。
帰りは流石にお姫様抱っこは恥ずかしかった夢子は
ルフレと歩いて帰った。
帰りもタクシーに乗ったほうが体には負担にならないだろうが
夢子はルフレと歩いて家に帰る方法を選んだ。
家と病院がそこまで離れてないのと体力がかなり戻ったのが救いだ。
医者も凄い治癒力だと驚いていたくらい。

夢子「何か冷たいもの食べたいな。」
ルフレ「そう?じゃコンビニでアイスクリーム勝って来てあげる!」
ルフレは夢子を近くのベンチに座らせると走ってコンビニへ行った。
夢子「こんなに私のこと思ってくれる人、いるんだな…」
ルフレはコンビニから1分で帰ってきた。
夢子「ちょ…早くない?ちゃんと代金払った?!」
ルフレ「僕がそんな悪い事するように見える?大丈夫だよ。
    はい!ソフトクリーム買ってきたよ!」
夢子「わー!ありがとう!」

夢子はルフレの買ってきたソフトクリームを食べ始めた。
冷たくて甘い。ルフレも夢子の隣へ座る。
夢子「ふう、熱が飛んでいきそう!やっぱり頑張って歩いて良かった!」
ルフレ「夢子がこんなに喜んでくれるとは思わなかったよ。」

夢子「あ、ルフレも食べる?」
ルフレ「え!?」
ガタッ・・・!
夢子の言葉を聞いてベンチから立ち上がるルフレ。
夢子はその姿を見て戸惑う。

夢子「あ、そっか…菌移っちゃうね…ごめん。」
ルフレ「いやいやいや!食べます!てか是非食べさせて!」
夢子「なんかめっちゃ興奮してない?なんかわかんないけど。」
ルフレ「だって…フフフ。(間接キスじゃーん!ひゃっほーぅ!)」
夢子「変なルフレね。はい、アーン。」
ルフレ「え、マジ!?関節ほにゃららの上にあ〜んまでさせてくれるの!?
    ありがとう神様、僕生まれてきて良かった。」
夢子はインフルエンザのせいで
大分感覚がマヒしているのを自分自身でも理解できてない。
しかりルフレはひとり興奮してる。謎な温度差があるこの状況。
夢子「ほら、溶けちゃう!」
ルフレ「(パクッ‥)うん、美味しい!いままで食べたソフトクリームで最強!」
夢子「ここのコンビニのアイスどれも美味しのよね。」
ルフレ「僕の考えとはちょっと違うけど。夢子、君には悪いけど
    今日の君、ガード柔いからめっちゃ楽しいよ!」
夢子「なに変な事言ってるの?私はいつも通りヨ。」
ルフレ(自分で気づいてない辺りが更にカワイイ…!)
夢子「でもルフレってほんと優しいのね。なんだか見直しちゃった。」
ルフレ「君だけだよ?」
夢子「そんなこといって…学校の女子にも優しいじゃない?」
ルフレ「僕はレディーファーストだからね。でも君以外のコ可愛いと思ったこと
    1度もないよ?全員苦瓜に見えるから。」
夢子「前に言ってたカボチャよりそっちが酷くない?」
ルフレ「クラスを見回したら君は根菜類の中に咲くユリの花だよ。」
夢子「私以外の前でその話しないでね、大変よ?」
ルフレ「僕口硬いから。」
夢子「そうには見えないけど…。」
ルフレ「あ、そうそう。君も今日の事あいつ等には内緒だよ?」
夢子「ん?何かあったっけ?」
ルフレ「関節ほにゃららとかアーンとか!僕と君との2人だけの秘密!」
夢子「ああ…じゃあそういう事にしておくわ。」
ルフレ「やっぱり今日はガードが緩いね。」
夢子「そう?」
ルフレは結構マジな顔で夢子に囁く。
ルフレ「リンクには君に手は出さないって言ったけど…やっぱ考えちゃうな。
    ね、この後ホテル行かない?勿論普通のじゃなくて。チョメチョメな方。」
夢子「…家に帰る。(ボーッ)」
ルフレ「そっか…まだ僕たち未成年だもんね。」
夢子「そういう問題じゃないでしょ?おうちで寝たい。」
ルフレ「ねえ、夢子。お願いがあるんだけど。」
夢子「何〜?」
ルフレ「帰りは僕が君の事おんぶしていい?」
夢子「…別にいいよ?ちょっとフラフラするし。」
ルフレ「ふふーん♪やったね!これでまた近所の人に見せびらかせる!
    それに家にいるあいつ等…特にリンクに見せ閉める事出来る!」
夢子「喧嘩しないでね…?」
ルフレ「大丈夫!この姿を見せびらかすだけだから!」

結局お姫様抱っこと変わらないくらいの姿で家へと帰ったルフレと夢子。
家で待っていた剣士組にはその後散々文句を言われた。

ルフレ「夢子、今日は大変だったけど
    僕にとっては良い日だったよ!ありがとう。」
夢子「私こそ‥‥病院まで連れて行ってくれてありがとう!」
リンク「なんかあったんですか?…ルフレの表情見てたらなんか怪しい匂いが。」
ルフレ「うん、ホテル行こうって言ったら断られただけさ。」
リンク「はぁ!?今なんて…!?」

この後散々騒いだのは言うまでもない。
折角冷めた夢子の熱はまた上がりそうだった。




夢子「でも、ひとりより、良いよね。」




【いいね!!】


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