【てるてる坊主にお願いを】


今は6月。
日本は全体的に梅雨の季節。
近所の花壇には青やピンクの紫陽花が咲き乱れている。
そんな雨降りの休日。
夢子宅もジメジメしていた。



夢子「雨止まない〜!もう、いつまで続くのよー」


ふてぶてしくする夢子。
彼女は梅雨の時期は機嫌が悪くなる。
何故なら

夢子「私の癖毛湿気に超弱いのよー!
     もーすぐハネるのよ、もうアイロンとあコテしても癖が酷い!
     あとわたあめの散歩にも行けない…ほんと最悪!!!」
わたあめ「クゥン?」
そんな中冷静な剣士組。
リンク「梅雨って日本にもあるんですね?」
夢子「え、あっちの世界でもあるの?」
ピット「あるよー!そりゃもう滝のような雨だよ!」
マルス「ほんと何所も彼処もビチョビチョになるよね。」
アイク「日本の梅雨はまだ可愛い方だな。」
ルフレ「あー確かに。天災級だよね。」
シュルク「あっちの世界はどの災害も規格外ですよね。」
リンク「でも夢子さん。」
夢子「ん?」
リンク「今日の癖毛超カワイイです!アホ毛みたく最高です!」
夢子「アホ毛って…何所からその単語出てくるのよ?。」
リンク「日本のアニメで学習しました。」
夢子「なんか飲み込み早いのよね…この剣士共は…。
      教えたことなんでもすぐ吸収するし。」
ルフレ「ま、それは夢子のおかげなんだけどね。
    外出た時なんか色んな説明してくれるから知識も増えるもんさ。
    TVっていう機械もあるしね。」
夢子「ああ、早く雨止まないかなぁ…。あ、そうだ!」
リンク「どうしました?」
夢子「みんな、てるてる坊主ってわかる?」
ルフレ「いや、初耳だけど。日本の何かの文化かい?」
夢子「んーまあそんなもんかなぁ?とりあえず見てて!私作るから!」

そういうと夢子はティッシュと輪ゴムとマジックを準備し始める。
ピット「え、なになに、工作ー?」
夢子は手慣れたようにティッシュを丸めたり広げたりくびったり。
最後に顔をマジックで書いて…

夢子「できたー!てるてる坊主!」
ピット「おお、なんかカワイイ!」
夢子「これをね、窓際に置くの。そしたら雨止むっていう言い伝えあるの!」
リンク「へー面白いですね!元の世界には無い文化ですね。」
ルフレ「なんだかこの顔がゆるくて天の神様が微笑みそうだね!」
ピット「僕も作りたーい♪」
夢子「そうだ、皆で一人1つ作って窓際に飾ろ!」

剣士組はてるてる坊主を作り始めた。
最初は不慣れな手際だったが中盤から皆集中して声も出さない。
外の雨音だけが聞こえる狭い空間。
只管集中して作る6人。
夢子は癖毛のイライラを忘れほのぼのとした雰囲気を楽しむ。
そして10分後。



剣士組「「「できたああああー!!!」」」

6人とも丁度同じタイムで作り終わる奇跡。
タイミング凄まじい。
夢子「じゃあ皆窓際に飾ろ♪」

ひとつづつ飾られるてるてる坊主。
表情は個性が出て6つとも全部違う。
上手かったり下手だったりじゃがいものようだったり…

夢子「これなら神様も笑って晴れるわね!」
リンク「俺は夢子さんが今の笑顔してくれたからそれだけで嬉しいです!」
ルフレ「僕たちも晴れた気分だね!」
夢子「あれ、私笑ってた?」
ピット「朝からイライラしてたみたいだけど今は太陽みたいな笑顔だよ!」
マルス「やっぱ夢子は笑顔じゃないとね!」
アイク「笑えば負の空気が逃げるからな。」
シュルク「夢子さんには笑顔が一番です!」

夢子「雨が止むようにって思っててるてる坊主作ったけど…
      空より私の雲った心が晴れたのね…。
      みんな、ありがと!!」




次の日の天気が雲一つない快晴になったのはここだけの秘密だ。
てるてる坊主の魔力は凄まじい。




【いいね!!】


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