職員室でベレトは頭を抱えていた。
思わず大きなため息を漏らす。

ベレト「はぁ…どうしたものか。」

悩んでる事は夢子の事?ではなく…

彼はこの日、珍しくちゃんと教師をしていた。



【文字通り肉食系なのですが、どちらの意味で捉えて貰っても構いません。1】








ベレト「はぁ…。」

再びため息を付くベレト。何回目だろうか。
そんなベレトを奥の机から見てた姉のベレス。
見かねて弟に声を掛ける。


ベレス「ちょっとどうしたのよ?貴方さっきからため息ばかりよ?
    もしかして夢子ちゃんと何かあった?」
ベレト「ああ…姉さんか。いや、関係あると言えばあるが…。」

結局関係あるんかい。
そんなツッコミは置いといて
ベレトは暗い表情でベレスに言った。


ベレト「今期の学力テストの結果なんだが…」
ベレス「ああ…そんなものあったわね。」
ベレト「俺のクラスの成績が…ちょっと…」
ベレス「んー?どれどれ…」

ベレスはベレトから成績一覧表のファイルを取りあげて見る。

ベレス「…あー…これは…」
ベレト「…最悪だ。また教頭に怒鳴られる…。」
ベレス「しかも、成績の悪いワーストの分類の子たちって‥‥。」
ベレト「そう、…アイツ等だ。」

ベレトの言うアイツ等というのは
紛れもなく参戦者(ファイター)達だった。
しかも夢子含め。
因みにピットだけがワースト分類組には属してない。

ベレト「よりによって何でアイツ等なんだ…やはり筋金入りの脳筋なのだろうか。」
ベレス「…まあ、あの子たち全員ファイターだからねー。ま、次頑張ればいいじゃない!」
ベレト「…実はこの状態が半年続いてるんだ。」
ベレス「あ…そなの…(小声)」


ベレトは真顔だが、明らかに顔色が悪かった。
この学校の女教頭は恐ろしい人だ。
怒らせたら何されるか堪ったもんじゃない。
今、転勤などさせられたら大好きな夢子と一緒に居られなくなる。
それだけは断じて避けたいベレト先生だった。

ベレト「はぁ…。」

ベレトは3度目のため息をつく。
そんなブルーな弟の隣で頭の回転の良いお姉さんは良いアイディアを閃いた。

ベレス「あ、そうだ!!ベレト、良い事考えたわよー!!」
ベレト「何んだ?!」
ベレス「《馬人参作戦》って言葉、知ってる??」
ベレト「…??」







放課後。
夢子と剣士男子達はベレトに教室で待機するように言われていた。

ルフレ「ベレトの奴遅いね?僕早く家に帰って夢子と夕寝したいんだけど。」
リンク「…お腹痛くてトイレに籠ってるとか…?
ルフレ「それで、紙が無くて泣いてるとか!!」
リンク「それで泣く泣く自分の手でお尻拭いて…」
ルフレ「グフフw」
リンク「デュフw」

夢子「ね、ねぇ‥‥二人とも…そんな変な話するのは止めた方が…」

ルフレ「あー笑える!!イケメンの恥ずかしいエピソード程笑えるものないよねー!!」
リンク「きっと今頃苦しんでるんでしょうね!俺等への日頃の行いの罰d‥‥」


夢子「…先生なら後ろに立ってるよ?」



ルフレ&リンク「「ヴェ゙ッ!?」」

潰されたカエルの様な声を出すルフレとリンク。
青ざめながらゆっくり後ろを振り向く。


ベレト「‥‥俺が…トイレで…何だって‥‥???(イラッ…)」


ルフレとリンクの後ろには白髪になったベレトが立っていた。
殺気が凄まじい。この殺気だけで何人か人を殺せそうだ。
口は災いの元。

ルフレ「や、やぁベレト。痔にはボ●ギノールが良いよ…?」
リンク「コログの持ってる葉ってお尻に優しいの知ってます…?」



ベレト「死ね」








暫くして成績の悪かったワースト組達に説教が行われた。
教室の一番後ろでピットが暇そうにしてる。皆の為に残ってくれたらしい。
そして一番前の席に座らされたルフレとリンクの頭には大きなタンコブが出来ていた。
奥でアルフレがニタニタと笑っている。

ルフレ「クソ…!なんでこんな目に…アルフレに笑われるのほんと不愉快!!」
ベレト「俺は今のお前の成績が不愉快なんだが。(イラッ)」
ルフレ「だからってあんなスマッシュ度MAXゲンコツなんてする!?生徒虐待!!教育委員会に訴えるよ!!??この人でなし!!」
ベレト「ならばお前の存在を消すまでだ。歴史ごと改ざんしてやる。」
ルフレ「ムムム…!!」

イライラしているベレトを見て夢子は反省する。
うるうるした目がまるでチワワの様だ。
それはそれで、カワイイのが罪。

夢子「‥‥先生相当機嫌悪い…?やっぱり私の成績が悪かったから…?ごめんなさい…っ」
ベレト「お前一人なら何ともない。問題は…ピット以外の剣士男子共が全員テストの点数が一桁と言う事だ。
    …お前ら普段ちゃんと勉強してるのか?俺の担当科目以外の授業では何をしている?」

ここで参戦者たちは各々の授業態度を自慢する。

リンク「俺はいつも消しゴムのカスで練り消し作ってます。」
マルス「僕はパラパラ漫画書いてる!オススメは漢字辞書!薄くて沢山描けるヨー」
シュルク「人に落書きするの楽しいですよ。歴史の教科書は良いですね、偉人が多いので。」
アイク「授業中の飯は旨い。おにぎりだと片手でもいけるから尚良い。」
ピット「僕は勉強しなくても問題解けるから窓の外の雲見てる!天界どうなってるかなーって」
ブラピ「俺はノートに魔方陣描く練習してるぜ?ふふふ、超絶クールだろ?何なら見るか?俺の力作を…」


ベレト「お前ら…!!(怒りに震える)」


夢子「先生‥‥ごめんなさい…私昔から物覚え悪くて…。」
ベレト「夢子はいいんだ。これから俺が一生かけて手捕り足取り教えてやるから気にするな。」
ルフレ「誰かー此処に変態いるよー。逮捕してー。」

するとベレトは夢子と成績の悪い剣士男子達に提案をだす。
全ては姉のベレスが閃いた案。
そう、例の馬人参作戦(?)とやら、だ。

ベレト「‥‥そこでだ。成績の悪いお前らに朗報をやろう。」
夢子「…朗報?一体何ですか?」


ベレト「今度の小テスト、全員80点以上とったら焼き肉に連れて行ってやる。勿論、全て俺の奢りだ。」


全員「「「!!!!」」」」


ルフレ「そ、それって本当かいベレト…!?」
ベレト「先生と呼べ。」
リンク「これは…」
シュルク「頑張るしかないですね。」
ピット「皆で外食かぁー盛り上がりそうだね!!」
アイク「牛肉以外にも豚や鳥…馬もあるかもしれん。」
ブラピ「俺ナンコツが好きー!!」
マルス「焼肉屋の冷麺って美味しいよねー!やばい、想像しただけでお腹空いてきた…」

夢子「…先生、本当に大丈夫!?この人数で行ったら…凄い金額になっちゃうよ?」

ベレト「…お前らに達成出来たら、の話だがな。
    小テストまで1週間。お前らに果たして完遂できるか?
    …まあ、到底無理だろうが。精々頑張るんだな。」

ベレトは見下したように剣士男子達に言った。
そして夢子にも言う。


ベレト「夢子、お前も成績上がらない場合…その時は特別なお仕置きするからな?覚悟しとけ。」

ぶっちゃけ夢子の場合たまたまノルマ達成できなかっただけでそんなに酷い点数ではなかったのだが。
夢子に対してのベレトのお仕置きとは、もうそっち系の話でしかない。
今まであった出来事を思い出して夢子は顔を赤くして必死になる。
この教師は侮れないし油断出来ない。

夢子「ひっ!?わ、私頑張りますから…!!絶対良い点数とりますから…!!お仕置きはしないでくださいっ!」


ルフレ達が白けた目でベレトを見る。
必死でカワイイ夢子を見て何だか勝ち誇って満足そうな顔をしてるベレトが憎らしかった。

夢子「よーし、皆、がんばろー!?」
ルフレ「…こうなったら良い点数とって鬼畜眼鏡をギャフンと言わさせよう!!
    いっぱい肉食べて、食べて、食べまくって…破産させてやろうよ!!」

するとここまで黙ってたアルフレが会話に参入してきた。

アルフレ「なんか楽しそうだし今回は僕も頑張っちゃうよ。」
ルフレ「はぁ…?君はいつも和牛食べてるでしょ?参加しなくていいのでは?っていうか参加しないでいいよ。」
アルフレ「夢子と食べるから価値があるんだよ。ね?夢子。君だって僕と食べたいでしょ?
     もっとも僕は焼き肉より君の事を…」
夢子「。」
ルフレ「夢子が困ってるから変な事言わないで!?殴るよ?」
アルフレ「フフフ、面白くなってきたね。お勉強…とやら、がんばろー?」



そしてこの日から1週間、夢子と剣士男子達との猛勉強が始まった。





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