アルフレ「ベレトスの馬鹿姉弟の買出しに付き合わされた挙句、やっとのことで逃げ出して
     暇つぶしにゲーセン来たら見知らぬゴボウ達に絡まれて。
     イケメンってこういう時困るよね、皆放っておいてくれない。」
ルフレ「貴様‥‥」
アルフレ「それにプリクラ…だっけ?フラッシュが眩しいんだね。
     僕一瞬死ぬかと思ったよ…。」
ルフレ「そのまま死ねば?」
アルフレ「(シカト)でも、こうして夢子と出会えたし‥‥
     やっぱり僕ら運命の赤い糸…いや、鎖で繋がってるよ。
     …そう思わない??」

上機嫌なアルフレ。
一方ルフレと夢子は最悪な気分だった。

     


【それは例えるなら天秤にかけて無理やり平衡にしたい人間の善意…いや、悪意かな。2】






夢子はプリクラを見て泣きべそをかく。

夢子「折角ルフレとふたりの思い出作ろうとしたのに…」
アルフレ「ん?不満かい?もっとカッコイイ服がよかったかな?」
ルフレ「当たり前だろ!?君なんか邪魔でしかないよ?!
    今だって僕と夢子のデート邪魔してさ…
    っていうかいつも邪魔してくるよね?何なんだい君は?!」
アルフレ「そっか、コイツとのデートそんなにつまらなかったんだね‥‥
     可哀想に。慰めとしてこの僕が君とのデートに付き合ってあげるよ。
     そうだなぁ、あ、お化け屋敷行かない?この上の階に夏季限定で施設あるらしいよ。」
ルフレ「人の話聞いてる!?」
アルフレ「昔はひとりで居るのが愉快で楽しくてしょうがなかったけど
     夢子、君を一目見てしまってから僕の脳内は君で汚染されてるよ。」
ルフレ「普通に気持ち悪いよ?どっか行ってくれないか?」
アルフレ「まあそんな長居はしないよ。さっき先生たちから連絡来たから。」
夢子(ほっ…)
アルフレ「あー…あの二人もこっち向かってるみたい。」

ルフレ「ぁ゙!?!?」


これはヤバイ状態になってきた。
アルフレひとりでも厄介なのに
夢子LOVEなあの姉弟が来たら…此処は戦場と化すに違いない。

ルフレは夢子の手を引いてその場から脱出しようとする。

アルフレ「あれー?何所行くのー?」
ルフレ「お前は付いてこなくていいから。さようなら。行こう、夢子。」

その時だった。
逃げ去る道中、夢子の視界にUFOキャッチャーの台が目に入った。
そしてルフレの腕を引っ張って止める。

ルフレ「…ん?どうしたの?」
夢子「このぬいぐるみ‥‥超カワイイ!!」

それは、巨大なシナ〇ロールのぬいぐるみだった。
確かにカワイイ。ふわふわで触り心地も良さそうだ。
ルフレは顎に手を当て考える。

ルフレ(ここでコレ取って夢子にプレゼントしたら好感度爆上がりだよね!?)

ルフレは夢子を見る。
夢子はケースの中をキラキラした目で見ている。

ルフレ「よし、夢子、僕がとってあげるよ!!」
夢子「え、ほんと!?」
ルフレ「うん、任せて!!こういうの得意だから!!」
夢子「わー!!ありがとルフレ!!大好き!!」


そして、ルフレは巨大シナ〇ロールを取る戦いを始めた。
コインは1枚‥2枚…物凄い勢いで無くなっていく。
流石大目玉商品、中々掴めない。

ルフレ「くそっ…もう1万円使っちゃったよ…」

財布が軽くなる。
夢子は頑張ってくれたルフレに優しく声をかける。

夢子「もういいよ、ルフレ。頑張ってくれたし。私その気持ちだけでも嬉しいよ!!」
ルフレ「…ごめん、夢子…」
夢子「さあ、行こう!ちょっと小腹好いちゃったしスイーツでも食べに行こ!」
ルフレ「そうだね!!」

ルフレと夢子がUFOキャッチャーの台に背を向けた時だった。

ガシャンッ!!!


何かが落ちた、物凄い音がした。

夢子「え?」
ルフレ「何だい今の音…」

音のした背後を振り向く夢子とルフレ。
そこには

ルフレが取れなかったあの巨大なシナ●ロールのぬいぐるみの耳を片手で持ちあげるアルフレだった。


アルフレ「…君、こんなの欲しかったの?」

夢子「そ、それ…!!シナモ‥‥!!」

アルフレは意地悪そうな顔をして夢子に近づく。

アルフレ「これ…欲しい?」

シナ●ロールのぬいぐるみを揺らすアルフレ。
夢子は声を漏らしながらフラフラと手を伸ばす。

アルフレ「フフフ…。」

アルフレは彼女に触れさせないよう高くぬいぐるみを上げる。

アルフレ「ルフレが下手くそでカッコ悪く取れなかったぬいぐるみ、僕が華麗に取ってあげたんだからさ、
     僕の事…褒めてよ?そしたらこのぬいぐるみ、君にあげる。」
夢子「え…!?」
ルフレ「夢子、ダメだよこんな奴の誘惑に乗っちゃ!!」
夢子(アルフレは大嫌いだけど…このシナ●ロールは‥‥欲しい…」
ルフレ「君って奴はほんと最低だね!?人を物で釣るだなんて…!!」
アルフレ「君だって同じこと考えてただろ?現に何度もトライしたじゃないか。」
ルフレ「そ、それはそうだけど…僕は彼女の幸せのために…」
アルフレ「違うね。それは自分の欲望の為だよ、もう一人の僕。」
ルフレ「お前とは違う!行こう、夢子。」
夢子「シナ●ロール‥‥」
ルフレ「今度これよりもーっと大きな奴プレゼントするから!!
    こんな奴と話すだけ時間無駄だよ!!」
夢子「うー‥‥」


その時だった。
聞き慣れた男女の声が響く。

ベレス「アルフレちゃんこんなところにいたの?」

そこにはベレトス姉弟がいた。
ベレスは私服でかなりオシャレをして人々(主に男性)の注目を浴びていた。
ベレトはというと姉の買い物の荷物持ちをしており両腕に沢山袋をぶら下げて居る。

夢子「あ…ベレス先生とベレト先生…!!」
ベレス「まぁ!!夢子ちゃんとルフレちゃんじゃない!!二人も買い物??」
夢子「ええ…まぁ…。」
アルフレ「‥‥ッチ、タイミング悪い姉弟だなぁ。もうちょっとで夢子釣れたのに。」
ベレト「アルフレ…お前また夢子にちょっかい出してたのか?!」
アルフレ「そう怒らないでよ。偶然…いや、やっぱり運命的に会っただけだら。」
ルフレ(うわァァ‥‥最悪だ、この二人とまで遭遇してしまった…僕はこれはどうすればこの修羅場を抜け出せる…?!)

ベレス「勝手に居なくなるから探すの大変だったのよ?もう少し勝手な行動は慎んで…って


     そ‥‥それは‥‥!!!」


アルフレの持つぬいぐるみを見てベレスが絶叫する。

ベレス「シナ●ロールちゃあああああああん!!!ああああっ!!アルフレちゃんでかしたわっ!!!」

アルフレ「は?」
ベレス「だって私のサンリオの最推しって知っていて取って置いてくれたんでしょ?!」
アルフレ「いや、違…」
ベレス「流石私の弟の生徒だわ!!普段は悪い子だけどこういう良い所もあるのよね!!」
アルフレ「これは夢子を釣る為の‥‥」
ベレス「さあ、帰りましょう!!ルフレちゃん、夢子ちゃんの事大事にしてあげてね!!
    あ、でも結婚は認めないわよ?夢子ちゃんのお姉さんは私がなるのだから!!うふふ♪」
アルフレ「あ、ちょ…」
ベレト「帰るぞ。(フッ、ざまぁ)」


アルフレはベレトス姉弟に引っ張られて連れていかれてしまった。
ルフレと夢子はポカーンと口を開けていた。

夢子「ベレス先生‥‥相変わらず可愛いもの大好きだね…」
ルフレ「…でもまあ、あのアルフレの呪縛から解放されたんだ。
    さあ、デートの続きしよう!!」
夢子「そうだね、色々あったけどもう邪魔されることないね!!」
ルフレ「そうだ…ねえ、夢子。さっきのぬいぐるみ、実はあと1体ケースにあったんだけど。」
夢子「え?でももうルフレの財布は…」
ルフレ「最後の一回、チャレンジしてみるよ。
    これで取れたら君にぬいぐるみあげるから…
    君も僕にご褒美頂戴?」
夢子「う…うん?(今まで取れなかったのに最後の1回で取れるかな…?)」






ーその日の夜ー

夢子の部屋には大きなシナ●ロールのぬいぐるみが飾られていた。
夢子はルンルン気分でぬいぐるみを見つめていた。

夢子「まさか…最後の一発、本当に取れるなんて…!!奇跡ってほんとにあるんだ…!!」

本当に凄い奇跡だ。
最後の1発、ルフレも妬けにやる気満々だった気もするが…

夢子「でもいっか!!これで寝る時怖くないよー!良い夢見れそう!」

するとその時

コンコン…

部屋のドアをノックする音。

夢子がドアを開けるとそこにはルフレが立っていた。

夢子「あ…ルフレ、今日はありがとうね!!」
ルフレ「どういたしまして!気に入ってくれたかい?」
夢子「うん、抱き心地ふわっふわで最高!」
ルフレ「そっか、よかった。それはそうと夢子。」
夢子「ん?」



ルフレ「取れたらご褒美頂戴って言ったの忘れてないよね?」


夢子「え。」

ルフレは部屋に入りドアの内鍵を閉める。
そして夢子に微笑んで言い放った。


ルフレ「…いただきます♪」



この晩夢子はルフレに美味しく食われたとさ。
物の見返りは怖い。









【それは例えるなら天秤にかけて無理やり平衡にしたい人間の善意…いや、悪意かな。】【完】





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