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その日はルフレとデートをしていた。
まあ、夢子自身は買い物に付き合って貰ってる感覚だが
ルフレはガチデートのつもりでいた。
ルフレ「…よし、このまま夢子のいい雰囲気になって…帰りは最寄りのホテルで…むふふ。」
…本当に現役男子高校生か?普通に変態だ。
【それは例えるなら天秤にかけて無理やり平衡にしたい人間の善意…いや、悪意かな。1】
邪まな妄想をする男が隣にいるとは想像もしていない夢子。
因みに今日来ている場所は最近出来たばかりの大型のショッピングモールだ。
噂だと500店舗入ってるらしい。
中は店も人も物凄い数。
休日という事もあって人・人・人…
ルフレは突然こんな事を言い出した。
ルフレ「夢子、手繋ごう?」
夢子「ええ!?何で!?は、恥ずかしいよ…///」
ルフレ「君が迷子になって悪い奴に連れていかれたらそれこそ僕は死んでしまうよ?」
夢子「大げさな…」
ルフレ「それに、今、僕がこうしたいの!!」
ルフレは夢子の右手を左手で掴んだ。
夢子「もう…ルフレってば…心配性なんだから。」
そんな夢子も満更でもなかったりする。
ルフレは機嫌が良さそうに鼻歌を歌いながら夢子と歩く。
夢子もひと時の幸せを感じていた。
これから大きな勝負が待っているとも知らずに‥‥
夢子「あ、そうだルフレ!折角だからプリ撮ろうよ!!」
ルフレ「んー?いいけど、急にどうしたんだい?」
夢子「ルフレとの今日の思い出、作りたいの…!プリならずっと手元に残せるでしょ?」
ルフレ(あーかわいい。)
夢子「だからゲームコーナー行こう!?」
ルフレ「あそこ、ちょっと音が煩くて苦手だから本来は行きたくないけど…」
夢子「…ダメ?」
ルフレ「君のお願いなら僕はブリンスタの酸にも飛び込むつもりだから!いいよ、いこ!」
夢子「わーい♪」
ルフレ「やっぱり君は今時の女の子だね。こうしていると邪神の血を引く魔女とは誰も想像つかないよ。」
夢子「私は自分の事特別だと思ってないよ?今までもこれからもずーっと普通の女の子!」
二人がゲームコーナーへ辿り着いた。
幼児向けの乗り物のゲームやコインゲーム、季節限定のふわふわするミニアトラクションもある。
夢子は指さす。
夢子「あ、あった!プリクラコーナー!!流石大型店舗…最新のプリ機20機くらいあるよ…!?」
ルフレ「うーん夢子はどれがいいんだい?僕はこういうのさっぱり…」
夢子「人気ある機種は待ちがあるから、そこが良いかもね!あ、あそこ何か女の子いっぱいいるよ!」
ルフレ「独特な雰囲気だね…流石女の子に人気な機種だ。…ん?ねぇ、夢子。」
夢子「どうしたの?」
ルフレ「あそこの女の子に囲まれてる黒髪の赤目の奴って…」
夢子「あ…。」
ルフレが視線をやる先には若い女子に囲まれてるアルフレだった。
ルフレ「…何でアイツがプリクラコーナー何かにいるんだ…。」
夢子「アルフレもプリ好きなのかな?」
ルフレ「絶対違うでしょ…!?アイツの性格から考えられる!?どっちかって根暗陰キャだよ!?」
夢子「じゃあ何で…」
ルフレ「夢子、兎に角ここから離れよう。他にもプリ機は沢山あるし他所の機種で僕らはー・・・」
ルフレが夢子の手を引いてすぐさまその場から立ち去ろうとするが…
アルフレ「…あ。」
アルフレが退却しようとするルフレと夢子の姿を視界に入れてしまう。
今まで怠そうだった彼は一気に不敵な笑みを浮かべ、
逆ナンパしてた周りの女の子たちに向かって言う。
アルフレ「ー…ごめんね、彼女が来たからやっぱり君たちとは遊べない。」
女子A「ええー!?彼女いるの!?」
女子B「オニーサンずっと一人で暇そうにしてたじゃない!?」
アルフレ「待ち合わせしてただけだよ。僕には運命を共にすると誓った女性が居るから。」
女子C「そ、そんなー…せめて1枚くらい…」
アルフレ「君たちなんて夢子以外は
毛の生えたゴボウにしか見えないから。…さようなら。」
女子A「ご、ゴボウですって!?」
悲鳴と怒号を挙げる女子たちなど気にもせず、アルフレはその場から立ち去った。
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一方ルフレは速足でアルフレの居た場所を避けて一番奥にあるプリ機に来た。
ルフレ「この辺人気ないのかな?ひとっ気無いけど…夢子、この機種でもいい?」
夢子「ルフレと撮れるなら何でもいいよ!」
ルフレ(あああ可愛すぎる…)
夢子「じゃあ入ろう!!」
夢子とルフレはプリ機のカーテンを捲る。
眩しい照明に独特の大音量のBGMが流れている。
ルフレ「…凄い音量だね…目もチカチカする…」
夢子「えーっとコイン…」
ルフレ「僕が払うよ。」
夢子「え、いいの?」
ルフレ「だって今日は僕が君をデートに誘ったから。」
夢子「じゃあお言葉に甘えて…」
そして、シーンや色合いやポーズのお手本を見る。
ルフレ「…何か恥ずかしいなぁ。」
夢子「大丈夫大丈夫!!あ、シャッター鳴るよ!カメラ目線頑張って!」
ルフレ「う、うん…。」
サン・・ニ・・・イチ・・・!!
パシャッ!!!
そして二人は無事(?)プリクラを撮り終えた。
印刷されるまで外で待つ夢子。
座ってルンルン気分で印刷出口を見つめている。
ルフレはそんな彼女を見て再び幸せな気持ちになっていた。
ルフレ(世界の危機が迫ってるっていうのに、僕はこんなにも幸せでいいのだろうか…。
何だか罰当たりな気もする…)
そしてプリクラが印刷完了になった。
緑色の完了ランプがついて出口にカサッと1枚プリクラが押し出された。
夢子はルンルン気分で出来立てほやほやのプリクラを見る。
しかし、
見た瞬間、
夢子の顔が真っ青になる。
そしてガタガタと震えはじめる。
その様子を見たルフレが心配して夢子に言う。
ルフレ「何だい?あ‥もしかして僕目が半開きだったかい?ごめんね、昔から写真苦手なんだよねー。
やっぱり何度も練習しなきゃ…」
夢子「ち、違う…ねぇ、ルフレ…こ…これって…」
ルフレ「ん…?どうしたの?」
夢子が出来立てのプリクラをルフレに見せた。
するとそこには
笑顔でポーズを決めてる夢子とルフレの背後にアルフレが写っていた。
彼も笑顔なのだがいつもの邪悪な笑み。
しかもフードを被ってるのでどう見ても不審者か亡霊にしか見えない。
と、いうかいつの間に映ったのだろうか、全く気配を感じなかった。
ルフレ「な゙っ」あまりの衝撃につい変な声の出るルフレ。
ルフレ「アイツ…いつの間に…!!」
すると、隣のプリ機のカーテンからアルフレがひょっこりと姿を現した。
アルフレ「どう?上手く撮れてるかい??」
夢子「アルフレ!?!?」
ルフレ「お前…なんで…!!」
思わず悲鳴をあげそうになる夢子達だがここは公共の場。
どうにか小さい悲鳴で押さえることにした。
まあゲーセンなので少しくらい大声出しても周りは誰も気にしないだろうが。
夢子「‥‥最悪…。」
ちょっと泣きそうになる夢子。
そんな夢子の事を気に留めているのか気に留めてないのか
アルフレは上々に話しだす。
【いいね!!】 [ 133/150 ][*prev] [next#]
[mokuji]
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