アルフレ「さぁ、行こう。夜は長いよ。フフフ…。」

無理やりアルフレに手を繋がれる夢子。

夢子「‥‥最悪っ!!」

彼女はアルフレを手を握らない。
一方的にアルフレは夢子の手を引く。
超が付く程ご機嫌そうなアルフレを見て夢子はため息を付く。








【君ってばほんと飛んで火に入る夏の虫って言葉の真逆だね。3】









一方ルフレ達は夢子以外のメンバーは既に合流していた。


ルフレ「夢子…一体何処に…」
リンク「ライン入れました?」
ルフレ「当たり前だよ、でも既読にすらならないんだ…」
ピット「大丈夫かな、夢子。あー、もしかしてルフレの事嫌いになったとか?」
ルフレ「そんなわけない!!」
シュルク「あ、もうすぐ花火打ちあがる時間帯ですね。」
マルス「あああー!!僕夢子と花火見たかったのにィ!!」
アイク「…たこ焼き旨い。でも値段が高すぎた。」
ルフレ「やっぱり僕夢子を探してくるよ。君たちは此処で待ってて?
    折角一等地に場所取り出来たし。」
ピット「じゃあ僕らは此処で待ってるね?早く夢子を見つけて連れてきてあげて!!」



ルフレはその場から駆け出す。
とはいっても浴衣装備なので早く走る事が出来ない。

ルフレ「夢子‥‥一体何処にいるんだい…?!」






話はまた戻り、アルフレに連れられて祭り会場をウロつく夢子。
アルフレに握られてる腕が痛い。

夢子「ねぇ、ちょっと…」
アルフレ「ああ、疲れたかい?じゃあ休憩しよう?」

アルフレは辺りを見回す。
すると、アルコール類の取り扱いをする出店があった。

アルフレはにんまり笑うとその出店に夢子を引っ張る。

夢子「あ、アルフレ!?私達まだ未成年だよ!?」

慌てる夢子を他所に
アルフレは何かを注文した。

そして、彼女に透明な飲み物を渡す。

アルフレ「はい、飲んで?」
夢子「だから…お酒はまだ…」
アルフレ「何言ってるの?」
夢子「え?」


アルフレ「サイダーだよ。」

キョトンとなる夢子。

夢子「…な、なんだ…ちゃんと秩序を守ってくれてるのね。」

夢子はストローでサイダーを飲む。
色々あり過ぎて結構喉が渇いていた。
一生懸命ストローでサイダーを啜る夢子をアルフレは不気味に笑いながら見つめている。

アルフレ「フフフ…。」
夢子「な、何‥‥?ああ、これのお代なら後でちゃんと返s…」

アルフレ「僕も喉乾いたから、それ頂戴?」

夢子「はぁ!?自分のも買えばよかったじゃない!?」
アルフレ「屋台ゲームしすぎて小銭枯渇してるんだよね。
     それに、いいじゃないか。カップルは分かち合うもの、だろ?」
夢子「それは個人の問題でしょ!?っていうかいつカップルになったのよ!?」
アルフレ「違うのかい?」
夢子「違うわよバカ!!」
アルフレ「じゃあ、今からでも遅くないよね。」
夢子「またわけわからない事を…」
アルフレ「今日は暑いし、水分補給しないとね?」

アルフレは夢子からサイダーを奪った。
そしてストローを舐めまわす。
ニヤニヤと笑いながら…

夢子「キッ…!?!?」
アルフレ「フフフ…。あ、そうだ。そこにチョコバナナの屋台あるよ。
     君、チョコバナナ…好きだろ?」
夢子(この流れでハイって言ったら絶対悲惨な目に合う…)
アルフレ「買ってあげるよ?チョコバナナ。」
夢子「要りません。(きっぱり)」
アルフレ「ああ、そういえば僕お金無いんだった。あ!!良い事思いついたよ!!
     買えないならさ、僕のチョコバナナを君に…」

夢子「死んでください。」

アルフレ「フフフ、冗談だよ?こんな公共の場でシないって。君は現実と妄想もわからないのかい?」
夢子「それ、貴方に一番言われたくないんだけど?!」
アルフレ「妄想って楽しいよね。誰にも邪魔されなくてさ。
     でも現実に起こるともっと楽しい。痛いし気持ちいいだろ?快感が僕を刺激して…」
夢子「ルフレどこー!?早く私を見つけてー!?ここに変態がいますー!」
アルフレ「ルフレには渡さない…君たちに赤い糸が結ばれてるのなら僕が全力で引き千切ってあげる。」
夢子(花火、もうすぐ打ち上っちゃう…その前にルフレ見つけなきゃ…)



それから30分ほどアルフレに連れまわされる夢子。
会場はほぼ歩き尽くしたが可笑しなことにルフレ達と全く遭遇しない。

夢子の手を引いて歩くアルフレに彼女は聞いてみた。

夢子「…貴方、ワザとでしょ?」
アルフレ「ん?何がだい?」
夢子「もしかして、ルフレの場所分かってるんじゃないの?」
アルフレ「何でそう思うの?」
夢子「だって、急に止まって道から外れたり方向転換するんだもの。
      …怪しいと思ってたけどやっぱりそうなの?」
アルフレ「じゃあもうタイムリミット近いから教えてあげるよ。
     邪竜の気配っていうのがあるんだよね、僕ら。」
夢子「…。」
アルフレ「もう一人の僕にだって流れている血で、当然僕にも流れてる。
     僕はコントロール出来るからね、邪竜の気配消す事だってできる。
     でももう一人の僕はそれに気が付いてないみたい。」

夢子「そんな…。」
アルフレ「まあ、そんな事どうでもいいでしょ?これから宴が始まるんだ。」


ヒュウウウウーーーーーーーードン!!!


次の瞬間花火が打ちあがった。
1発、2発。

赤や緑、青、黄色の光が夜空を照らす。
夢子は灯りに照らされる。
その灯りの散った方向を夢子が見た。
そこにはルフレが立っていた。
息を切らしてこちらを見てる。
笑顔になるルフレ。

ルフレ「夢子っ!!やっと…見つけた!!」
夢子「…ルフレ!!」

夢子も目を輝かせてルフレの元へ駆け寄ろうとした。
しかし、その腕をアルフレが強く掴む。

夢子「っ!!離して!?約束でしょ!?ルフレはすぐそこにー‥‥」

アルフレ「そうだよ。でもねもう、花火は打ちあがってるから…



     ー・・・Game Overだよ。夢子。」



アルフレは思い切り夢子の抱き寄せると
こちらを見てるルフレに見せつけるように彼女の口を自身の口で塞いだ。


ルフレ「!?!?」


ルフレの目の前で夢子にキスをするアルフレ。

そして夢子の耳元で呟く。

アルフレ「ー・・・今年の夏の最高の思い出になったね、夢子。」




3人とも花火の音など聞こえない。
まるで時間が止まってしまったかのようだった。
花火は無情にも夜空を照らし続ける。




【君ってばほんと飛んで火に入る夏の虫って言葉の真逆だね。】【完】








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