夏祭り会場でルフレ達と逸れてしまった貴女。
不幸はたて続けに起こり、酒に酔った若い男たちに連れていかれてしまった。
彼女は折角の気分を台無しにされて気が立っていた。
連れていかれながら夢子は思う。



夢子(打開策を考えなければ…)






【君ってばほんと飛んで火に入る夏の虫って言葉の真逆だね。2】



男たちが広場だと言う場所に連れてこられた夢子。
どう見ても林の中にある少しだけ開けた場所だった。
奥には祭りの灯りが見えるが、こんな場所に他の人間がいちいち来るはずもなく、
夢子は一本の大きな木の前に立たされた。


男A「おい、本当にここに誰も来ないだろうなぁ?」
男B「祭り会場とは真逆の方向‥‥迷いでもしない限り誰も来ねーよ。」
男C「じゃあ、俺等のやりたい放題ってことだな?」

夢子(また‥‥このパターン…)

男A「オネーサンさっきまでの威勢はどうした?静かになったけど。」
夢子「…貴方達一体何を…此処は祭り会場ですよ?!」
男B「可愛すぎるオネーサンが悪いんだぜ?あんなところに一人でいるしよォ。」
夢子「だから…人とはぐれたんです。だから帰してください。」
男C「はぐれたって、彼氏か何か?」
夢子「そうですよ、彼が今も私を探してます。」
男C「ふーん。じゃあその巾着渡して貰おうか。」
夢子「!!!」
男A「スマホも財布も全てぼっしゅー★」

そう言うと男たちは夢子から所持品を強引に奪った。

夢子「ちょ、何するの止めて!?返して!!」


夢子は抵抗するが、男たちはからかい巾着を奪う。

夢子「返して!返してってば!!」

このコはからかえばからかう程面白い。
男たちはそれに気が付いてしまった。
好きな子に意地悪をする男児的な感情が生まれる。


男A「返してほしいか?」
夢子「当たり前でしょ!?返して!!警察呼びますよ!?」
男B「残念だなぁ、オネーサンのスマホ、今俺等が持ってるし。」
夢子「何でこんな事…」
男C「オネーサンが美人過ぎるのがイケナイんだよ?こんなに色気出してさぁ…」

男Cが夢子に抱き着いてきた。
やっぱり酒臭い。
この人たち酔っ払いだ。

夢子「や、やめて!!あっち行って!!」

夢子は男Cを突き飛ばした。
男は後退りする。

男C「…ッテー、突き飛ばすとかひでぇなぁ??」
男A「お仕置きしないとなぁ?」
男B「いいぞー!やろうぜー!」

夢子「なっ‥‥!!」

男三人が只ならぬ雰囲気で夢子を見た。
この目は今まで何度も見てきた目。
獲物を狩る目、だ。

夢子(ッーーーーーーーーー!!!)

夢子は悲鳴が声にならない悲鳴をあげた、
その時だった。


バンッ!!!

一番夢子に近かった男Cの顔面に何かが思い切りぶつかった。
顔面が一瞬でずぶ濡れになる男。


男C「な、なんだ…!?これは…水風船…!?クソ!誰だこんなもの投げつけてきた餓鬼は…!!」


バンッ!!!
バンッ!!!


すると男Aと男Bの顔面にも水風船が何処からともなく飛んできて割れてずぶ濡れになる。

男A「な、なんだ!?」
男B「イテェ!!」

そう、水風船とは言え剛速球で投げられたそれはとてつもない衝撃を生み出す。

バンッ!!!
バンッ!!!
バンッ!!!
バンッ!!!
バンッ!!!
バンッ!!!
バンッ!!!
バンッ!!!
バンッ!!!
バンッ!!!



林の暗闇の色んな方向から水風船が物凄い勢いを保ち連続で男たちに投げられる。
男たちはびしょ濡れになって悲鳴をあげる。
少しは酔いも醒めたらしい。

男A「くそ、此処から離れるぞ!!」
男B「一体何なんだこれは!?全身が痛ェ…!!」
男C「畜生、もう少しで美女と遊べたのに…!!!」


逃げ去る男たちの背中にも容赦なく水風船が投げられる。
夢子はへろへろとその場にしゃがみ込んだ。
強気で居たもののやはり恐怖でしかなかった。


夢子「一応…助かった…のかな…。」

でも、先ほどの水風船の攻撃、見たことがあった。
あんな剛速球投げられるのは一部の人間だけだ。

夢子「もしかして…ファイター?」

夢子が暗闇を見つめると声が返ってきた。

「君ってば、懲りずにまた絡まれてるの?」

夢子は振り向いた。
そこには黒い浴衣を着てうちわを仰いでるアルフレがいた。
普段なら一番会いたくない存在だが…今の夢子は違った。
アルフレは淡々と喋ろうとしたが…

アルフレ「ほんと君はゴキブリの誘引剤みt…」

ガバッ!!








アルフレ「え」







アルフレが女子に向けて言うべきではないとんでもない言葉を言おうとしたが、
夢子はそんなアルフレに恐怖から解放された勢いで彼に抱き着いてしまった。
震える夢子。やせ我慢してほんとは相当怖かった。
そして…彼女は2秒で後悔する。
今抱き着いたのはあのアルフレだと言う事。
直ぐに過ちに気づいて夢子はアルフレから離れようとした。
しかし…こんな好機、彼が逃すはずなく…


夢子「ち、違う!!間違ったの!!つい反射的に…!!

      …だから!!腰に腕まわすのヤメテ!?!?」

アルフレ「だって、君から来てくれたんじゃないか。好意は受け取らないと、失礼だろ?」
夢子「違う違う!!本当に止めて!!」
アルフレ「ふーん。っていうか今日の君も可愛いね。やっぱ日本人は和装良いね。
     これは虐め涯があるっていうか。…今すぐ縛り上げたいな…ねぇ江戸時代の拷問なんてどう?」

ー・・・変態だ。
折角の夏祭りなのにコイツの頭の中はそれしかない。
まあある意味頭の中は祭りではある。

夢子「兎に角離して!!」
アルフレ「…わかったよ。」

アルフレはあっさり夢子を解放する。

夢子(え、意外と素直?)
アルフレ「但し、条件付きねv」

アルフレは意地悪そうに笑う。

夢子(デスヨネー…)
アルフレ「取引、しよ?君が頷いたら僕が所持品返してあげる。」

アルフレは夢子の巾着を拾い人質(?)を取る。



アルフレ「今日は夏祭りだろ?僕もベレトス姉弟とブラピと4人で来たんだけどさ、
     くーーーーーっっっそつまんなくてさ。
     一応君の家見に行ったら既にもぬけの殻じゃん。
     だから余計つまんなくて。」
夢子「…それが何?またベレト先生たちと合流したらいいじゃない?
      私もルフレと合流するから。はいさようなら。」
アルフレ「そんなバカみたいな事するわけないじゃん!!
     どうせ屋台ゲームに付き合わされるだけだよ。
     カワイイ景品欲しさにベレスのやつ…僕をこき使うつもりだし。」
夢子「もしかしてさっきの水風船攻撃は…」
アルフレ「ああ、あれね。僕がヨーヨー釣りで取ったやつだよ。
     まさか300円でプール全てのヨーヨー釣れるなんてね。チョロすぎでしょ。」
夢子「いや、貴方の方がおかしいのよ…ってか地域の子供が泣く案件では?」
アルフレ「褒めてくれて嬉しいな♪今日は君も僕と一緒に居たいみたいだし。」
夢子「褒めてないし一緒に居たくないんだけど。」
アルフレ「だからさ、今夜は僕とお祭りデートしてよ?」
夢子「はぁ!?」
アルフレ「僕優しいからルール設けても良いよ。そうだなー、この広い祭り会場でルフレ達と遭遇したら
     その時は君をルフレに返してあげる。花火が夜空に上がるまでに。ね。」
夢子「絶対見つける!ルフレだって私を見つけてくれる…!!」
アルフレ「只、あいつ等に1度でも遭遇すること無かったら‥‥わかるよね?」
夢子「え…」



アルフレ「花火打ちあがる時に花火をバッグに僕とキスして?」


夢子「っ!!!貴方正気!?」

アルフレ「僕は何時だって平常心保ってるよ。」



アルフレの頭のネジはいつも外れてる。
夢子は所持品を人質にとられてる以上頷くじかなかった。

アルフレ「良い子だね、それじゃあ僕とデートしようっか?」

アルフレは夢子の頭の撫でた後に腕を無理やり引いた。
そうして彼女は祭り会場に戻ってこれた。





【いいね!!】




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