上映時間も残り3分の1を切った。
物語も段々佳境になっていく。
ホラー度合いも勿論上がっていく。

夢子はずっとアイクにくっ付いていた。
彼女は本気で怖がっていた。
最初はアイクも恐怖を感じていたが
今の状態が幸せ過ぎてリングに感謝していた。

アイク(ありがとうジャパニーズホラー///)




【恐怖を感じても感じ無くともずっと俺の隣にいて構わない。2】
※若干ホラー要素有※映画初代リング本編のネタバレ注意※










シーンは貞子の話になる。

貞子はシズコと言う凄い超能力者の娘だったが、
娘の貞子はもっと凄い力を持っていた。
少し念じたら直接手を下さずとも人を殺せる様なヤバイ力。
しかしひょんな事からとある博士によって頭を殴られ
生きたまま井戸に突き落とされる。
実は突き落とした博士、実は貞子の父らしいが。
そんなこんなで貞子はひとり、暗く冷たい井戸の中で何と30年以上も生き、
丁度呪いVHSの噂が世間に広まる2,3年前に死んでいる。
貞子は怨霊と化し、人々を呪い殺す存在となったのだ。



自身の呪いの解くため。我が子を呪いから救うためににリュウジとレイコは
貞子のいる井戸の場所を特定する。
何とそれは…無情にもあの若者たちの止まったペンションの軒下だった。
固く閉じられている柵をリュウジが壊し、暗い中を探ると
例の井戸があったー・・・





夢子は相変わらず震えながらアイクにしがみ付く。
しかしもう終盤。TVから目が離せない。
怖いけど、続きが気になる。

アイクはというと…
どんどん体温が上がっていった。
さっきまで涼しんでいたのに、今はヤカンの様に身体も顔も熱い。
もうホラーとかどうでも良かった。
今はただずっとこの時間が続いてほしかった。
しかし時間は虚しく過ぎていく。





井戸の中の水をかき出しレイコが貞子の亡骸を探す。
レイコ「何所に居るの…?出てきて…お願い…」
すると、長い毛髪を手で掬いあげ、
その瞬間貞子の物だと思われるドクロが浮かんできた。
レイコは恐怖より貞子の亡骸を見つけられたことで安堵していた。
そして、彼女は優しい顔で貞子のドクロを抱きしめたー・・・・




アイクはふと夢子を顔を見た。
夢子は少し泣いていた。

アイク「…夢子…大丈夫か?」
夢子「いや…凄く怖かったけど…貞子は少しは救われたのかな?って。」
アイク「あの暗い井戸から出れて、少しは…そうだろな。」
夢子「あんな酷い事されたら…私だって怨霊になるよ…貞子って可哀想な女性だったんだね…」
アイク「…そうだな。」
夢子「アイク、心臓バクバクしてるよ?」
アイク「ああ。」
夢子「怖かった?」
アイク「ああ。」
夢子「…ほんと?」
アイク「…ああ。(頼む、映画終わらないでくれ…)」


そして、



映画は衝撃のあの有名なラストシーンに入る。




井戸で貞子の遺体を救い
リュウジは無事自分の家に戻り、机に向かい作業をしている。
しかし、ふと見るとTVは消しているはずなのに勝手に電源が入った。
嫌な音も聞こえる。
それは一度聞いた音。
1週間前に見た呪いのビデオと同じ音だ。
青ざめてゆっくりTVの方へ振り向くリュウジ。
TVには井戸が写っている。
そして、その井戸から白い手が伸び長い髪が映る。
リュウジは悲鳴をあげる

リュウジ「何故だ!?呪いは解いたはず‥‥!?」

恐怖で震えるリュウジ。
井戸から白い服の長い髪の女が出てきた。
そしてこちらへと進んでくる。
後退りするリュウジだが身体が動かない。

等々貞子は画面いっぱいに映る。
その途端、ブラウン管のTVから頭が出てきた。
長い髪が畳に降りる。
貞子は爪の剥がれた手を使って這いつくばいながらリュウジに近づき…

そしてー・・・





夢子「いやああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああっっっ!!!!!」




夢子は絶叫した。
この映画で一番怖いシーンだから当然と言っちゃ当然だが
夢子の驚きようはもう、凄まじかった。
泣きながらアイクに抱き着いたが
その抱き着き方が問題だった。


夢子「あああああああああああああああああああああ!!
      こわいこわいこわいこあいいいいいいい!!
      あああああ!!!」

アイク「ちょ、夢子!?」
夢子「もう無理ホントむりこわいこわいいやああああああああ!!!」


するとその時、
夢子が暗闇にふと視線を移すと
床に這いつくばうロングの髪が見えた。

夢子「ぎゃあああああああああああああ!!いるいるいる!そこに貞子いる!!いやあああああああああ!!」


アイクは青ざめながらゆっくり夢子の指さす方を見る。
するとそこには確か黒髪ロングの白い物体があった。

アイク「いっ‥‥‥!!??」


これにはアイクも悲鳴をあげそうになったが、冷静になりよーくその物体を見た。
すると、その黒い髪から見慣れた白いモコモコの毛が見える。

…わたあめだった。
わたあめが夢子のお洒落用黒髪ウィッグを被っていたのだ。

アイク「わ…わたあめ‥お前…何ていうタイミングでそんな悪戯を…」
わたあめ「くうん?はっは、ワンワン!!」

アイクは貞子の正体がわたあめだと把握したが、
夢子は完全に怯え切っていた。


夢子「いやいやいやいやあああああああああああ!!こわいこわい!!こっち来ないであっち行ってえええええ!!!」

アイク「夢子‥‥!!落ち着け!あれはわたあめd…むがっ‥‥」

アイクの頬が何かに押しつぶされる。
夢子はアイクの上半身にまるでコアラの様に抱き着いている。
アイクの顔はユーカリの樹の幹状態。
そんな彼の顔面押し付けられたのは…






アイク(おっおおおおおっぱ‥‥!?!?///)





そう、夢子のおっぱいだった。


アイクは途端ヤカンなんてものじゃないほどの熱さになる。
もうまさに噴火。活火山だ。
夢子は恐怖心ばかりでアイクの状態など気づいていない。
寧ろずっと胸を顔に押し付けている。
ふたつの巨乳の谷間に顔を挟まれたアイクは…
もうリングの内容など全部吹っ飛んでいた。

そして、彼は物理的にも精神的にも場外へ吹っ飛ばされた。
リスポーンする気配はない。
ストックはゼロを通り越してマイナスだ。



暫くして…夢子は正気に戻る。
TVからは「来る〜きっと来る〜」が流れている。
もうスタッフロールだ。


夢子「あ…終わったんだ…ああああもうほんと怖かった!!
      最後の最後に貞子来るの…成仏してよって思うよね、アイク!!

      ‥‥アイク????」



アイクは‥‥


白目を向いてこの世の者とは思えない形相で気絶していた。
鼻からは大量の血が出て口を開けている。




夢子「ぎゃああああああああああああああ!!
      いやあああああああああああああ!」



夢子が叫んでいると、そのタイミングで外に買い物に行っていた剣士男子達が帰ってきた。

ルフレ「夢子?!どうしたのそんな叫び声あげて!?」
夢子「ああああ!!皆!!アイクが…アイクが貞子の呪いで殺されちゃったああああああ!!!」
リンク「貞子の呪い?…確かにアイクが倒れてますが。」
ピット「なんか、おまるすが夢子の着替え覗いた時みたいな顔で失神してるよ?」
マルス「失敬な!僕はもっと美顔だよ!こんなだらしなくない!!」
ピット「…白目剥いて鼻血だしてるんだよー?…あっ(察し)」
シュルク「夢子さん、アイクに何かしました?」
夢子「えええ!?私!?えっと…一緒にリング見てて…気づいたら終わって…アイクが倒れてて。」


アイクは以前気絶している。
まだストックが回復しない様だ。
でも、こんな屈強な男が鼻血を吹き出し失神するなど
考えられる原因は夢子にあるとしか思えない。


ルフレ「夢子‥‥君は多分無意識にやばい事してるよ。」
夢子「何で!?あ、でも…上映中アイクにずっとしがみ付いちゃったから
      暑さでバテちゃった?今日暑いし…貞子の呪いじゃないのかも?
      そしたら私のせいだね…ごめんね、アイク…もっと一緒に居られると思ったのに。」
リンク「いや、アイクは生きてますよ?」
マルス「アイク、君が僕のケーキ盗み食いした事一生忘れないよ…死んでも許さないから…。」
リンク「いや、だから生きてるって。」




その後、アイクはベレスに診てもらい極度の興奮と出血多量の貧血で失神したのだと診断が出た。
あのアイクが1日中失神していたのだ。
次の日目が覚めると剣士男子たちの殺意に気が付く。
アイクは夢子のおっぱい事件の記憶を飛ばしていた。
都合が良い。でもアイク本人はなんだか満たされた気持ちだった。
そりゃ夢子のおっぱいに顔挟まれたらな。



アイク「なあ…昨日は何があった?全然記憶が無いんだが。」
夢子「大変だったんだよ?アイク映画見てる途中で意識失って。ね?」
ルフレ「…きっとろくでもないよ。」
アイク「???」
夢子「アイク、大丈夫?本当に呪い掛かってない?」



夢子も天然だから困る。
結局何があったのか、全員分からない。
唯一真相を知っているのは悪戯好きのわたあめだけなのかもしれない。



わたあめ「わんわん♪」




【恐怖を感じても感じ無くともずっと俺の隣にいて構わない。】【完】






【いいね!!】



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