「うーんしょ!どっこいしょっ!!」


朝早くからベランダで何やら作業を始めた人影がひとつ。
大きな重たそうな袋を移動させたりして何かをしている。







【アツアツ炎で火の用心!!触れたら火傷じゃ済まされない??1】






夢子「ピット君おはよ!…こんな朝早くから何してるの?」

人影の正体はピットだった。
彼は額に汗を流しながら答える。


ピット「あ、おはよー夢子!!今ね、また花を植える準備してるんだ!
    前にアパートで育ててたマリーゴールドは押し花にしちゃったから
    新しい花植えようと思って…!」
夢子「そういえばそうだったね!あの押し花のしおり今でも愛用してるよー!」
ピット「えへへ…嬉しいな!何だか夢子の役に立てて!」
夢子「大げさだよ〜!で‥‥今回は何を植えるの?」
ピット「何だと思う!?当ててみてー?」
夢子「うーん…薔薇の花とか?」
ピット「ブー」
夢子「百合の花?」
ピット「ブブー」
夢子「うーん…ひまわりの花?…わかんない…降参!!」
ピット「正解はね…これ!!」


ピットは懐からとあるアイテムを取り出した。
それは昔からスマブラに存在するアイテムで
マリオ好きゲーマーなら誰でも分かるアレだった。


夢子「ふぁ…ファイアフラワー!?!?」

ピットはニシシと笑う。

夢子「え…でもいいの?幾ら花…(?)って言っても…これはアイテムだし危なくない?」
ピット「これから大きな戦いに巻き込まれるかもだから…左手組がアイテム乱用するならば
    僕らも用心しないとだし。このくらいはマスターも許容範囲だよ。」
夢子「…なるほど、武器を育てるのね…でも、育つかな?ここ日本だし普通の土じゃ駄目な気もするけど。」


そう、ファイアフラワーは本来ならマリオの叩いたブロックから出るようなアイテムだ。
普通の土から育つとは到底思えない。
でも、不可能を可能にしようとしてるのがピットだ。
ここで知能が回る。

ピット「実はこの土も、特殊なルートで取り寄せたんだ!!特別なやつなんだよ!!」
夢子「そうなの?見た感じ普通の土に見えるけど。」
ピット「ふふふー♪だからね、今回は成功させるよ!!
    ファイアフラワーを大量に栽培して、いつか夢子がピンチになった時
    思いっきり役に立てるように、ね!!」
夢子「ピット君…!(うるうる)」
ピット「でも、一番良いのは…使う様な場面が現れない事、だけどね。平和が一番だよ。」
夢子「…そうだね。」

ピットは青空を見る。
瞳には白い雲が映る。

ピット「僕、日本に来てから常々思うんだ。…自分たちの世界も素晴らしいと思うけど
    ここはもっと美しい世界だなって。」
夢子「…帰りたいって思わない?」
ピット「全然!!寧ろこの世界にずっと居たい!夢子ともずーっと一緒に居たい!!」
夢子「私…色々思う事あるんだ。私という存在があるから
      この世界にまで巻き込んじゃったんだって。」
ピット「夢子…?」
夢子「…たまに、突然苦しくなっちゃう事、あるんだよね。」
ピット「うーん…そういう時はいつでも僕の事呼んでいいからね!?沢山話し相手になってあげるから!!
    ほら…僕って勉強できても一般常識欠けてる部分あるから…至らない所も沢山あるけど‥‥
    夢子の話し相手になら沢山なってあげれるから!!」
夢子「ありがとうピット君…!!」
ピット「えへへ〜‥‥///」



「何が《えへへ〜‥‥///》だ。朝から鼻の下伸ばして気持ち悪っ。」




ピット&夢子「「えっ!?」」

突然の自分たち以外の声に驚く。
ホコリが入らないようベランダは窓を閉めて作業してたので家の中の男子達の声ではなかった。

夢子「だ、誰!?」
ピット「…この声は…僕のよーく知ってるあの声だ…。

    ブラピでしょ?隠れてないで出てきなよ?!」

ピットがベランダの柵に向かって言い放つ。
すると柵からひょっこりとブラピの顔が出た。

ブラピ「よぅ、クソ天使にブス。」

ピット「お前…ほんと何処からでも湧くよねー…ってかこんな朝早くから何してんの…」
夢子「ツッコミ所そこなの!?此処は50階のベランダだよ!?どうやって此処まで…!?」
ピット「まあ、この人も一応天使だから。…羽消えてる現在どうやってここまで来たか知らないけど。」
ブラピ「ふっふっふ、俺様に不可能はない!」
夢子「‥‥まあアルフレも似たような存在だし…普通の人よりは驚かないね…」
ブラピ「で、お前ら何やってんの?土弄り??呑気なこった。」
夢子「…ブラピに話してもいいのかな?」
ピット「まあ、一応僕らサイドだから…味方だし別にいいんじゃないかな。」


夢子はブラピにファイアフラワーを植えている理由を告げた。


ブラピ「ふーん。何だ、お前らもそれなりに事の重大さを理解してんだな。」
夢子「私だって何もしないわけにはいかないでしょ?」
ブラピ「で…そのファイアフラワーちゃんと育つんだろな?」
ピット「当たり前だろ!!絶対栽培成功させる!!」
ブラピ「まぁ、頑張れ。」
夢子「手伝ってくれないの?わざわざここまで来たのに?!」
ブラピ「だってめんどくせーもん。」
ピット「夢子、ブラピに手伝わせたら却って時間かかるよ。」
夢子「え、なんで…?人数は多い方が良いんじゃない?」

ピットは言う。

ピット「ブラピ…超が付く程手先が不器用だから。」

夢子「‥‥ああ、なるほど。」
ブラピ「なっ!!///」
ピット「だから夢子、僕らふたりで楽し〜くファイアフラワー植えよ♪」
夢子「…そうだね、苦手な人に無理やりさせるのもあれだしね。」


ブラピ「お、お前ら…俺を何だと思ってる!?天界イチのガーデナーのブラピ様だぞ!?」


夢子「…そうなの?」
ピット「初めて聞いた★」
ブラピ「俺はパルテナの趣味で植えてるわけわからん草の手入れだって頼まれる程だぞ!?」
ピット「あーあれね。僕もしたことあるよ。っていうかイカロス達もやってる仕事だし。」
ブラピ「ナチュレの愛玩してる一番高い樹だって剪定して…!!」
ピット「飛べるから利用されてるだけだと思うけど。」

夢子がブラピの顔をチラリと見た。
どうやら先ほどの不器用という言葉で相当傷ついたらしい。
ブラピはちょっと半べそかいている。
夢子は苦笑いする。
そして尋ねてみた。

夢子「ブラピ…貴方も植えてみる?」

見かねた夢子はブラピに声を掛けた。
するとブラピはすぐ上機嫌になってピットからスコップを奪った。

ブラピ「ほーら、やはり俺の手もいるだろ?ふっふっふ、今日は特別に手伝ってやる!!お前ら感謝しろ!!」

ピット「いきなり来ていきなり怒っていきなりイジけていきなり威張って‥‥いそがしーヤツ。」
夢子「あはは…。」


こうしてでこぼこな天使二人と夢子の作業が始まった。




【いいね!!】


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