夢子「アルフレ!!ねえ起きてよ!?…わ、私のせいで…!?そんな…」

予想外の事態にパニックを起こす夢子。
アルフレは微動だにしない。



【こんな不愉快なモノ、この世に存在してはいけないと思うんだけど。4】











夢子はスマホを取り出す。
そしてとりあえずベレスに電話をした。
頼れるのは天才医師。


夢子「も、もしもし!!ベレス先生!?アルフレが…アルフレが大変な事に…!!」
ベレス《夢子ちゃん!?どうしたの…落ち着いて…!!》


夢子はベレスに簡潔に事情を話した。
そしてアルフレを公園のベンチで休ませてベレトとベレスが迎えに来るのを待つことになった。

夢子は意識が朦朧としたアルフレを肩で支えてベンチまで運んだ。
ベンチは固い木製。そのまま病人を直で寝かす訳にもいかなく…


夢子(仕方がない…状況が状況だもの。)

夢子はアルフレに膝枕をしてあげた。
アルフレの呼吸が少し落ち着いた気がした。
本来なら一番したくないことだが、今回の件は責任を感じていた夢子。
太ももの上のアルフレをじっと見る。

アルフレが薄っすら目を開けた。
赤い瞳に夢子が写る。



アルフレ「あれ…僕、死んだの?」
夢子「は?生きてるに決まってるじゃない…。」
アルフレ「じゃあ何で君が僕に膝枕してるの?…此処が天国じゃない限りあり得ないでしょ?」
夢子「‥‥現実です。」
アルフレ「…そっか。やっと僕の想い‥‥通じたんだね…フフフ。」
夢子「それはない。」
アルフレ「君が優しくしてくれるなんて…そうか…これが愛ってやつだね。」
夢子「愛とかなわけないから。勘違いしないで?」
アルフレ「相思相愛がこんなにも幸せだなんて…ルフレはこういう気持ちだったんだね…」
夢子「私は別に貴方の事なんか‥‥」
アルフレ「ああ、口に残った酸味が甘みに変わる‥」
夢子(駄目だ、この人何言っても駄目な奴だ)
アルフレ「君にずっとこうしてもらいたいよ…でも、邪竜の血が許してくれない…
     僕はギムレーになる運命なんだから。」
夢子「…ゲームの世界では、でしょ。此処日本だから。」
アルフレ「じゃあ…僕は…自分の運命に抗ってもいい?」
夢子「別にいいんじゃない?貴方の人生でしょ。」
アルフレ「そっか…そっか…フフフ…」


アルフレは目を閉じた。
そして静かに寝息を立てはじめる。
夢子はじっとその場に座っていた。


夢子「…本当はアルフレって素直な人かもしれない?まあ、今までも欲望には従順だけど。」

アルフレは綺麗な顔をして眠っていた。

夢子「ルフレの半身だもんね…素はルフレと一緒なのかな。」

何がこの人を此処まで狂わせたのだろうか。

夢子はルフレやアルフレの素性をあまりよく知ってはいない。
聞くのも気まずいだろうと思っていたから。
でも以前何かの拍子でクロムから少し聞いていた。
ルフレとアルフレの父親は重症な程の邪神ギムレー信者で
素質のある彼等を器にギムレーを復活させようとしていたと言う事。
そして物語の最後にアルフレがギムレーになりラスボスとして君臨すること。
結局復活した邪神はルフレとクロムが倒すのだが…


夢子「…何だかなぁ。」



彼等を取り巻く環境のせいか。
そうなる運命だったのか。
以前幻双国にはいったがFEの世界にはまだ行った事がない夢子。
あちらの世界では信頼や裏切りが運命を変えるという。


夢子「急に…ルフレに会いたくなってきちゃった。」


過酷な環境で生きてきた彼等を癒せる存在になりたい。
彼女はそんな事を思っていた。
今いるこの日本の環境なら皆を幸せに出来るのではないか?






15分ほど経過した。
アルフレは相変わらず目覚めない。
ベレトが自慢の愛車を運転して公園にきた。
直ぐにベレスがアルフレの脈と熱を測る。


ベレス「…うん、大分落ち着いてるわね。家に帰って安静にしたら大丈夫よ。」
夢子「二人とも、忙しいのにありがとうございます…」
ベレス「気にしないで!丁度ご飯作ったところだったから。」
ベレト「すぐ連絡してくれてよかった。…アルフレを家に連れて帰るか。」

ベレトが夢子の太ももの上で眠るアルフレの身体を抱えようとする。
するとアルフレが彼女の太ももにしがみ付いた。

夢子「な゙。///」

因みに…質が悪い事にアルフレは無意識でやってる。
ベレトの眉間にシワが寄って一瞬髪の色が変わった‥‥気がした。

ベレスがベレトを落ち着かせる。

ベレス「アルフレちゃんよっぽど夢子ちゃんの太ももが居心地良いのねー。
    その気持ちわかるわ〜夢子ちゃん柔らかくてぷにぷにしてるし。
    ほら、ベレトも車動かす準備して。」
ベレト「っ(舌打ち)」
夢子「アルフレ…本当に寝てるの?」
アルフレ「・・・。」
夢子「…ほんとは起きてない?」
アルフレ「・・・。」


起きてるのか起きてないのか、この時本人以外は誰もわからないー・・・


ベレトとベレスのふたりが迎えに来たと言うことと
同じタワマンに住んでるという事から夢子は離れないアルフレをくっつけて
そのまま家に帰る事になった。
駐車場についてからは流石にベレトがキレてアルフレを無理やり夢子から引き剥がした。
そしてそのまま担がれて最上階に連れていかれた。

夢子は帰り際にベレスに聞いた。


夢子「ベレス先生…アルフレの事なんですが。」
ベレス「ん?ああ…梅干しの事ね。あれは…あまり良くない行動だったかも。」
夢子「やっぱり…?」

ベレス「あの子ね、梅干しアレルギーなの。アレルギーって発作起こすと場合によっては
    アナフィラキシーっていうショック反応が出るのよ。
    アルフレちゃんの場合病み上がりもあったしショック反応も出てあんな感じになったのよ。」
夢子「…私は…人を殺す寸前だった…人殺しだわ…」
ベレス「軽度のショック反応だから大丈夫よ。あの子元々抗体強い方だし。今回の場合命を落とすほどでもないわ。」
夢子「そうなんですか?」
ベレス「彼は現に1週間以上かかるヤバイコロナも3日で完治させてたから。」
夢子「…あれ本当の話だったんだ…」
ベレス「夢子ちゃんの事色々聞いてるわ。アルフレちゃんに虐められてたのでしょ?
    たまには反撃したくなるのもわかるわよ。」
夢子「・・・。」
ベレス「まあ、学校で困ったときは私やベレトに直ぐチクってくれて構わないんだから!直ぐに成敗してあげる!」
夢子「はい…。」





その後、アルフレは再び3日ほどで復活した。
あの日以来夢子はアルフレから受ける嫌がらせが少し減ったらしい。
ほんの、少しだけ、だが…
でも確実にアルフレが夢子に対する反応が変わってきた。
最近は夢子をルフレから引き剥がす事に力が入ってきてる。
やり方は相変わらずサイコパスで汚いが
そこにプラスでヤンデレも交じってある意味前より厄介になったかもしれない。


結局夢子は苦労人だ。





【こんな不愉快なモノ、この世に存在してはいけないと思うんだけど。】【完】


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