《対アルフレ復讐計画》ー・・・

それは普段彼に酷い嫌がらせを受けている夢子が考えた作戦。
彼女は密かに作戦を練っていた。

そして今日、それが実行されることになるのだが…





【こんな不愉快なモノ、この世に存在してはいけないと思うんだけど。2】






とある日の放課後。
夢子はひとり歩いて家へ帰宅しようとしていた。
実はというと《対アルフレ復讐計画》を企ててその準備は万全ではあった。
しかし、



準備が整った途端、アルフレからの嫌がらせが止まったのだ。
あれから数日、いつも嫌な程受けていた嫌がらせが一切無くなったのだ。


夢子(もしかして…計画がバレた?)


夢子はそう思っていた。
彼女は自分から戦ったり攻撃を仕掛けるのは得意でない。
でもこのまま彼が何も仕掛けてこないのなら、それはそれでこの状態を維持できばと思った。



その日彼女はひとりで帰宅していたが
ここ数日、学校と家以外は一人で行動するようにしていたのだ。
それはアルフレに遭遇しやすい状態を作る為。
夢子はその環境を作っていた


でも、アルフレは音沙汰無い。


夢子(可笑しいな…やっぱり私ひとりの時間作ってるのが逆に怪しまれたのかな?)

夢子は小石を蹴りながら歩く。

夢子(でも、このまま何もなかったら一番良いんだけどな。)

空を見上げる夢子。
夕暮れ時オレンジ色
の空に消えかかった雲
そんな空を舞うカラス。


夢子(…カラス…?なんか…変な感じが…)


夢子は様子が可笑しい事に気が付いた。
何故か夢子の居る一帯の上空に大量のカラスが飛んでいる。
推定200匹ほどいる。

夢子(ナニナニ‥‥!?何か不気味なんだけど!?)

そのカラス達は近所の公園に向かって飛んでいる様だった。
夢子は様子が気になりその公園の中を見た。
塀越しに公園を覗く夢子。

そこには大量のカラスが砂場で地面を突いていた。

夢子(何あれ…)

カラスは何か食べている様だった。
不気味な光景にドン引きする夢子。
公園なのに人間の子供処か人を寄せ付けないオーラ。

夢子「…110番した方が良いかな?でもこれって警察でいいのかな?違う気もするけど…」
アルフレ「君、ここで何してるの??」
夢子「何って…カラスがあんなに…

        って‥ア、ア、アルフレ!?!?」

公園を覗いていた夢子の背後にいつの間にか復讐対象のアルフレが立っていた。
いつもの通りサイレントに夢子に近づいてくる。
突然の出来事と目の前の出来事に驚いてキョドる夢子。

夢子「なな、!?なんでここに居るの!?」
アルフレ「それ、僕が君に聞いてるんだけど。」
夢子「いや…カラスが沢山集まってるから気になって…」
アルフレ「ふーん。」
夢子「…もしかして貴方の仕業!?」
アルフレ「へぇ、勘が鋭いね。」
夢子「貴方カラスで何をしてるの?!」
アルフレ「何って…

     餌あげてただけだけど?」

夢子「ハァ!?」

驚く夢子にアルフレは徐にレジ袋を取り出して夢子に見せた。
中に赤黒い何かが入っている。

夢子「なにこれ…?」
アルフレ「このコ達の餌だよ。」

その袋に入ってる物体は普通の餌のようには見えなかった。
多分、何かの生肉だろう。
この男、控えめに言ってもやっぱりヤバイ。


アルフレ「君もあげてみる?直ぐ仲良くなれるよ、」
夢子「結構です。」
アルフレ「…そう?」
夢子「っていうか普通に近所迷惑だし、野生動物に餌付けは良くないと思うんだけど。
        スズメや鳩ですら嫌う人が多いのに…カラスとか…貴方頭おかしいんじゃないの?」
アルフレ「カラスはフォルムもカッコいいし頭だって良いんだよ?…何故彼らに餌あげたらダメなの?」
夢子「日本ではね、カラスは生ごみとかも漁るし光物盗んだり…時にはペットを襲ったり小さい子供も襲うんだよ?!
        社会的問題なの。害獣の一種。‥‥貴方普段授業サボってばかりだから頭に知識いってないのね。
        もう少し勉強したら?真面目にね。」
アルフレ「まあ、僕最近学校ずっと休んでたからね。」
夢子「…そうなの?だからずっと気配が無かったのね?」


アルフレ「…君…」
夢子「何?」


アルフレ「そんなに僕の存在気にしてたの?」

夢子(ヤバい!!)


アルフレ「フフフ、僕が居なくて、僕に悪戯されなくてとても寂しかったとか?可愛いねー?」
夢子「ち、違う!!そんなの100歩譲ってもあり得ないから!?」
アルフレ「ムキになるところが怪しいなー。そうだ、僕が何で学校休んでたか…知りたい?」
夢子「興味ない。」
アルフレ「そう?じゃあ教えてあげる。」
夢子(興味ないって言ってるのに…)

アルフレ「僕ねー、実は風邪引いてたんだ。」

夢子「は…?」


意外な答えに驚く夢子。
アルフレが風邪?
そもそもこの人に菌が移るのだろうか?逆に菌が死滅しそうだが。

アルフレ「…今心の中で僕の事、馬鹿にしたでしょ?」
夢子「し、してないわよ。」
アルフレ「びっくりしたよ。まさかこの僕が菌に負けるだなんて。」
夢子「…それって普通の風邪?」
アルフレ「ベレスは非常に特殊なコロナって言ってたけど。」
夢子「って、ヤバイ奴じゃない…!?」
アルフレ「まあ僕自身3日くらいで元気になったけどずっと隔離されててさ。結局1週間以上休んじゃったよ。」
夢子「貴方…本当に完治したの?…あまり私に近寄らないでくれる?」
アルフレ「酷いなぁ。僕はもう至って普通の健康児だよ?
     ー・・・何なら試してみる??」
夢子「は?」


アルフレ「僕が今此処で君にキスして、君が潜伏期間を無事クリアしたら僕の意見が正しいって証明できるでしょ?」


夢子「ッ…!?意味わかんないから!?///」
アルフレ「確か、2日から1週間くらいだったっけ。その間に発病したら君の意見が正しいという証明をー・・・」

夢子「しないから!!絶対!!馬鹿じゃないの!?貴方やっぱり頭おかしいわよ!!」
アルフレ「フフフ、病み上がりに、しかも君に、カラスに祝福されて…素敵な時間だと思わない?
     ああ、でもカラス達山に帰っちゃってるね。…もう夜かー…。大分暗くなってきたね?」


何かをやる気満々なアルフレから一歩二歩と引き下がる夢子。
路上の電灯かチカチカと音を鳴らし付き始めた。


そこで忘れていた計画の事を思い出した。



夢子(あ、そうだ…コイツに復讐するの、今がチャンスじゃない!?)



そう、《対アルフレ復讐計画》の実行は明らかに今しかなかった。
アルフレは不気味な笑みを浮かべてジリジリと間合いを近づける。


夢子は此処から演技をすることにした。



全てはアルフレを黙らせ屈服させるためー・・・。





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