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夢子「注射嫌だァーーー!!!」
朝。
学校の教室の中で夢子が叫ぶ。
そう、今日は集団予防接種の日。
要は…夢子の大・大・大嫌いな注射をされる日だ。
【鬼ごっこしましょ。かくれんぼしましょ。睨めっこしましょ。…逃げきれたらいいね。1】
沙羅「ちょっと、夢子…アンタしっかりしなさいよ?」
夢子「だって嫌な物は嫌なの!!」
沙羅「もう高校生なのよ?痛み何て一瞬だけでしょ。もう少し落ち着きなさい?」
夢子「ううーだってー…」
ルフレ「日本では予防接種ってあるんだね?」
夢子「そうだよ?ほんと最悪‥‥」
リンク「夢子さんはやっておいたほうがいいかかと。」
夢子「リンク!?何でそんな事いうの!!??」
リンク「だって…夢子さん誰よりもか弱いから。」
ピット「んー確かにそうかも?」
マルス「まあ女性はか弱いくらいが丁度良いんだけどね!」
アイク「俺も注射は苦手だ…針が折れるんだ(?)」
シュルク「夢子さん、割と風邪とか引きやすいみたいですからね。
…今日は頑張りましょう?」
夢子「やだやだやだ!!絶対イヤ!!!」
夢子が涙目になっていると、朝のチャイムが鳴り朝礼が始まった。
ベレトが予防接種の日程を軽く説明する。
ベレト「えー…皆知ってるとは思うが、今日は集団予防接種の日だ。
1限目から男女共に体育館の小ホールで各自接種を行う。
注射が苦手な奴もいるだろうが…まあここは耐えてくれ。
幾ら何でも高校生になってまで暴れる奴は居ないと思うが…
もし暴れた場合は強硬手段を取る。
予防というものはとても大事だ。自身を守るのと同時に周りも守れる。
ある意味人助けでもあるんだ。だから今日は頑張ってくれ。以上。」
ベレトが朝礼を終えて教室から出て行った。
すると青ざめる者や盛り上がる者が出てくる。
女子A「ベレト先生の言う強硬手段って何だろう…///」
女子B「私わざと暴れちゃおうかな?///」
男子A「ああああ俺注射嫌だあああー!!」
男子B「注射はベレス先生が打つらしい。」
男子A「マジか、俺やっぱ頑張る!!デュフフフ…w///」
夢子「…なんでみんなこんな単純なの?!あり得ないんですけど…!?注射だよ!?腕に針刺すんだよ!?」
誰よりも青ざめてる夢子。
でももう術はないのだろうか。
暴れるしかない?
大人げない。
でも注射は嫌い。
夢子は覚悟を決めた。
注射を打たれる覚悟?
いいえ。
それは
《逃走》の覚悟だ。
夢子は大人げない行動を実践することにした。
1限目が始まった。
各自生徒手帳を提出して身分確認をする。
男子と女子、それぞれ1列に並ぶ。
その列に夢子の姿は‥‥無かった。
沙羅「あれ?夢子…どこ行ったの?」
何となく後方に並んでるはずの夢子の姿が見えないことに沙羅が気づいた。
その間も列は進んでいく。
沙羅も自分の順番が来るのでしぶしぶ夢子の姿を探すのを諦めた。
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一方その問題の夢子はというと…
校内を走っていた。
1限目は既に始まっているので廊下にも他の生徒の姿はない。
すると後ろからベレトの声が聞こえてくる。
ベレト「夢子!!!そこで何してる!?」
夢子「ヒイイイ、もうバレた!?早く逃げないと…まあ先生とは距離が大分あるし
あの人ファイターの中で大分脚遅かったはずだから余裕が…って‥‥えええ!!??」
夢子は余裕を持ったつもりだろうが、ベレトは物凄い勢いでこちらに突進して来る。
夢子「ヒイ!?早っ!?なんで!?マルスくらい早くなってない!?
ウサギずきん着けた!?いや、でもこっちの世界では使えないはず…?」
ベレト「…強硬手段、とっても良いんだな??」夢子「やだやだ注射嫌い!!!」
ベレト「ほう…この俺と鬼ごっこしたいのか?良い度胸だ。」夢子「違います!!断じて違います!!」
ベレト「では捕まったら捕まえた方の言う事何でも聞くって言うルールでいいな…???」夢子《話がズレてる上に妙な方向に進んでる!!ってか先生の目がヤバイ!!何かマジだよこの人!!
こ…こうなったら絶対捕まらないでこの1限目、逃げ切ってやる!!》
夢子は懸命に逃げた。
兎に角まずはこの教師を撒かなければ…
夢子は咄嗟に空を指さし発言する。
それはよくある騙し文句。
夢子「あっ!!UFO!!」
今時こんな事で騙せるオトナなど…
ー…ここにいた。
ベレトが一瞬目を逸らす。
…夢子の周りの男は何故皆こうも抜けているのだろうか。
今回はそのおかげで夢子に勝算が付く。
夢子(よっしゃ、今のうちに何処かに隠れてやり過ごそう!!)
夢子はその一瞬の隙に開いている美術室に忍び込んだ。
辺りを見回す夢子。
そして大きなロッカーが目に入ってきた。
そこは美術画材や道具などを入れるためのロッカー。
大き目で人も3人くらい入れるくらい余裕がありそうだ。
夢子(迷ってる暇はない!!この中に入ろ!!)
夢子はロッカーの中に入った。
息を殺す夢子。
ロッカーの少しだけ開いた通気口から息を殺し外の様子を見る。
教室の窓ガラスから廊下を物凄い勢いで走り去るベレトが見えた。
彼の足音が消えていく。
夢子「よ…良かった、暫く此処に隠れていようっと。
この1限目さえ乗り越えれば注射なんて…」
「注射が…なんだって??」
夢子「え?だ、誰!?」
なんと
ロッカーの中にもうひとり住民が居た。
暗闇の中に赤い目が光った。
ー・・・アルフレだ。
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