2
この男…背中に毛虫入れやがった。
今時小学生でもしない悪戯だ。
それでも夢子には嫌がらせとしては効果抜群だった。
夢子「イヤアアアアアア!!!」
夢子の悲鳴が辺りに響く。
【君、モコモコした生き物好きでしょ。折角だからプレゼントしてあげる。2】
夢子はひとりパニックを起こしてる。
じたばたと動きまわる。
すると毛虫が余計背中の奥に入って行く感覚に襲われた。
夢子「ヤダヤダヤダ!!アルフレ!!早く取ってよッ!??!
大きな声でアルフレに声を掛けるが一方のアルフレは
少し離れたところから柵にもたれ掛かりニヤニヤとこちらを見ていた。
アルフレ「…君が僕に《私に近づくな!》って言ったんだろ?…僕は約束を守ってるだけだよ。」
夢子「何言ってるの!?それでも今まで普通に近づいてたじゃない!?そもそも毛虫入れた時だって…!!」夢子が喚いても何も動じないアルフレ。
アルフレ「あ、クローバー見っけ。」
夢子「ちょっと!!私の話聞いてる!?あああヤダヤダ!!早く取ってってば!?」アルフレ「君の義眼様なクローバー見つけてあげるよ。幸せが訪れるように…なーんてね?」
支離滅裂だ。全く話が噛み合わない。
そして暴れれば暴れるほど毛虫は奥深くに落ちていく。
夢子は等々崩れて泣いてしまった。
夢子「ううう…早く取ってってば‥‥。」
アルフレは漸く動く。
彼女の元に駆け寄ると、こういった。
アルフレ「じゃあ取ってあげるから今日僕の家に泊まりに来て?」
夢子「はぁ!?何言って…」
アルフレ「君が承諾してくれるまで毛虫、取ってあげないから。」
夢子(コイツ最低!!!)
夢子はもう背中の中の不快感に耐えられずつい言ってしまった。
夢子「わかったから早く取って!!」
その言葉を待ちわびていたアルフレ。
にんまりと笑うと夢子に近づき
彼女のジャージの上着を勢いよく捲った。
バッ・・!!
夢子「ちょ!?///」アルフレ「取ってあげるから静かにして?」
夢子(普通女子の上着ためらいもなく捲るか普通!!///)
しばらくしてアルフレが夢子の上着を下ろした。
夢子「ねえ、肌腫れたりしてなかった…?」
アルフレ「…君、そんなに僕に背中見てほしかったの?…スケベだなぁ。」
夢子「違う!!ほんっと馬鹿じゃないの!?…毛虫は?ちゃんと取った!?」
アルフレは言う。
その言葉を聞いて夢子はある意味絶望した。
アルフレ「ん?毛虫何て最初から入れてないけど?」
夢子「はぁ!?!?どういう事!?」
アルフレ「僕が君に嘘ついてちょっぴり悪戯したかっただけ。入れたのはこの
クローバーだよ。フフフ。」
夢子「何てことを…(青ざめ)」
アルフレ「君さー、モコモコした生き物好きでしょ?だから贈り物したかったんだ。
最初は本当にモコモコした毛虫捕まえて背中に入れようと思ってたけど、
僕は賢い選択を思いついたから。つい、ね。」
夢子「まさか…泊りに来る条件を取り繕うために嘘をついた‥‥?」
アルフレ「正解v僕も軍師だしこのくらいの策は練らないとねぇ?」
最悪だ。全てがアルフレの思うツボになってしまった。
夢子はしゃがみ込む。
そして顔を伏せて再び泣き始めた。
夢子「ううっ…酷いよ…」
アルフレは高揚している。
そして彼女に近づき頭を撫でる。
アルフレ「よしよし、ごめんね?君の嫌がる顔が見たくてつい調子に乗っちゃった。」
夢子「…やめて‥‥貴方なんか大嫌い…。あっち行って…。」
アルフレ「君のその顔が溜まらなく好きなんだ‥君って最初は強気で芯があるけどそれを折った時のあの絶望の顔が…フフフ。」
夢子「変態…!馬鹿!サイコパス!!」
アルフレ「…?男は皆そうだよ?」
アルフレは夢子の頭を撫で続ける。
そして夢子の耳元で囁いた。
アルフレ「約束…守ってよ?お詫びに今夜は沢山癒してあげるから。」
夢子《ゾクッ・・・!!!》
するとそこに職員室に言っていたベレトが帰ってきた。
怯えてる夢子からそっと離れるアルフレ。
最後に頭をポンポンとした。
夢子「‥‥。」
夢子は再び絶望していた。
そもそもあれは約束の内に入るのだろうか。
目の前アルフレがベレトに言った。
アルフレ「せんせー、今日夢子が僕たちの家に泊まりに来るって。」
ベレト「…!?何だと!?」
夢子「ちが…先生…誤解です…私はー…」
夢子はベレトが怒るだろうと思っていたが予想外の結果になる。
ベレト「今日は姉さんにすき焼き作ってもらおう。」
アルフレ「いいねー☆僕あの日本食大好きだよ。霜降りの和牛がいいなー。」
夢子「え‥。あの…ちょっと…え?えええ?!」
話がトントン拍子に進んでしまった。彼等には都合のいい話にしかならなかった。
今夜、夢子はどうなるのだろうかー‥‥
【君、モコモコした生き物好きでしょ。折角だからプレゼントしてあげる。だからさあ笑って見せて。】【完】
【いいね!!】目次[ 105/150 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]