今日は校内でクリーン大作戦がある。
要は、学校中のゴミや汚れを取る
定期的に行われる行事。


夢子「よーし頑張るぞー!!」


ジャージを着て張り切る夢子を横に
剣士男子達は乗り気ではない顔をしている。





【君、モコモコした生き物好きでしょ。折角だからプレゼントしてあげる。1】










ルフレ「ゴミ拾いかぁ…」

何だか乗り気の無いルフレ。
他の剣士男子もそうだった。


夢子「掃除、嫌?」
ルフレ「掃除って言っても男子は力仕事させられるんだろ?
    …僕は力仕事が苦手なんだよね…そういうのいつもクロムに任せてたし。」
リンク「非常にめんどくさい…ゲーム内の道具使えれば一瞬で終わるんですが。」
ピット「窓ふき??僕がんばるよー!!」
マルス「僕は窓なんかより自分を磨きたいんだけど。」
アイク「あー…早く昼飯食いたい。さっきから腹が鳴ってる。」
シュルク「まあまあ、年に1度の行事ですしがんばりましょ。」

夢子「うーん何所掃除しようかなぁ?やっぱり自分たちの教室からかな??」

するとそこに同じくジャージ装備のベレトがやってきた。
隣にあのサボリ王のアルフレもいる。


ベレト「夢子、お前は俺たちと学校の周辺の通学路の掃除だ。」
夢子「え!?先生たちと?別に良いけど…」
ルフレ「ちょっとちょっと!!ベレト!?君この場に及んで夢子を横取りする気!?」
ベレト「先生と呼べ。…お前らは教室と廊下の雑巾がけだ。」
ルフレ「はぁ!?何都合のいい事いってるんだい!?」
アルフレ「…くすくす。」
ルフレ(怒!)

ベレトの横でアルフレが嘲笑いながらルフレを見下す。
絵に描いたように悔しがるルフレ。

ルフレ「ムムム…猛反抗したいけど此処は学校…生徒が教師に立てつくのは…」
ベレト「ほう、わかってるならそれでいい。」
ルフレ「《放送禁止用語》」
アルフレ「じゃあ夢子、行こう?僕と一緒に汚い物、集めに行こう?」
夢子「…学校の環境のためだから。別に貴方と掃除して楽しいとかは絶対無いからね?寧ろ最悪だから?
        あと私から数メートル離れて歩いて。」
アルフレ「楽しくなりそうだね。フフフ。」
ベレト「じゃあ行くぞ。ゴミ袋は各自2種類持つように。分別は大事だからな。」
ルフレ「ちょ…ベレト‥‥ムキー!!ねぇみんな、夢子盗られた!!ほんとに最悪!!」
ピット「先生もあれだけどアルフレと一緒なのはちょっと心配だね?」
ルフレ「絶対復讐してやる…あの鬼畜眼鏡に腹グロサイコパスめ…」
アイク「それ別のゲームじゃないか…」
シュルク「何なら僕らでさっさと雑巾掛け終わらせて夢子さんを取り返しましょう!!」
マルス「そうだね、僕らが本気出せばこんな教室のひとつやふたつあっという間だよ!!がんばろ!?」
リンク「じゃ手っ取り早く終わらせましょう。まずは机を全部廊下に出して‥‥」



剣士男子は掃除に気合が入る。
彼等は夢子の事となればやる気が直ぐに湧く単純な細胞をしている。
一刻もあのタワマン最上階vip野郎たちから夢子を奪還しなければ。







夢子はベレトとアルフレと校舎の裏に来た。
街路樹が多いこの場所。
ゴミというより枯れ葉や枯れ木、雑草などが多い。



夢子「これは…」

戸惑う夢子にベレトが軍手をはめながら言う。

ベレト「夢子、お前は枯れ葉類を拾うといい。」
夢子「ええ!?」
ベレト「…どうした?嫌か?」
夢子「いや…逆に何かかなり楽な仕事だなって拍子抜けしてしまって…」

驚きの表情を浮かべる夢子の横でアルフレが言った。

アルフレ「先生は彼女に力仕事とかで体力使わさないために僕らと組ませたんでしょ?」


夢子「…!!そうなんですか!?」
ベレト「‥‥お前はまだ病み上がりだからな。」
アルフレ「フフフ、それで好感度も上げようと?イヤらしい教師だね。」
ベレト「どつくぞクソガキ。」
アルフレ「まあ、僕としてはラッキーだけど。夢子と一緒にゴミ拾い…最高でしょ?」
夢子「私は貴方と一緒にするのが最悪だけど。」
アルフレ「フフフ、今日はクリーン何たらだからって先生に呼ばれたときはホント虫唾が走ったけど…
     君と1分1秒でも長く一緒に居られるなんて私服の瞬間だよ。」
ベレト「アルフレ…くれぐれも彼女に変な行動取らない様に。」
アルフレ「はいはい。」


はいを2回言う奴は大体約束を守らない。
夢子はアルフレを警戒していた。

ベレト「…奥に大きな大木が倒れてるな。アルフレ、運ぶぞ。」
アルフレ「えーめんどくさい。」
ベレト「黙って言う事を聞け。…じゃあ夢子、そこの枯れ葉を頼む。」



そう言うとベレトは不機嫌そうな顔をしてるアルフレを連れて少し奥にある大木を運びに行った。
夢子はしゃがんで枯れ葉を拾う。



夢子「私だけこんな簡単な作業でいいのかな…?他の生徒に見られたら嫌味言われそうだけど。」


でも実際夢子は前回のルミレとの戦いで大怪我を負ったばかりだ。
校内の生徒たちも理由こそまでは知らないが夢子が義眼になったことは知れ渡っていた。



夢子「視界は狭まったけど、この目もだいぶ慣れてきたなぁ。」


夢子は一人考える。
ルミレ…あの人形は中身に固執している。
きっとあのくらいじゃまだくたばっていない…そんな気がする。

夢子「そこまでしてルフレが欲しいの…?」

わからない。
人間に人形の気持ちなど理解できない。

夢子「…もう暫くは対峙したくないな…いいえ、出来るなら永遠に…」


色んな事を考えながら枯れ葉を集めた夢子。
短時間で結構袋もぱんぱんになった。

夢子「ふう、1袋目はこんなものかな。」


アルフレ「夢子。」


すると突然アルフレが話しかけてきた。
ぶっきら棒に返事を返す夢子。

夢子「…何?」
アルフレ「あんな重い大木を僕に運ばせるだなんて‥‥あの教師、とことん頭可笑しいと思わない?腕が折れるかと思ったよ。」
夢子「貴方に頭可笑しいって言われる方が可哀想だよ。」
アルフレ「えー?あの人の味方するの?」
夢子「男ならそのくらい何も言わず涼しい顔でこなしなさいよ。」
アルフレ「まあ、実際その方がかっこいいかな?」
夢子「はぁ…。」
アルフレ「君こそこのくらいで疲れてるの?つくづくか弱いんだね。」
夢子「貴方と喋るのが疲れるの。」
アルフレ「ふーん。楽しすぎるからかな?」
夢子「…はぁ。(呆れ顔)そういえばベレト先生はどこ行ったの?姿が見えないけど。」
アルフレ「…ああ、何か職員室に用事だって。直ぐ帰ってくるらしいけど
     個人的にはこのまま帰ってこないでほしいけどね。」
夢子「貴方と二人きりになるの物凄い嫌なんだけど。」
アルフレ「僕は嬉しいけどなぁ?」


相変わらず話が一方通行だ。
会話のキャッチボールが常に剛速球で受け取れないような感じ。
夢子は呆れていた。


夢子「…私あっち掃除してくるから。」


夢子は移動しようとした。
すると、アルフレが彼女の腕を掴む。

アルフレ「…待って。」

夢子は怯える。

夢子「な…何…!?」

アルフレ「そんな怖い顔しないで?君に渡したいものがあって。」

アルフレはにっこりと満面の笑みを浮かべる。
かなり恐ろしい笑みだ。
夢子は察した。
コイツ何か企んでる、と。

すると、アルフレは素早く彼女の背後に回る。

そして‥‥




彼女の上着の首筋の隙間に何かを突っ込んだ。

夢子「!?!?!?」



夢子はパニックを起こす。

アルフレに背中から得体の知れないものが入れられた。


夢子は戸惑い暴れる。


夢子「ねぇ!?何なの!?何入れたのよ!?」


パニックを起こしてる夢子を見てアルフレはいつもの不気味な笑みで笑ってる。
背中の中で何かが動く感触がする。
とても不快な感覚。

アルフレ「…ああ、何入れられたか…知りたい?」

夢子「何なのよ!?」





アルフレ「ケ・ム・シVv」







夢子はアルフレの悍ましい言葉を聞いて一気に青ざめる。


この男…背中に毛虫入れやがった。
今時小学生でもしない悪戯だ。


それでも夢子には嫌がらせとしては効果抜群だった。



夢子「イヤアアアアアア!!!」



夢子の悲鳴が辺りに響く。




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