夢子「ちょっ!!!///」

夢子は悲鳴をあげそうになるが、アルフレが手で口を押えた。

夢子(モゴッ・・・!?)

アルフレ「そんな悲鳴あげそうになるほど僕と近づけて嬉しい?」

夢子「何するの!?放しなさい!!??」





【痛いの痛いの飛んで逝け。4】







夢子「ちょ、止めて!!何もしないって言って‥‥!」

アルフレは夢子の腕を掴むと思い切り引っ張った。
夢子は全力で抵抗したが
幾ら相手が重症の怪我人とは言えども
自分よりも背の高い男性の力には敵わなかった。
夢子はアルフレの腕の中に引き寄せられた。

アルフレ「ふふふ、捕まえた…v」

夢子(ゾクッ‥‥!!)

アルフレ「じゃあ先生が辿り着くまでこのままで居よっか?」
夢子「嫌だ!!」
アルフレ「なんで?僕前から思ってたけど、僕はルフレなんだよ?
     体格も顔だって同じだろ?まー髪と目の色は多少違うけど?」
夢子「中身が全然違う。」
アルフレ「違う?何処が?」
夢子「全然違う!兎に角違う!!」
アルフレ「ふーん。そんなに言い張る?」
夢子「っていうか貴方全然元気良いじゃない!?
        私もう帰ってもいいんじゃ?」
アルフレ「君のせいで僕はこうなったんだよ?あー…イテテ、また痛み出した。」
夢子(絶対わざとだ…)
アルフレ「君には代償払ってもらわないと?」
夢子「は?!」




アルフレ「じゃあさ、僕のほっぺにキスしてよ?」



夢子「は!?!?」


突然のアルフレのリクエストにポカンと口を開ける夢子。

アルフレ「あれ…今日の僕何だか変だな?何か、抑えきれないんだよね。」
夢子「急に何を…」
アルフレ「今日は朝から君をストーカーして遠くから見て興奮しようと思ってたんだけど」
夢子(変態!!)
アルフレ「丁度変な工事現場に君は入って行って…そしたらこれだよ。全くついてないよねー。
     だからさ、ほら。ね?いいでしょ?」
夢子「助けてくれたのは事実だけどその前の言動がどうも…」
アルフレ「きっと神の導きだよ。君との運命感じちゃう。」
夢子(ベレト先生早く来ないかな…このままだと流石にヤバそう…)
アルフレ「ねえ、1回でいいからさ。ね、チューしてよ??」
夢子「ムリムリムリ!!そんな平日の日中からこんな…」
アルフレ「夜なら良いの?」
夢子「違う!!」



アルフレ「じゃあ…僕からシようかな?」


夢子の顔を掴むとアルフレは自分の顔を近づけてきた。
抵抗する夢子。一歩も動じないアルフレ。

夢子「や…やめ…!!!///」




スッ・・・・



突然アルフレと夢子の顔の間に何かが遮る。
それは夢子がルフレに買った本だった。
本を拾い上げてからふたりのキスを阻止したのはベレトだった。

ベレト「おい…(怒)」

アルフレ「んー?あー、先生か…今良い所なんだけど?邪魔だなぁ…」
夢子(助かったー!!ナイス!ベレト先生!!)
ベレト「お前ら…真昼間から何を…」
アルフレ「何をって…スキンシップだよ。見て分からない?」
ベレト「そんな生易しいものには見えなかったが。彼女は嫌がってるようにしか見えないし…
    と、いうか怪我はどうなんだ?」
アルフレ「うーん。ちょっと痛いかな。でももう平気だよ。

     
     最初から走れるほどだし。」


夢子はキレた。

夢子「はぁ!?痛くて痛くて歩けないんじゃ…!?」

アルフレ「フフフ。このくらい僕にはどうってことないよ。」
ベレト「どうってことないのならば呼ばないでくれ…大事な会議抜けてきたんだぞ。」
夢子「先生、ごめんなさい‥‥元は私が原因で。」
ベレト「お前が謝らなくていい。コイツが問題児なのはわかってるから。」
アルフレ「酷いな〜先生。今の僕は彼女を救ったヒーローだよ?」
ベレト「言い訳は後で聞いてやる。帰るぞ。夢子も気を付けて帰れ。」
夢子「ふぅ…(よかったーやっと解放される)」

夢子は安堵の表情を浮かべた。
次の瞬間。





チュッ・・・・・



不意打ちだ。
アルフレがキスしてきた。
驚く夢子。パニックに陥る。

しかもこいつ、口内に舌を入れてきた。

夢子「ンンン!?!?///」



すぐさまベレトがアルフレを引き放す。
ベレトの顔が物凄く怖い。


夢子は半泣きしている。
アルフレはいつも通りニヤニヤ。
とても悦に浸っている。それはもう幸せそうに。


アルフレ「フフフ…ごちそーさまv」


夢子「ーーーー!!!///」


夢子は思い切り袖で口を拭く。
ベレトが物凄い形相でアルフレの首根っこを掴む。
そして夢子に礼をと謝罪を言って彼を引きずり帰って行った。
そのあと彼はどうなったか知らない。きっとベレトにボコられただろう。




夢子はひとり工場現場地帯のビルの裏で顔を赤くしていた。

夢子「あいつはルフレじゃない、敵のルフレなんだよ…!?私何でまた心臓バクバクしてるの…!?
        こんなのばっかり…狂ってる…不公平よ‥‥///」


夢子暫く呼吸を整えてた。
そして家に帰る支度をした。
ルフレにあげる本は…


夢子「あれ…?本は?」




・・・・完全にやられた。アルフレの仕業だ。
また大切な本を持っていかれた。

どさくさに紛れてこっそりパクっていったのだ。

夢子「…どうしよう、折角買ったのに…」

夢子は辺りを見回し気づいた。
ルフレに本と一緒にあげようと思って摘んだ花。

夢子は花を手に取る。



夢子「…これしか渡せないけど、今はいいよね?」


花を大事そうに手に取り夢子は家に帰った。
家の中にはいつも通り楽しそうに居間でスマブラをしてる剣士男子たち。


その中の白髪の彼に夢子は花を渡した。

彼は目を丸くさせ、喜んで夢子を抱きしめ
他の男子からブーイングの嵐を浴びていた。

夢子は心の中が荒んでいたが彼の喜ぶ笑顔で何もかも吹っ飛んだ。


陰と陽、陽があるから陰が出来て陰があるから陽が輝くんだと自分に言い聞かせた。



まさに、ルフレ(陽)とアルフレ(陰)。

彼らは対になる存在。
どちらも欠けてはいけないのだ。

夢子「どっちも、ルフレなんだよね‥」
ルフレ「‥どうしたの?」
夢子「ううん、何でもない。お腹空いたー!」


夢子はいつもの生活に戻った。









【痛いの痛いの飛んで逝け。】【完】




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