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【痛いの痛いの飛んで逝け。1】
夢子はひとり路地裏を歩いていた。
路地裏とはいってもそこまで薄暗い場所ではない。
風心地よく吹いていて空だって見える。
まあ、少しだけ景色は悪いことは悪い。
何故ならその地域一帯は今工事中だから。
大きなクレーン車やトラックとすれ違う。
そのせいか道路のコンクリートはヒビが入り
道は結構歩きにくい。
なぜ彼女がそんな場所を歩いているのか。
それはルフレへのプレゼントを買うためだった。
本屋さんへ行き、無事本を入手できた夢子。
その帰りに彼女はこの道を歩いていた。
夢子「ここ、実は秘密の近道なんだよね!!」
そう、近道。
長年住んでる地域の秘密の近道を夢子は幾つか知っている。
ここはそのひとつ。
夢子はルンルン気分で歩いていた。
夢子「ルフレ、喜んでくれるかな?この本前から欲しがってたもんね…
ずっと売り切れでやっと予約取れたし…ふふふ!」
自然と笑みが零れる。
大好きな人の喜ぶ顔は何よりもご褒美だ。
夢子「カワイイ布でラッピングもしたし、うーんでもちょっと何か物足りたいなぁ…。」
夢子は辺りを見回す。
すると、目の前の道路にあるものを発見した。
それは地割れから生えた小さな白い花。
ド根性なんとか…ってやつだ。
夢子「わあ!綺麗!そうだ、これプレゼントと一緒に渡そう!」
夢子は駆け寄って花の前にしゃがむ。
夢子「ごめんね、お花さん。折角頑張って生えてるのに…
ルフレの為だから…。」
夢子は花を摘んだ。
夢子「フフ♪これで物足りなさは少しはマシになったかな?」
笑顔で立ち上がりその場を離れようとした、その時だった。
ギギギギギイギギギギギギギギイギ‥‥
夢子の遥か上空から不穏な音が響く。
夢子「‥何の音?」
音に気付いて夢子が真上を見上げた、その時だった。
ガシャガシャガシャン!!ガシャ!!ガンガンガンッ!!!クレーン車が工事中のビルにあげていた鉄筋の数々が
夢子の上空から降ってきた。
こちらへ目掛けて降ってくる。
夢子「え?」
夢子の顔から笑顔が一瞬で消える。
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