今度はリンクとシュルクが家に帰ってきた。
どうやらリンクの買出しの手伝いをシュルクはさせられていたらしい。
ふたりは玄関の扉を開ける。

リンク「絶対俺の料理の腕で彼女の胃袋を落とします。」
シュルク「それならまずライバルをどうにかしないと?」
リンク「ルフレですか…アイツ一番厄介なんですよね…どうしたものか。
    よし、ただいまー…って‥‥


    
    サッブッッ!!何この冷気‥!?」



先ほどのマルスと何ら変わりない反応をするリンク。







【不思議な丸い緑のそれを眺める日々。2】





シュルク「何で家の中こんなに冷えてるんですか?!」
リンク「エアコンなら消して家から出たはずなのに…」


ふたりは家の中に入る。
そして案の定真っ暗い部屋の中。

リンクがリビングの電気をつけた。

するとそこには毛布にくるまってテーブルの上にあるひとつの瓶を見つめるピット・マルス・アイクだった。


リンク「…何してるんですか…。」
シュルク「…まさか、夢子さんを奪還する為の黒魔術の儀式でもやってました?」
ピット「違うよ!!そんな事するのアルフレ辺りでしょ!!」
シュルク「じゃあ一体何を…」


ここでピットが成り行きを話す。
ホームセンターでマリモを見つけて衝動買いして
夢子にプレゼントする前にマリモを元気にさせようと
部屋を暗くして冷房をガンガンつけていた、と。


リンク「そういうことでしたか。」
マルス「このマリモって…結局何なの?生きてる?」
アイク「《藻の一種》らしい。生き物として見るか見ないか賛否両論だけどな。」
ピット「僕は生き物だと思うよ!僕が声かけたら動くもん!」
シュルク「ほんとですか…?」
ピット「まーくんこんにちわ!‥‥ほら、動いた!」
リンク「まーくんって…」
アイク「名前を付けたそうだ。」
シュルク「動いたの気のせいでは?」
ピット「嘘じゃないよ!僕には反応してるのが分かるんだから!!」
マルス「僕が声かけても動かないけどね…そもそもピット君の呼びかけにも怪しい感じする。」
ピット「皆わかってないなー、愛だよ愛!ね、まーくん!」






1時間後‥‥

ルフレに付き合わされていた夢子が二人家に帰ってきた。
ルフレはとてもご機嫌そうだ。

夢子「ルフレ、もう家着いたし手離して?」
ルフレ「…嫌だと言ったら?」
夢子「みんなが怒るよ!?」
ルフレ「勝手に妬せばいいんだよ。僕は君とずっとこうしていたいの!」
夢子「はぁ…」
ルフレ「あれ?こんな時間なのに雨戸から光の一つさえ洩れていない…」
夢子「…?皆寝たのかな?」
ルフレ「…まさか…。あ、僕たちにドッキリ仕掛けようとしてるかも?
    危ないといけないから僕が先に家に入るね。」

玄関の扉をあけるルフレ。



ルフレ「ただいまー。誰かいr‥‥って


   
   何だいこの冷気は!!!!冷凍庫みたいだよ!?」


夢子「どうしたのルフレ。」
ルフレ「夢子、君は少し此処で待ってて。中にクレイジーの手下がいるかもしれない…。」

夢子「えええ!?」



誤解だ。


ルフレは家の中に入る。
手には折り畳みの笠。
いざと言う時武器になるので剣の代わりに常備しているのだ。

ゆっくり廊下を進み、真っ暗な部屋を照らすため電気のスイッチを入れる。


すると…そこには案の定。


ルフレ「…君たち何馬鹿やってんの??」


ルフレの視線には毛布にくるまりテーブルの真ん中に置いた小さい瓶を見ている5人の剣士男子だった。
非常に奇妙な光景がそこには広がっていた。


ピット「あ、ルフレ帰ってきた!?」
ルフレ「もしかして闇の魔導書でも拾った?それで僕に黒魔術でも掛けようと…?いい度胸じゃないか…何なら僕とこの場で戦って…」
ピット「違う違う!!そんなの誤解だよ!!」
ルフレ「じゃあ一体何を…」


夢子「…ルフレ?どうなってるの?」


家の中が危険ではないことを察した夢子も入ってきた。

ピット「あ、夢子!!おかえりー!ずっと待ってたんだよー?!」
夢子「ただいま、ピット君!…皆何してるの?」

リンク「何って言うか…」
マルス「最初はピット君の戯言に付き合ってただけだったんだけどね。」
アイク「この生物、意外と神秘的でな。」
シュルク「皆で眺めていたんです。」
マルス「夢子見て見てよ!見ていたら意外と可愛くみえてくるから!」

ピット「…そういう事!だから、夢子にまーくんプレゼントしようと思って!」

夢子「まーくん??」

ピットはテーブルの上の小さい瓶を持って夢子に渡した。

ピット「はいっ!!」
夢子「これは?」
ピット「マリモ!!名前はまーくん!!」
夢子「私に…くれるの?」
ピット「うん!!」



そこで夢子は思わずピットを抱きしめた。
周りの剣士男子達がまさかの場面で口を開ける。

夢子「ピット君ありがとう!!私、マリモ大好きなの!!」
ピット「え、そうなの!?!?」
夢子「いつか飼育してみたいなって思ってたけど中々売ってるところに遭遇出来なくて。」
ピット「じゃあまーくんの事僕だと思って大事にしてね!!」
夢子「ありがとーーー!!///」

ギューーーーー!!

夢子はピットを強く抱きしめる。
ピットの胸に夢子の巨乳がぶつかる。


ピット「えへへ…///」



ピットはデレデレしていた。

その様子を見ていたルフレが舌打ちをしている。


ルフレ「さっきまでは僕が有利だったのに…」
マルス「でも、僕ら自分たちが得するわけでもないのにピット君に付き合ったね?部屋暗くしてクソ寒くしてさ。」
アイク「まあ、宿題面であいつに大分助けられてるからな。たまには恩返しって奴だ。」
シュルク「このくらい大目に見ましょ。マリモ、意外と眺めてて楽しかったし。」
リンク「ああいうのんびりした時間もたまにはいいですね。よし、今日は美味しい物作りましょうか。」
ピット「わーい!」
リンク「…ピーマン料理ですが。(にっこり)」

ピット「ゲッ!!」


夢子はピットから貰った瓶を見つめる。
マリモのまーくんが動いた‥‥気がした。








【不思議な丸い緑のそれを眺める日々。】【完】






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