アイク「…良い天気だな…」
わたあめ「わんっ!」


【その陽だまりの様な温もりをいつまでも感じていたいから俺はお前を手放したくはない。1】








とある昼下がり。
窓辺でわたあめとじゃれていたアイク。
大きな欠伸をして呟いた。
因みに今家には彼とわたあめ以外誰もいない。
新しく引っ越したタワマンは広くて静かになると寂しい。
でもそんな虚しさをわたあめが全部持って行ってくれる。
ボールを投げて遊んでいると、段々と睡魔が襲ってくる。

アイク「こういう時は昼寝するのに限る…煩い奴らも居ないしな。」
わたあめ「くぅん??」
アイク「ここ…日差しが暖かくて心地よい…‥‥寝よう。」
わたあめ「くぁぁぁ…ん」
アイク「…お前も寝るか?」
わたあめ「zzz…」
アイク「…俺も。zzz…」


わたあめと共に眠りに落ちたアイク。
春のポカポカ陽気は気持ちが良い。
ひとりと1匹は直ぐに夢の中。

夢。


暖かいせいか温かい夢を見た気がした。
戦火で死んだ父と故郷に残してきた妹。
もう大分顔を思い出していなかったが、ここに居て表情が蘇る。
共に戦った仲間の顔も思い出す

アイク「あいつ等…元気かな…?」

故郷にはお気に入りの花畑があった。
その場所の陽だまりが暖かく、昼寝をしてはいつも起こされて…怒られて…

アイクはふと目を覚ました。

温かい夢なのにー…心が締め付けられた。
一体何なのだろう。
ほんの少しだけ、目が潤む。
寝ぼけた瞳に何か物体が写る。

アイクは突然寂しくなってその物体を抱きしめた。

アイク「…わたあめ…」


ギュッ・・・・

そっと抱き寄せる。

でも、それは

わたあめではなかった。


アイクも段々夢から覚めて現実を見る。
わたあめにしては大きい。
そしてモコモコというよりふんわりしてて
良い匂いがする。
アイクの顔色が段々赤くなる。


そのわたあめだと思って抱き寄せたのはー・・・・

隣でうたた寝している夢子だった。



アイク「ッ!?夢子っ!?///」


アイクは自身の失態に気づき顔を真っ赤に赤面させた。
夢子は眠っている様だった。
多分、学校から帰ってきて寝てるわたあめを見て添い寝してしまった?
ー・・・わからない。彼女の行動が謎すぎる。

アイク「わたあめが居るとしても俺も傍にいるんだぞ…?!
    こんな…傍で…っ///」

夢子は起きる様子が無かった。

アイク「反則だろっ…///」

夢子「んんーっ…」

夢子は少しだけ寝返りを打つ。
抱きしめたアイクの懐にすっぽりと顔を埋める。
そしてそのまま眠り続ける夢子。
こんな事されたからにはアイクも必死に理性と闘っていた。

アイク(…無防備すぎる…///)


アイクは硬直していた。
今動いたら彼女が動いて、悲鳴をあげるだろうか?

いや、それより


アイク(…もう少しこのままで居たい…)

彼も男だ。好きな女の子が傍で添い寝してるなんて幸せ過ぎる。

目がしどろもどろに動く。
動機が止まらない。
まあ落ち着けという方が無理がある態勢だ。

アイク(俺の鼓動で彼女の目が覚めるのでは?)

アイクは自分の胸の中で眠る夢子を見て思う。

アイク(夢子にはルフレも他の奴らもいるんだ…俺がこんな事したら…)

アイクは深呼吸をして乱れた息を整える。
そして、少し冷静になって考える。

アイク(幾ら夢子が傍で寝ていたとは言え、やって良い事と悪い事がある‥‥
    これは、やって良い事なのか?違うよな‥‥落ち着け俺‥‥!!」

アイクはそっと夢子を自分から遠ざけて離そうと彼女の肩に腕を伸ばす。
するとここで彼の理性を破壊する出来事が起こる。





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