ショーケース越しに張り付くマルス。
その後ろでアイスを食べるピットとスタバを啜るアイク。
今日はお馴染み3トリオでお出かけしていた。
そんな中、道中通りかかったファンシー系のグッズを置く店の前で彼らは立ち止まっていた。




【何なら君の為にユニコーンにだって乗って魅せるから大人しく攫われて欲しい。1】






ピット「ねーマルスー、まだー??」
マルス「も、もうちょっと待って!!これはやはり…ふむ…」
アイク「…お前さっきから何してんだ?気になるなら店の中に入るといいだろ?」
マルス「だ、だってこの店…女の子がいっぱいいて…デュフフw」
ピット「変態王子。」
マルス「違う!!断じて違う!!僕は決して中に居る女の子に鼻の下伸ばしてる訳じゃないよ!?」
アイク「じゃあ一体何なんだよ…?」
マルス「この、カチューシャだよ!!」
ピット・アイク「「は?」」

マルスが指さした方向を見るとマネキンが可愛い猫耳のカチューシャをつけていた。

ピット「…マルスこれほしいの?」
マルス「うん!!」
ピット「変態王子。」
マルス「だからッッ!!違うってば!!着けるのは僕じゃなくて‥‥」
アイク「もしかして…夢子に着けさせたいとか?」
マルス「そう!!君は物分かり良いね!!」
ピット「…で、何でガラスの前でウロウロしてるのー?さっさと店の中入ればいいのに。」
マルス「君…分ってないな…」
ピット「何が??」

ここでマルスが深刻な顔をして言い放った。

マルス「僕みたいなイケメンがこの女子まみれの店に入ったらどうなる…?」
ピット「自分で自分の事イケメンっていう痛い人。」
マルス「僕の事はいいんだよ!!ほんとの事だし!?‥‥って、そうじゃなくて、
    店の中の女の子たちが僕らの事そっと逃がしてくれると思う‥‥!?」
アイク「はぁ…そういうめんどくさそうなのはお前ひとりで行けよ俺等は外で待っておくから…。」

店の入り口から遠ざかろうとするアイクとピットを背後から手を伸ばし肩を掴むマルス。
その顔は不気味な笑みを浮かべていた。

マルス「待つんだ、ふっふっふ…君たちだけ逃がすと思う??

    …二人とも 道連れ DA★YO…!!」


ピット「わわ、アイス食べかけなんだけど!?」
アイク「おい…!?俺らまで巻き込むな…!?」
マルス「一緒に来た以上君らに選択肢などない。フフフフ…さあ、生き地獄へ共に行くよ!!レッツゴー★」

そしてマルスはピットとアイクの腕を掴み無理やり道連れにして店内に足を踏み入れた。







店内には可愛いゆるふわ系なグッズが沢山置かれている。
壁もピンク。天井もピンク。床もピンク。棚も…全部がピンク色。


マルス「す、すごい…こんな目が痛くなる店初めてだよ‥日本のカワイイ文化恐ろしや…」
3人が店の中に入ったことに気づいた他の客たちがザワザワし始める。

女性客A「ねえ…見て、あの三人。男の子よ?!」
女性客B「でも凄い顔整ってる!!イケメン!!」
女性客C「外人かな?モデルかな?」
女性客A「声、かけちゃおうかな…?」



そんなヒソヒソ話も聞こえる。
女性客の小声を聞いたピットがなるほどと相槌を打つ。

ピット「‥そっか、僕らって日本人離れした顔だから外人に見えるかもね?」
アイク「地域で言うとどのへんだろうな。やっぱりヨーロッパあたりか…」
マルス「ふふん♪まあ僕の名前神話にも出てくるからね!!この間教科書で見たし★」
アイク「…そうなのか?」
ピット「出てくるよー確かマルスって神話の神様の名前だからね。めっちゃ似合わないよねー。もうマル太郎の方がいいんじゃない?」
マルス「君のエンジェルフェイスに思い切りデコピンしてやろうか…?あと全国のマル太郎さんに謝ってよね(イラッ…★)」
ピット「鬼!意地悪!ろくでなし!」


一周店の中を周り、再びショーケースの前に辿り着く3人。

マルス「店内ざっと見たけど…やっぱり僕は1番最初に目に入ったあの猫耳カチューシャがほしいかも。
    やっぱ一番最初に惹かれたものが一番ってこの事だね!」
アイク「そうだな、俺も夢子にはあれが似合うと思う。」
ピット「じゃあ…さっさと買っちゃえば?なんか、さっきから視線が痛いんだよね…
    早く会計済ませた方が良さそうだよ。」

店内を周ったせいで店に居る女性全員がイケメン3トリオに気づいてしまったのだ。
皆噂をしながら彼らを見ている。

ピット「うう…早く帰りたい。辛過ぎる…。」
マルス「君、そこのケースのマネキンがしてるカチューチャをこの僕に売ってくれたまえ。(キラッ★)」
女性店員「あ…は、はい…。///」


店員に声を掛けカチューシャを取ってもらうとレジで会計が進む。

女性店員「5000円です…///」
マルス「…はい、ありがとう、また来るね。(イケボ)」
女性店員「はぁい…(ズキュンッ///v)」


アイク「5000円か…カチューシャにしては結構高いもんだな。」
ピット「おまるすいつも金欠なのによく持ってたね?」
マルス「僕にだってへそくりくらいあるよ!?馬鹿にしないでよね!!」


こうして、無事欲しいものが手に入ったマルス。
しかしここで問題が発生する。
店に出た瞬間、中に居た女性客が雪崩の様に出てきた。

ザワザワザワ・・・

マルス「え!?な、ナニナニ!?何が起こってるの!?」


そして、スマホで写真をとったり揉みくちゃにしてきたのだ。

3人は完全に店から出てきた女性客に囲まれてしまった。



女性客A「あの!!モデルとか歌手ですか!?」
ピット「そんなのじゃないんだけど…」
女性客B「良かったらこの後お茶とかどうですか!?」
アイク「いや…そういうのはちょっと…」
女性客C「ライン何て交換できません?友達からお願いします!!」
マルス「…そういってもらえるのはとても嬉しいよ、お嬢さん達。」


女性達「「「じゃ、じゃあ‥‥!!!///」」」


マルス「でも、ごめんね、僕ら3人とも彼女いるんだ。(にっこり)」



女性達「「「‥‥ぇ…。」」」

マルス「だから気持ちだけ受け取っとくよ。…行こう二人とも。」


マルスに連れられてピットとアイクと3人でその場を離れた。
女性たちはまるで広い砂漠のど真ん中に捨てられた子犬の様に固まっていた。







ピット「おまるす!!たまには気が利くねー?お陰で無事抜け出せたじゃんー!!」
アイク「でもあんな発言するとはな。」
マルス「咄嗟の判断だよ。」
ピット「でも…僕彼女いないよ?」
アイク「同感。」
マルス「あの一瞬だけ夢子に僕らの彼女になってもらっただけさ。
    僕これから本気だして本物の彼女にするけどねー。
    そしてそれが今日なのさ!!ルフレの奴の命日だよ…今日から彼女の横に立つのはこの僕!!…クックック。」
アイク「お前なぁ…」
ピット「でもほんと怖いよね、日本の女性って。何とも言えない恐怖感があるよ。圧?が凄い。」
マルス「その点夢子は理想だよね!!あんなに優しくて穏やかで思いやりがあって可愛らしくて…スタイル抜群(特におっぱい)の子見たこと無い!!」
アイク「最後若干下心入ってるぞ。」
マルス「アイクだってわかってるだろ!?夢子の魅力は全て!!ああ、早く家に帰ってプレゼント渡して…
    猫耳カチューシャつけさせて、膝枕して貰って、頭ナデナデして耳かきもらうんだ…グフフフ。」
ピット「やっぱ変態だ…。」
マルス「君だってしてもらいたいでしょ?」
ピット「まあ…嫌ではないけど。」
マルス「ダメだよ?この猫耳は僕が買ったんだから、僕が1番初めに夢子に膝枕してもらうんだっ!!」
アイク「俺等の苦労は…」
マルス「君たちはどさくさに紛れて買った饅頭でも食べてたらいいよ。
    僕は夢子と甘い時間を過ごすんだぁ‥‥フフフフーv///」
ピット「あーあ、今日も頭の中お花畑だね、おまるす。ある意味幸せ者かも。」
アイク「コイツこっちに来てからずっとこんなんだよな‥‥英雄王の威厳が無さすぎる。色々心配になるな…大丈夫かよ…?」
マルス「デュフフwww」
ピット「元の世界の仲間が今のおまるす見たら泣くだろうね。」
アイク「国が滅亡するかもな。」
マルス「んー?なんか言った!?」
ピット・アイク「「別に…。」」






家のタワマンに帰ってきた3人。
ルンルン気分で内ドアを開けてリビングに入る。
するとそこに夢子とルフレが居た。
それはまだよかった。それだけなら。
問題はその行為だった。

なんと…

夢子がウサギのカチューシャを付けて
ルフレを耳かきしながら膝枕をしていたのだ。



マルス「…は?」



その場で顎が外れ石化する王子。


夢子が3人が帰って来たのに気づいて慌てる。

夢子「お、おかえり3人とも!!ちょっとルフレ!!皆が帰ってきたら止める約束でしょ!?
        早く起きて?!もー恥ずかしいよ!!///」
ルフレ「…嫌だって言ったら?」
夢子「ー!!///ねえ、3人からも言ってやって!?ルフレもう2時間もこの状態で…」


マルス「うわああああああああああああああああああああっ!!!(号泣)」


マルスは号泣して自分の部屋に走って去って行ってしまった。

ピット「あーあ…精神ヤラレチャッタ、ね。」
アイク「これは…かなりエグい展開だな。」
夢子「え…マルスどうしたの!?何かあった!?」
ルフレ「フッ。(黒い笑み)」




暫くしてピットとアイクがマルスの部屋をそっと開けた。
鍵は掛かっていないようだが…只ならぬ負のオーラが伝わってくる。


ピット「おまるー?…ヒッ!!??」
アイク「お、お前…」

二人が見たのは

頭に買ったばかりの猫耳のカチューシャを付けて枕を出し決めてベッドの隅にいるマルスだった。
その光景は不気味過ぎる。顔がイケメン出なければ…いや、イケメンでも変人だ。
マルスは完全に闇堕ちしていた。
意味が分からない言葉を呟いて指でシーツに文字を書いてる。


マルス「…いいもんね、ポジション盗られても僕は絶対君を迎えにいくんだから‥そう、ユニコーンに乗って!!
    ふふふ、ふふふふ…僕はユニコーンに乗るんだ…白馬じゃなくて…ユニコーンの王子様ふふふふ‥‥
    軍師め…今に見てろ‥‥お前なんか僕の足元にも及ばないってすぐ証明するんだから…ふふふ。」





アイク「‥‥ユニコーンっておとぎ話の馬だよな?てか、コイツそもそも馬乗れないだろうに。」
ピット「きっとさっきの出来事で脳が破壊されたんだよ。暫く放って置こう?どうせすぐ元気になるから。」
アイク「そうだな。饅頭でも食うか。ここの店の饅頭は凄く美味らしい。」



ピットとアイクはそっと部屋のドアを閉じた。
その後も部屋の内側からブツブツと君の悪い声が聞こえた。





ー後日談ー

ピット「そういえばおまるす本人って普段いつも同じカチューシャしてるけど、大切な物なのかな?
    外してるの滅多に見ないよね?」
アイク「ああ、あれな…形見らしいぞ。」
ピット「うわー、重そうな話だから聞かないでおこ…」







【何なら君の為にユニコーンにだって乗って魅せるから大人しく攫われて欲しい。】【完】

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