夢子「はあ…もう…何でこんなことに…」


夢子は休憩スペースにいた。
そこで無料提供されてる天然水を飲む。
水を飲んだら少しは落ち着く?
そんなわけない。



【高鳴る鼓動を高温のせいにしちゃったり。3】



流石にあんなに大勢に見られたら恥ずかしすぎた。


夢子「皆、初心なのかな…?そんなわけない、全員イケメンだもん。
        私の事馬鹿にしてからかってるだけだよ…」


夢子は水を飲み終わると辺りを見回す。



夢子「そういえば、ここってサウナがあったよね?」


夢子はサウナの部屋に移動した。
剣士男子達には申し訳ないが、ここでひとりの時間を作る事にした。


丁度サウナは誰も使ってないので夢子ひとりだけの利用だった。
中に入り木の椅子に座る。
何もしなくても丁度いい温度。
ヒノキの香りが心地よい。


夢子「温泉に入ったりしたし目の傷も癒えるかな。」

夢子は右目を抑える。
あの山でルミレに抉られて以来時々ない右目が疼く。
痛みはアルフレが最悪の形で提供してきた特効薬を飲んだお陰で全くないが…
やっぱり今まであったモノが無いのは・・・

夢子「ああ、思い出すの止めよう。折角無事生きて帰ってこれたんだもん。」


夢子は背伸びする。
最近今までがどれだけ平和だったかとか考えたりする。
そしてトラブルもそれなりにあって。

夢子「幸せだけど、その意味を常々考える機会が増えた気がする。」

以前、一度剣士男子達がゲームの世界に戻ったことがあった。
その時は寂しくて悲しくて虚しくて。
彼らが年を跨いで帰ってきてくれた時はとても嬉しくて。
それが通常ならあり得ない現実だとしても
今はこの幸せに寄り添って居たい。

夢子は胸に手を当てる。

夢子「ー・・・生きてるって、良い事なんだね。」


夢子「ー・・・私も、出来るだけ皆に恩返ししたいな。」


するとここでサウナ室の扉が開いた。

夢子は不意に驚く。

夢子「ひっ!?誰!!?」


そこにはシュルクが立っていた。

シュルク「あ…夢子さん。帰ってこないと思ったら此処にいたんですか?」
夢子「あはは…ちょっとね、視線が痛すぎて。」
シュルク「わかりますよ。あ、隣いいですか?僕サウナあんまり来たこと無くて。」
夢子「良いよ!一緒に温まろ!!」



夢子とシュルクは隣同士座った。
少しだけ距離を開けて。異性の最低限のマナーだ。
夢子はその間にも色々考えてた。
そんな表情をしてる夢子をみてシュルクが訪ねる。

シュルク「何を考えてるんですか?」
夢子「ん?ああ…色々とねー。」
シュルク「…こういう、平和な時間って良いですよね。」
夢子「シュルクもそう思う?私も!常々思うの。」
シュルク「僕らって元々は異世界にいるじゃないですか。
     だから日本に居て幸せ感じます。」
夢子「そっか…ゼノブレイドの世界もスマブラの世界も戦う世界だもんね。」
シュルク「時々平和ボケしそうな時もありますけどね。…でも…」
夢子「?」
シュルク「クレイジーの魔の手が貴女に迫ってると知った時、僕は心の底から此処に居て正解だと思いました。」
夢子「え…?」
シュルク「だって貴女を守る事が出来るからー・・・」
夢子「・・・!!」
シュルク「だって僕らじゃなきゃ守れないでしょ?貴女と出会って貴女と暮らして…時には戦い…
     守れるものが見つけらえて僕は幸せです。」
夢子「シュルク…!!」
シュルク「でも…」
夢子「でも?」
シュルク「最近モナドを召喚することも減ったので、ビジョンが見えなくなってて。
     それだけがちょっと不安かな。」
夢子「シュルクの能力だよね?」
シュルク「でも、僕は決めたんです。そんな力無くても貴女を守るんだって。
     …こんな僕は頼りないですか?」
夢子「そんなこと無いよ!?シュルクはいつでも頼りになるもん!!」
シュルク「本当ですか!?」

次の瞬間シュルクは隣に座る夢子の手を握った。

夢子「!!///」
シュルク「夢子さん…僕は‥‥ずっと貴女の事を…」

夢子「ああああ!!もっと水掛けた方が良いよね!!温度高い方が汗も掻けるし!!いっぱいかけちゃお!?うんそうしよ!!」



バシャバシャバシャ
ジュジュジュジュウウウウウウ〜…


夢子は途端に立ち上がると焼け石に水をかけ始めた。
言葉の続きが予想できるから、誤魔化したかった。
シュルクの事が嫌いなわけじゃない。
今聞いたら心が揺らいでしまいそうで怖かった。


シュルクは相変わらず真剣な顔をしている。
あの瞳、見ていられない。

夢子は顔を真っ赤にしてる。
室温のせいもあるが、それ以外にも・・・・


夢子(も〜!!何でこんな展開に…///)

もう一度指定席に戻る夢子。
するとシュルクが語り始めた。

シュルク「僕は彼らが羨ましいです。」
夢子「…え?」
シュルク「ルフレ達ですよ。素直に感情を表すのが上手で…僕そういうの昔から下手くそなんですよね。」
夢子「まあ…逆にあの人たちは欲望に従順過ぎると思うんだけど。」
シュルク「男ならそのくらいが丁度良いと思いません?」
夢子「うーん。…どうなのかな。場合に寄るかも。」
シュルク「気持ちはストレートが基本だと思うんです。やっぱり相手に伝わらなきゃ何も始まらないって。」
夢子「うーん…。」
シュルク「まあ直球が何でもいいとは思いませんけどね。時には寄り道もして…」
夢子「…。」
シュルク「あとはどれだけ相手の心を掴めるかですよね。」
夢子「…。」
シュルク「‥‥あれ?夢子さん?」
夢子「…。」


するとここで夢子がシュルクの肩にもたれ掛かる。
濡れた髪がぴとっと張り付く。

シュルク「っ!!!///夢子さっ…!?///」

夢子の息が荒い。

夢子「はあ…はあ…」

布一枚羽織ってる状況なので肌と肌がくっつく。
これは・・・エロい。

シュルクはパニックを起こす。
先ほどのマルス達の様に体中の血管から血が噴き出しそうな。
…でも、様子が可笑しい事に気がつく。

夢子が顔を赤くして息が荒いのは只エロいからじゃないと言う事。
当たった肌の温度からしてすぐにわかる。
今の彼女は非常に熱い。

シュルク「夢子さん…もう外に出た方が良いですよ!!滅茶苦茶熱いですよ!?」
夢子「う…うん。そうする…。」

そしてサウナの扉を開けて外に出ようとした。
すると、とある事に気が付いた。

夢子「…あ、…あれ?」
シュルク「どうしました?」



夢子「扉が‥‥‥開かない‥‥!?」



そう、


なんとサウナのドアノブが壊れて回らなくなっていた。




興奮など一瞬で吹き飛ぶシュルク。
これはかなりマズイ状況だ。

夢子「う…」

夢子は熱さにやられてその場に倒れてしまった。



シュルク「夢子さんっ!!??」




悲痛な叫びがサウナ室の中で響く。

シュルク「どうしよう…!?誰か!!」



【いいね!!】





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