夢子「あー!楽しかった!!」

賑やかな夜の繁華街。
夢子は沙羅と二人で歩いていた。
どうやら二人は今までずっと遊んでいたらしい。

満足そうな表情の夢子を見て沙羅も笑う。



【その怒りは天地を反転させやがてその血に流れし紋章は狂気を呼び覚ます1】


沙羅「それにしてもアンタ、今日は最初から飛ばしてたねー。」
夢子「だって久々のカラオケだったんだもん!そりゃ張り切っちゃうでしょ!」
沙羅「最近忙しかったからねー…」
夢子「でもお陰でストレス発散沢山出来てすっごい楽しかったよ!」
沙羅「まあ、ストレス溜まりそうだわよねーアンタのとこ。常に煩そうだし。」
夢子「私、思うんだよね。一人で孤独よりはマシかなって。
        それに考えてみてよ!?
        今、現実には起こりえない出来事が起こってる…
        私はとってもラッキーな人間なんだって!」
沙羅「考え方によってはそうなるか…」
夢子「それに役に立つことも多いし!」
沙羅「ボディーガードとか?」
夢子「うんうん!あと最近は皆率先して家事手伝ってくれるの!
        料理に関しては物凄く感謝してるし。…私メシマズ女だから。」
沙羅「アンタの料理は…悪い意味で私もお墨付きだわ…。」
夢子「でもね!こんな私も1品作れるようになったんだよ!」
沙羅「んー?何作れるようになったのよ?」

夢子は目を輝かせて自慢げに料理名を言い放った。


夢子「目・玉・焼・き!!」



沙羅「・・・。」
夢子「半熟?も焼けるようになったんだから!ふふふー凄いでしょー!」
沙羅「せめて卵焼きくらいまでは作れるようになった方がいいわよ。」
夢子「た、卵焼き!?あれひっくり返すの難しいじゃん!!」


卵料理のあれこれを話し合っていた夢子と沙羅。
二人は背後に近づく影に気づいてなかった。

トントン…

突然、肩を叩かれる二人。

振り返るとそこには男性が4人立っていた。
見た目はチャラく、派手な恰好をしている。
キツい香水の香りが鼻を劈く。


夢子「な…なんですか…?」

夢子が不安そうに聞くと派手な恰好の男たちは話しだす。

男1「なあ、お嬢さん達。3時間5000円で飲み放題プランあるけど、どう?」


ー客引きだ。こういう夜の街ではよくある話。
見た感じこの男たちはホストクラブの客引きだろう。

沙羅「私達、未成年だからお酒飲めないしそーいうの興味ないから。行こ、夢子。」

沙羅は夢子を連れてその場から立ち去ろうとする。
すると男たちがふたりの行く道を塞ぐ。
そして両隣で進路を塞ぎ、路地裏へと引っ張り出した。
腕を強く引っ張られる。

夢子と沙羅は人気のない場所へと押し込められた。

沙羅「ちょっと!!アンタたち何すんのよ!!」
夢子「沙羅…」

男たちは夢子と沙羅を囲む。
そして、商品を見定めるようにジロジロと二人を見る。


男1「なあ、このふたり、良いと思わねぇ?」
男2「俺もそう思うっす!」
男3「こんな美人でスタイル良くて…しかも巨乳だし最高!」
男4「早速あの店の店長に報告するか!!」


沙羅は夢子を背後にして守る様に男たちを怒鳴る。

沙羅「アンタ等…何勝手に話し進めてんの!?」

男1「決まってるだろ?風俗業界への勧誘だ。」

沙羅「っ…!?!?」
夢子「沙羅…私…怖いよこの人たち…」

男2「怖くないよー?俺たち優しいから?」
男3「しかし最近の女子高生はエロくてやべえな!
   店に売る前にちょっと味見しねーか?」
男4「いいな!それ!」
男1「じゃあちょっと頂くか!!」


盛り上がる男たち。
男のひとりが手前にいる沙羅に手を伸ばす。
沙羅は思い切り男の手に咬みついた。

ガブッ!!!




男1「イテエエエエ!?なんだこのクソアマは!!!」


噛みつかれた男は沙羅を引っ張り上げると顔を平手打ちした。

バチッ!!


沙羅は路地の入口まで飛ばされた。


夢子「さ‥‥沙羅!!!

沙羅は返事も無く倒れて動けずにいた。

夢子「酷い…酷いよこんな‥‥沙羅が何したって言うの!?」

男1「ァア!?俺の手に噛みついただろうが?あーあ、歯形着いちまったよ。
   どうしてくれんの?」
夢子「…お金なら今ある分全部払います…だから…」
男2「そういう意味じゃないんだよなぁ…?
   俺等見た目には常に気を使ってる訳。
   見た目が商売道具、だからさ?」
男3「俺等の言ってる意味わかる?」

夢子「どうしたら…いいんですか?」

男たちはゲスな笑みを浮かべる。
そしてスマホを取り出すと夢子を撮り始めた。

男1「今の時代、これも儲かるんですぁー。」
夢子「何…!?何を撮ってるの!?」
男2「動画だよー?はーいお嬢ちゃん笑ってー?」

男たちはあろうことか動画を撮り始めた。
夢子は咄嗟に顔を塞ごうとしたが、男二人に両腕を掴まれる。
そして一人はスマホで動画を撮り、残る一人はが夢子の服に手を伸ばし始めた。


夢子「嫌!!離して!!何するのよ!!」

夢子は必死に暴れる。

男1「オイオイ、暴れるなって。脱がしにくいだろ?」
夢子「誰か…誰か助けて!!誰か、助けて!!」
男2「残念ながらこんな路地裏には誰も助けに来ないから。…諦めな?」


夢子(私は…なんで私はいつもこんな目に…。
       沙羅だって‥‥私を守ってあんな‥‥)

男1「ハアハア…上着は脱げたぜ…やっぱり服の上からでもデカイのは分かってたが、実際見るとやべぇな!」
男2「おい、すぐには脱がすなよ。焦らした方が時間稼ぎにもなるしな!」
男3「しかしデカイ乳だな!最近のJKってこんなに発育良いもんなのか?」
男4「やっぱり力でねじ伏せるのは良いな!!」
男1「おい、よく見たらこの女、オッドアイじゃねーか!?
   片目が緑だぜ?!こりゃ珍しい個体だぜ!」

夢子「やめてってば…お願い…もうこれ以上は…」

男1「ハア?此処まで来て止めるわけねーだろ?!観念しろ!」


夢子は男たちに地面に押さえつけられた。

こいつ等は猥褻な動画を撮ってそのまま夢子をレイプして店に売る気だ。
夢子は涙を流す。

コワイ…痛い…冷たい…


アスファルトの冷たさに段々恐怖で感覚が無くなる。

夢子は叫びたかったが声が出なかった。

夢子(あれ…?おかしいな、さっきカラオケしてる時あんなに大声出たのに…)

上半身はほぼ全て脱がされた夢子は路地の入口を見る。
そこに倒れた沙羅の姿は無かった。

夢子(沙羅‥‥貴女だけは逃げ切って…私の事あんなに守ってくれたんだもん。…そうよ、遠くに…)


涙で霞む瞳に夢子は人影を見た。
それはこちらへと歩いてくる。
長身で、青い髪で、よく知っている人。
学校で毎日見るあの人だった。


夢子「…せ…ん…!?」


そこにはなんと夢子のクラス担任のベレトが居た。
今まで見たことの無い険しい顔でこちらへとやってくる。


ベレト「…お前たち…何をしている??」





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